【本編完結】貴方のそばにずっと、いられたらのならばいいのに…。

皇ひびき

文字の大きさ
64 / 88
本編

61

しおりを挟む
 サロンにつき、ティーファさんにミルクティーを入れてもらう。

 手にクリーンの魔法をかけ、借りてきたお皿にイタリアンハンバーガーもどきと、たまごサンドを準備する。

「ティーファさんも食べてね」

「味見ならともかく、一緒にお食事など、恐れ多いです…」

「みんな気にしないと思うわ! そんなに気になるなら、聞いて見るね」

 私がそう言うと、困った様に微笑んで頷いてくれた。

 時間をおかず、みんな来てくれて嬉しい。

「待たせたね」

「レイちゃんのお料理楽しみにしてたわ」

「レイ! たった数時間だけど会いたかったよ!」

 それぞれに言いたい事を言いつつ、公爵家の面々は席へとついた。

「あの…、ティーファさんも一緒に食べてもらいたいのですが…、駄目でしょうか。駄目だったら諦めます…」

 精一杯伝える。私の警護もあって、サロンまで来てくれたのだから、出来たら一緒に食事をしたい。

 けれど、権威といった部分で、あまりよろしくないのもなんとなくわかる。だから出来るならと聞いてみる。

「いいんじゃないかしら? 誰彼構わずに言われたら困ってしまうけれど、レイちゃんは私達の立場も理解した上で言っているみたいに感じるもの…」

「そうだな…。いつもレイに寄り添ってくれてる者を邪険にはしないよ」

「ティーファもここで食べるといいよ。でも内緒にしてね」

 お母様、お父様、レイス様と許可を得た。

「ありがとうございます! ティーファさんがお茶や食事を取らずに、いつも後ろに立っていてくれるのがありがたい反面、心苦しかったんです!」

「レイ様……」

「あの……、私のいた世界って貧富の差はあったけど、あまり身分の差ってなかったんです。だからかなこういうこっちの世界では、当たり前の事が少し辛くて…。我儘聞いてもらってありがとうございます! さ、ティーファさんも食べよう!」

 3人ともそれ以上、無理に追求する事もなく、料理に目を向けた。

「これは昨晩と具が違うのね。何かしら…」

「お肉を挽き肉にしてハンバーグとお野菜を挟んだものと、卵を茹でてマヨネーズと、砂糖と塩と胡椒で和えたものを挟みました! 紅茶はミルクティーにしてみました!」

「「「ミルクティー?」」」

「え? ここじゃ紅茶にミルク入れないのですか? 美味しいのに……」

 意を決した様にして、くちに含む3人。あー…。麦茶にお砂糖とミルク淹れたみたいに人を選ぶやつか……。

「無理に飲まなくても、アイテムバッグがあるので、私が消費するので無理しなくて良いですよ!」

「いや、レイのおすすめだもの。いただくよ」

 心做しか悲壮感漂う雰囲気をかもし出している3人を、美味しいのになぁと思いながら、見つめる私だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さくら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

冷徹宰相様の嫁探し

菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

処理中です...