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本編
79(クロスフォード視点)
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金髪の女は、レイスの背中にしがみついていた。立場がわかったならしがみつく相手が違うだろ?
「は? ただのメイドだろ! オレに献上しろよ、悪いことにはしないから。側妃の一人にでもしてやるよ。身分を考えたら、ありがたい事だろ。感謝しろよ」
オレに惚れたのか金髪の女は、オレをじっと見ている。
雇い主の息子だから仕方なく言うことを聞いているんだろう……。可哀想に。オレのものになったらそんな思いはさせない。
そんな事を考えているとレイスの奴が、オレの女に気やすく触れたあと、キッとオレを睨む。
「相変わらず話聞かないな……。なんの用で家に来たんだよ」
「あ、お前の親父からパンを奪ったんだが、美味かったからレシピを献上しろよ。何の為に王家がいると思ってんだよ。他の事業も渡せよ」
オレの中では当たり前の事を説明すると、呆れたように溜息を付き、レイスは言った。
「へぇ、じゃあその理屈を、父上に対しても言えるんだね。言ってみるといいよ。どうなるかは、わかりきってるけど…」
「ぐぬぬ……」
宰相が一筋縄ではいかないから、息子であるレイスを手玉に取ろうとしたのに。
「しかもさ、僕達は領地から得た大切な金を、献上している訳じゃないよ? 貸し付けてるだけさ。文句があるなら、返してから言いなよ」
クソッ。王家を見下す反逆者の汚名でも着せてやろうか! そうしている内にも、レイスはオレの女の手に触れる。
オレのだ触るな! そう思ってる内に、レイスは彼女を連れて歩き出そうとしていた。
「行こう」と彼女を支えて。思い出したようにレイスが言う。
「あとさ……、緊急時用にとゲートの使用リストに、王家の人間も入れていたけど…、家の人間に手を出そうとしたんだもの、もちろん抹消しておくから。来たければ、先触れを出してから、何日もかけて来ればいいよ。それだけのことしたんだもの、わかってるよね」
レイスから嘲りや侮蔑といった言葉を、受けるのは初めてな気がする。
それだけ言うと、レイスは「お客様のお帰りだよ」と一緒に駆けつけていた騎士達に、オレを連行させゲートがある部屋へと連れて行かれた。
「レイ…。恐い思いさせたね。登録の抹消をしてくるから、ティーファと一緒にサロンに行っていて?」
小さく聞こえた声と共に、レイと呼ばれた彼女に言い聞かせるように伝えてから、オレと騎士の後からついて来た。
オレには彼らを罰する、力があると思ってた。今日の出来事も、大した事ではないと高をくくっていた。
そんなはずは無かったのに。
「は? ただのメイドだろ! オレに献上しろよ、悪いことにはしないから。側妃の一人にでもしてやるよ。身分を考えたら、ありがたい事だろ。感謝しろよ」
オレに惚れたのか金髪の女は、オレをじっと見ている。
雇い主の息子だから仕方なく言うことを聞いているんだろう……。可哀想に。オレのものになったらそんな思いはさせない。
そんな事を考えているとレイスの奴が、オレの女に気やすく触れたあと、キッとオレを睨む。
「相変わらず話聞かないな……。なんの用で家に来たんだよ」
「あ、お前の親父からパンを奪ったんだが、美味かったからレシピを献上しろよ。何の為に王家がいると思ってんだよ。他の事業も渡せよ」
オレの中では当たり前の事を説明すると、呆れたように溜息を付き、レイスは言った。
「へぇ、じゃあその理屈を、父上に対しても言えるんだね。言ってみるといいよ。どうなるかは、わかりきってるけど…」
「ぐぬぬ……」
宰相が一筋縄ではいかないから、息子であるレイスを手玉に取ろうとしたのに。
「しかもさ、僕達は領地から得た大切な金を、献上している訳じゃないよ? 貸し付けてるだけさ。文句があるなら、返してから言いなよ」
クソッ。王家を見下す反逆者の汚名でも着せてやろうか! そうしている内にも、レイスはオレの女の手に触れる。
オレのだ触るな! そう思ってる内に、レイスは彼女を連れて歩き出そうとしていた。
「行こう」と彼女を支えて。思い出したようにレイスが言う。
「あとさ……、緊急時用にとゲートの使用リストに、王家の人間も入れていたけど…、家の人間に手を出そうとしたんだもの、もちろん抹消しておくから。来たければ、先触れを出してから、何日もかけて来ればいいよ。それだけのことしたんだもの、わかってるよね」
レイスから嘲りや侮蔑といった言葉を、受けるのは初めてな気がする。
それだけ言うと、レイスは「お客様のお帰りだよ」と一緒に駆けつけていた騎士達に、オレを連行させゲートがある部屋へと連れて行かれた。
「レイ…。恐い思いさせたね。登録の抹消をしてくるから、ティーファと一緒にサロンに行っていて?」
小さく聞こえた声と共に、レイと呼ばれた彼女に言い聞かせるように伝えてから、オレと騎士の後からついて来た。
オレには彼らを罰する、力があると思ってた。今日の出来事も、大した事ではないと高をくくっていた。
そんなはずは無かったのに。
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