81 / 88
本編
78(クロスフォード視点)
しおりを挟む
城を歩いていると、宰相と会った。手に何やら食べ物の入った容器と見たこともない透明な袋に入ったパンらしきものを持ち、普段崩さない表情を崩しながら、執務室に向かっているようだった。
オレは見たこともない袋が気になり、「目新しいものは王族であるオレらに献上すべきだ!」
そう言って、宰相から袋を奪い去ると部屋へと帰る。
「そういえば中身もあったな」
小腹のすいた午後だったか、仕方なく口にしてみると今まで感じた事がない程柔らかく、仄かな甘みを感じさせる、美味いパンだった。こんな物を隠しているなんて! 宰相には勝てる気がしなかったから、レイスの奴なら言いなりにレシピを奪い取れると思い、ゲートを利用し、レイスを探した。
しばらく歩いていると、美しい金髪をふわふわとさせながら歩いてくるメイドがいた。
思わず、肩に手をかけ、強制的にこちらを向かせた。
「!?」
美しい金髪だけでも好みなのに、湖を称えた様な青の瞳と愛らしい顔立ち。
こんなに美しい女がいたなんて……。身分は低そうだが傍においておきたい……、そう思ってしまった。
「可愛いね……。こんな娘を隠してるなんてずるいな、宰相は…」
この娘の身体に触れ啼かせたら…、どんなに心地いいだろう……。そう思っていると…。
「どなたか知りませんが、おやめください」
美しいメイドは立場も弁えずに口答えしてきた。
「メイド風情がオレに逆らうの? 再教育が必要なんじゃない?」
もうひとりのメイドも護る様に立ち塞がってくる。
立場を弁えろよ…、腹立たしいな。
「メイドのクセに生意気だなぁ、オレを誰だと思ってるのさ! この国の王子だよ! クロスフォード様だ!」
青ざめて泣きそうな顔を見て、やっと立場がわかったかそう思った。なのに、横から声がかけられた。
「僕の大事な人に、何やってんの?」
レイスが現れ、金髪の女をその背に隠す。
「実際に起こって欲しくないと思ってたけど、ティーファに緊急連絡の機器渡しておいて良かったよ」
そんな見目のいいメイドがいるのなら、オレに献上すべきだろ。王子の傍にいられるんだ。嫌がる女などいないだから。
「たかがメイドごときに、目くじらを立てるなんてらしくないんじゃないか? レイス・ディ・ラスター……」
邪魔立てするなら、レイスも潰してやる。オレは王子なんだからなんだって出来るんだ。
「今はこんな格好してるけど、ぼくの婚約者になる女性だ。目くじらも立てるってもんだよね……、大切な人が侮辱されてるんだもの…」
キッとオレを睨むレイス生意気な……。
オレは見たこともない袋が気になり、「目新しいものは王族であるオレらに献上すべきだ!」
そう言って、宰相から袋を奪い去ると部屋へと帰る。
「そういえば中身もあったな」
小腹のすいた午後だったか、仕方なく口にしてみると今まで感じた事がない程柔らかく、仄かな甘みを感じさせる、美味いパンだった。こんな物を隠しているなんて! 宰相には勝てる気がしなかったから、レイスの奴なら言いなりにレシピを奪い取れると思い、ゲートを利用し、レイスを探した。
しばらく歩いていると、美しい金髪をふわふわとさせながら歩いてくるメイドがいた。
思わず、肩に手をかけ、強制的にこちらを向かせた。
「!?」
美しい金髪だけでも好みなのに、湖を称えた様な青の瞳と愛らしい顔立ち。
こんなに美しい女がいたなんて……。身分は低そうだが傍においておきたい……、そう思ってしまった。
「可愛いね……。こんな娘を隠してるなんてずるいな、宰相は…」
この娘の身体に触れ啼かせたら…、どんなに心地いいだろう……。そう思っていると…。
「どなたか知りませんが、おやめください」
美しいメイドは立場も弁えずに口答えしてきた。
「メイド風情がオレに逆らうの? 再教育が必要なんじゃない?」
もうひとりのメイドも護る様に立ち塞がってくる。
立場を弁えろよ…、腹立たしいな。
「メイドのクセに生意気だなぁ、オレを誰だと思ってるのさ! この国の王子だよ! クロスフォード様だ!」
青ざめて泣きそうな顔を見て、やっと立場がわかったかそう思った。なのに、横から声がかけられた。
「僕の大事な人に、何やってんの?」
レイスが現れ、金髪の女をその背に隠す。
「実際に起こって欲しくないと思ってたけど、ティーファに緊急連絡の機器渡しておいて良かったよ」
そんな見目のいいメイドがいるのなら、オレに献上すべきだろ。王子の傍にいられるんだ。嫌がる女などいないだから。
「たかがメイドごときに、目くじらを立てるなんてらしくないんじゃないか? レイス・ディ・ラスター……」
邪魔立てするなら、レイスも潰してやる。オレは王子なんだからなんだって出来るんだ。
「今はこんな格好してるけど、ぼくの婚約者になる女性だ。目くじらも立てるってもんだよね……、大切な人が侮辱されてるんだもの…」
キッとオレを睨むレイス生意気な……。
1
あなたにおすすめの小説
混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない
三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
そんなに義妹が大事なら、番は解消してあげます。さようなら。
雪葉
恋愛
貧しい子爵家の娘であるセルマは、ある日突然王国の使者から「あなたは我が国の竜人の番だ」と宣言され、竜人族の住まう国、ズーグへと連れて行かれることになる。しかし、連れて行かれた先でのセルマの扱いは散々なものだった。番であるはずのウィルフレッドには既に好きな相手がおり、終始冷たい態度を取られるのだ。セルマはそれでも頑張って彼と仲良くなろうとしたが、何もかもを否定されて終わってしまった。
その内、セルマはウィルフレッドとの番解消を考えるようになる。しかし、「竜人族からしか番関係は解消できない」と言われ、また絶望の中に叩き落とされそうになったその時──、セルマの前に、一人の手が差し伸べられるのであった。
*相手を大事にしなければ、そりゃあ見捨てられてもしょうがないよね。っていう当然の話。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
【完結】ありのままのわたしを愛して
彩華(あやはな)
恋愛
私、ノエルは左目に傷があった。
そのため学園では悪意に晒されている。婚約者であるマルス様は庇ってくれないので、図書館に逃げていた。そんな時、外交官である兄が国外視察から帰ってきたことで、王立大図書館に行けることに。そこで、一人の青年に会うー。
私は好きなことをしてはいけないの?傷があってはいけないの?
自分が自分らしくあるために私は動き出すー。ありのままでいいよね?
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる