【本編完結】貴方のそばにずっと、いられたらのならばいいのに…。

皇ひびき

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番外編

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 公国になってから、半年が過ぎた頃、13歳程になる、王国のセリティア公爵家令嬢を別邸で引き取る事になった。

 その子は8歳位から、悪夢を見るらしい。その頃からか、自ら平民になるか修道院に入れて欲しいと泣いてご両親に頼み続けたらしい。

 社交のパーティに連れて行こうとしようものなら、泣き叫ぶ公爵令嬢。娘の変化に戸惑いを隠せない公爵家の面々。

 私は家族が受け入れてくれたから、こうして幸せに暮らしている。けれどその子は5年もの間、小さな体で苦しんでいたのかと思うと胸が痛んだ。

 ただ幸いというべきか、早い時期に幼馴染の変化に、気がついたらしいエルフィンと言う侯爵次男の令息がいてくれたらしい。その令息は心配して、その後公爵令嬢から離れたがらなくなったそうだ。

 公爵令嬢も侯爵子息が傍らにいる時は、落ちついていることもあり、隣りに部屋を与えたらしい。

 本当は家族ぐるみで公国へと向かいたかったらしいマクレガー公爵家の人々だけど、王国での仕事の引き継ぎがあるといった事情のため、しばらくくだんの娘と侯爵令息だけ、別邸に預かる事になった。

 どんな子が来るのか楽しみだ。


 セリティア公爵令嬢とエルフィン侯爵令息を迎える日の為に、私はミルフィーユやマカロン、フルーツのタルト。甘いものばかりだと飽きてしまうので、箸休め代わりのハムサンド、たまごサンド、エッグタルトを、ラフェルやミランやクレイ、ファルトとともに準備をした。

 紅茶は大好きなミルクティを淹れて、少しのハチミツを足した。短い時間でもスイーツで心を休めて欲しかった。


 迎えた令嬢は、庭園のテーブルに並べられた料理を見て涙を流した。

 気にいらなかったのだろうか? 慌てる私にお父様やお母様、レイスは『大丈夫』と言いたげに、軽く首を横に振った。

「マカロンに、ミルフィーユ…、タルトまである……。懐かしい……」

『料理の名前を教えたかな?』

 そんな疑問が浮かびつつも、セリティア嬢に寄っていき、「泣かないで?」とハンカチを手に涙を拭った。

ここ・・だと紅茶にミルクも邪道だって、ミルクティーは飲ませて貰えなかったの…、嬉しい。エルフィンも嫌じゃなかったら飲んでみて! 美味しいのよ!」

『ミルクティーって、そういえば、ここではあまり受け入れられてなかったんだっけ…。まさかこの子も前世持ち……?』

 恐る恐るお菓子やお茶を口にして「夢じゃない…」そうして涙するセリティア嬢。

 この子は前世で何かを見たのかもしれない。

 その未来を恐れて平民になりたいと言ったり、修道院に行きたいと言っていたのだろうか。

 その事実に胸がすく思いがした。
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