13 / 38
仲良くなれるのか?
10 (鳴 視点)
しおりを挟む私は、気がつくと泣き疲れて眠ってしまったみたい。
目が覚めてきて、ダイニングへと向かうと、ハワイな格好をさせられて呆然とする碧が視界に入ってくる。
『うわぁ、格好良い。 イケメンは何着ても格好いいのかな……』
お兄さんは私に、少し焦りながらも、「鳴…、大丈夫か?」
優しくそう声をかけてくる。
あぁ、やっぱり夢じゃなかった! まだ居てくれたんだ……。
そう思うと嬉しくて、テンションが上がってしまう。
私の様子を見て、黙るお兄さん。
「お兄さん。 アロハシャツ似合う!」
思わず、満面の笑みを浮かべる 私に、お兄さんは優しく言った。 少し呆れを含んでいた気はするけど、この際気がつかなかった事にする。
「鳴さん? 気分は治ったのかな?」
碧が、顔を引きつらせたまま聞いてきた。
「あんまし悩んでるの趣味じゃないし。 しばらく泣いて寝たら落ち着いたかな…」
お兄さんは、少し考え込むようにしてから口を開いた。
「そうか…。 なら良かったな」とだけ言ってくれた。
そんな事はさておき、私はお兄さんが、楽器を持っている事に気がついた。
「で、確か文鳥のお兄さんだよね…。 ウクレレ弾けるの?? 聴きたい!」
「弾けねぇよ。 千聖さんが、面白半分に持たしただけで…」
確かにお母さんがやりそうな事だった。 そのせいかな、意図せずに言葉が漏れた。
「お母さんが? やりそう……」
黙り込んでいる碧を見つめているとお兄さんが口を開く。
「何が聴きたいのか、弾けるのかわからんが、練習はしてみる…」
お兄さんが、ぶっきらぼうにそう言うけど、まだいてくれるつもりなんだと、私は嬉しくなってしまう。
「どうせお母さんが、お洋服とかそういうの渡したなら、お兄さんずっとお家にいてくれるのよね! やった!」
お兄さんは、軽く髪を掻くようにして言った。
「仕方ないな。 ずっといてやるけど俺、妖怪なんだぞ。 わかってんの?」
『きっと悪意のある人間の方が怖いよ…』
その言葉を、飲み込み言った。
「うーん。 口は悪そうだけど、優しいのなんかわかるから……。 嬉しいな、これからもお兄さんって呼んでいい?」
「文鳥姿の時は、碧って呼べよ。 それ守れるならいーや…」
仕方なさそうにお兄さんは言うけど、きっと心配してくれてる。 そうでなければ今まで隠してた姿を見せてくれるはずはない…。
「こっちの人のルールなんて知らねぇから。 鳴、教えてくれな?」
「うん! わかった。 ウクレレの弾き方の本、一緒に買いに行こうね!」
ずっと黙ってそばで、見ていたらしいお母さんが言った。
「話は纏まったみたいね。 碧くん、宜しく」
近くで様子を見ていた千聖さんが、そう言って笑う。
お兄さんは渡された大量のシャツを見ている。
「夏場にでも、使って頂戴ね。 あと、部屋は2階の鳴の隣がいいかしら。 知ってるだろうけど、案内してあげて? 鳴ちゃん」
「はぁい。 お母さん! お兄さんこっち! はやくはやく!」
ウクレレと大量のアロハシャツを手渡され、今後お兄さんの自室になるであろう部屋へと、案内する私だった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる