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新たなる一歩
10 (碧 視点)
しおりを挟むまず、じゃがいもにフォークをさすと、口へと運んでみる。
ほんのりした甘さに、醤油などのしょっぱさがよい具合に絡み合っていて、美味しい。
色味の為に乗せられたらしい、サヤインゲンもいい味を出している。
サクサクパリパリした食感が、これまたいいアクセントになっている。
「美味いです!」
そう言うと俺は、茶色く煮えたしらたきを食べる。
なんとも言い難い、麺類のようにツルツルとした食感、なのにこんにゃく独特の歯ごたえがあり、甘辛いつゆにマッチしていて美味しい。
箸も使えるようにならないと格好悪いな等と思いつつ、今度はなめこと豆腐の味噌汁を食べてみる。
トロトロ? ツルツル? なんとも言えない感覚が口いっぱいに広がる。
先日食べさせてもらった白味噌の味噌汁とは違い、八丁味噌と教えてもらった赤味噌は、大豆らしい味がとても深くて、なんだか美味い。
「どうかしら、口に合いそう? 鳴も今日はサラダだけだけど、料理上手なのよ。 食べてみて!」
そう千聖さんにすすめられ、サラダも食べてみる。
タコソースを使うと決まってから、サラダにチーズも足したらしい。
トマトのさっぱりした酸味に、チーズの濃厚さ、更にパプリカの甘み、サクリとした角切りされたきゅうり、パリパリとしたレタスの食感。
そこにマイルドでありながらピリリとした辛味のあるタコソースがとても良く合う。
「サラダも美味いです。 鳴もすげぇな!」
俺の語彙とやらはどうやってるんだ。 さっきからうまいしか言えてない。 オウムかなんかなのか……。
今後はもう少し、なんとか言えるように、パソコンとやらも教わろうと、そう密かに思う俺だった。
もぐもぐと食を進めていく内に、おかわりは?と言われ、お言葉に甘えてしまう。
でもきっと、食い物も只じゃないんだよな……。
粟を食ってりゃ大したことないだろうに、きちんと飯を食わしてもらってる。
異国にいた時だって、ギリギリで生きてきた。
好意に甘えてたら、いつも迷惑かけちまうんだろうな。
自分の食い扶持くらいは、なんとかしなきゃな……。
俺は……、そのうち千鶴さんとやらに、紹介してもらって、なんとか相談に乗って貰おうと思った。
なぜだか、よくわからないけれど、鳴は心配だ。
千聖さんにも、こんな俺をありのまま、迎え入れてくれた恩を返したいと感じている。
いつしかなりたい俺で、こんな俺を受け入れてくれた恩を、返していけたらななんて思う。
そんな日が来るかわかんねぇけど、いつかそんな自分になれたらなと、あやかしと人間なんて相容れるはずは無い。
そう思いながらも、この時間が少しでも長く続くようにと、切に願ってしまう俺がいた。
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