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歩み寄る闇
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しおりを挟む「小鳥遊さんったら、格好良い人に声かけられたからって、いい気になって……」
さらりと碧にかわされたのが、気に入らなかったのか、橋田という少女が言う。
「そうよね……。 少し可愛いからって、何様のつもりなのよ。 ムカつく……」
橋田と言う少女と、共に連れ立っていた、上代と言う少女も憎々しげに言う。
「格好良い人だったけど、小鳥遊の知り合いかなろ。 あの格好いい人も、きっと私達に気がついてくれたら、私達の方を気に入ってくれるよね、きっと。 あんな子よりさ」
古宮と言う少女も、碧を思い出したのか、うっとりという表情を浮かべつつも、嫉妬の入った瞳で吐き捨てるように言う。
「阿部くんにこの事を言ったら、もっとイジメひどくなったりするのかな…。 ふふっ」
悪意のこもった笑みを浮かべながら、そう言うと少女たちも、帰路へとついた。
翌日になり、イジメのリーダー格である、阿部と言う少年を使って、鳴を泣かせたいと企んだ橋田は言うのだ。
「昨日、小鳥遊さんが、すごい格好良い人に、媚び売ってすり寄っててぇ、驚いちゃったぁ! ねー?」
他の二人に目配せをしながら、橋田はそんな事を言ってみる。
自分たちの方が価値があるのに選ばれなかった意味がわからなかったから。
小鳥遊という少女を、泣かせてやりたいと思った。
初めて見かけた時から、気に入らない。 橋田から見て目立つ容貌でも無い様に感じるのに、男子の目線を集めるあの子が気に食わなかった。
栗色の髪、大きな茶色の瞳に長いまつげ、肩甲骨まで伸ばしたストレートな髪の毛。
上級生から美少女と呼ばれている彼女が気に入らない。
あたしの方が、可愛らしいでしょ? みんなはなんで気がつかないかなぁ。 面白くない。
そんな事を考えていると、阿部に問われた。
「今の話は本当なの?」と。
あまり美形でもない、ただ父親がヤクザだからと一目置かれ、怖がられている…、そんなに存在だった彼。
「ふぅ~ん…」
そう言うと、おもむろに自身の机にあったハサミを握り、橋田の髪を切りつけた。
一箇所だけ短くなった長髪に、ショックのあまり泣き出す橋田。
そばに居て、成り行きを見守っていた、上代と古宮も突然の事に言葉を無くす。
ただ泣きわめく橋田、ただ慰めるしかできない、上代と古宮。
会話や話の流れはわからなかったものの、離れた席で座っていた鳴は、冷めた視線を送っていた。
『加害者の時は、嬉々として虐めるのに、自分がやられたら、被害者ですと…、すぐに泣くのね…』
そんな思いが胸に渦巻いていて、可哀想だと思いながらも、冷めた気分で様子を見守る鳴だった。
泣く橋田を余所に、「手がすべって切っちゃった。 ごめんね。 でもつまんない事をあんまり言われると…、もっと手が滑っちゃうかも」
阿部は、謝罪とも脅しともつかない一言を残し、ハサミをしまった。
言葉に詰まった橋田達はこれから授業があるというのに、足早に教室から立ち去って行った。
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