新たな世界へ導かれた俺と、迎え入れてくれたきみ。

皇ひびき

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歩み寄る闇

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 翌日学校に向かっためいが、いつも通り、前から3列目にある自身の座席に座る。

『今日も何事もなく、乗り切れるといいな。 お兄さんまた迎えに来てくれたら、すごく嬉しいのにな…』

 鳴はそんな事を、ほっこりとした気持ちで考える。
 不意に斜め左側の通路に人影が見える。綻んでいた顔に、緊張が走る。
 また何やら、近づいてくる彼らに、背筋に悪寒が走った。

『また蹴られるのかな。ここにいる存在は嫌い…。 でもこんな行動したら嫌われるだろう。 そんな反面教師だと思えば、嫌いだけど苛める人も、文句も言えない弱い私も存在する意味がある…』

 恐らく、この時の鳴は諦めていた。 理由もわからない理不尽な行為も、何もかもに対して…。

 けれど『同じ土俵には降りない』それだけは決めていた。

 想像したみたいに、座っている机の前面から並んだ男子が前側の左右の席に手を付けて蹴り込んでくる。

 休み時間の間、飽きもせず順番に、代わる代わる蹴って来る。

 少し『私が何をしたというの…』も仄暗い感情も芽生えてくる。

 けれど大怪我をしないのが、一番だと耐える。

 強く蹴り込まれて、席ごと後ろに倒れそうになって、後ろの席へと反射的に、手をついて体勢を戻す。

 それが気にいらなかったのだろう。

 鳴の後ろの座席で体制を直せないように、もっと後ろへと下げていく。

 絶望的な気持ちでその光景を見守る鳴。

 本人は気がついてなかったのだろうが、恐らくその場の空気に鳴自身も飲まれていたのかもしれない。

 容赦なく次の攻撃がやってくる。 次も机が後ろへと倒れ込む程強く衝撃がやってきた。

『なんとか立て直さないと……』

 そう思った鳴は、反射的に腕を後へと伸ばすも、下げられた席には届かなかった。

 首の後を下げた机の端に、強く打ち付けた鳴は、そのまま意識を失った。

 真っ青な顔色で微動だにしなくなった鳴。 自分達が命を奪いかねない事に初めて気がついた男子達。

 ざわつく生徒に、何やら異変を感じたのか、理科を担当している教師が、教室へと顔を出すと、真っ青な顔色で倒れたままの鳴を目にする。

「何があったのかあとで聞くわ、今すぐ救急車を呼びましょう」

 そう言って、たまたまボケットに入れていたのか、スマホの
操作をする。

「でも……」

 このままでは僕たちが……、そう口にしたかったであろう男子は、途中で口を噤む。


 私達は関係ないよね
と言う態度をしていた女子達も、教室に残される。

 動かなくなった鳴が、救急車で運ばれて行くのを、ただただ見守る他なかった。

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