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歩み寄る闇
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しおりを挟む病院のベッドで目覚める鳴。
ふと、手に違和感を覚えて、そちらへと目をやると、碧が手を握り込んだまま寝ているらしい。
鳴は何が起こったか、よく思い出せない。 起き上がろうと身じろぎするけれどうまく身体を起こせない。
鳴の傍らの椅子に座り、うつ伏せた状態で眠る碧だったが、鳴の動いた気配で目が覚めたのか、碧は横になったままの鳴に言った。
「目が覚めたのか…。 良かった…。 本当に良かった…」
そう呟くみたいに何度も言う碧に碧……。
少し見ない間にとでも、心配をかけてしまったのか、いつもの様に元気がない。
「お兄さん……? ここ…は…?」
たどたどしくそう問う鳴。
「動かなくていーけど、倒れたの覚えてるか?」
「なんとなく…。 少しだけしか覚えてない……。 記憶曖昧で……、今どこにいるのかわかんない……」
「まぁ、仕方ねぇよな。 教室で意識無くしたって聞いてるし…」
言葉を選ぶように、少しずつ現状を教えてくれる碧。
鳴は倒れてから、教室の呼んだ救急車で運ばれ、2日程目を覚まさなかったようだ。
「そっか……。 お母さんにもバレちゃったんだねね…。 お兄さんにも協力してもらってたのに…。 ごめんね…」
首には痛々しい包帯を、巻かれていた鳴が、しょんぼりとまるで萎れてしまった草花の様に下を向く。
「うーん…。 千聖さんは、知ってたと思うぞ。 鳴から相談してくれるの待ってたみたいだったけど…。 それにお前が生きててくれたから、俺達はこれからも笑えるんだ…」
「そっか。 だけど…、格好悪いな私…」
「お前が頑張ってたのは知ってるから! それ以上はもう無理すんな。今は寝とけ…」
碧は、膝の辺りをぽんぽんと軽く叩くと言った。
「千聖さんからスマホ預かってさ、しばらく前に交代したばっかだから、家で休んでると思うかし、今から電話してくる…。 もう少し休んどけな」
鳴が瞼を閉じると、急激な睡魔に襲われた。
電話が終わり、碧が病室に戻るとすやすやと、鳴は安らかな寝息をたてていた。
「疲れたよな。 ゆっくり休めよ…」
鳴が聞いてないのは、わかっていつつも、話しかけてしまったのは、碧も不安だったのだろう。
しばらく鳴の寝顔を見ながら、彼女がまだ生きている事に感謝したい気持ちになった。
とにかく急いできたのか、千聖さんもそう経たずに病室へと訪れた。
「鳴ちゃんに、ついててくれてありがとうね。 碧くん、あなたがいてくれて良かった…。 そうじゃなきゃ一人ぼっちで、目を覚ましたかもしれないもの」
「俺なんて何も……。 力になりたいと思ったのに、助けてやるどころか、何もできなかった…」
「それは私も一緒よ……。 鳴が自分から言ってくれるのを待つんじゃなくて、もっと早くにクソガキ共を、黙らせてれば、こんな事にならなかったのよ…」
「…え……?」
「あら、ごめんなさいね。 ちょっとお医者さんとも話してくるわね、鳴についててあげて?」
そう言うと千聖さんは、鳴と碧を残して個室から出ていった。
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