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歩み寄る闇
9 (???視点)
しおりを挟むある日の事、授業が終わり、そそくさと自転車をおしながら、学校を出る小鳥遊さんの後をこっそりと追った。
緊張しつつも自転車に乗ろうとした刹那、「鳴~!」と、小鳥遊さんが声をかけられる。
「お兄さん! 今日も迎えに来てくれたの?」
僕が見たことのない様な、眩しい笑みを浮かべながら、小鳥遊さんが言った。
「バ…ッ……。 ちげぇよ! どんだけ俺の事を、いい人とか誤解してんだよ」
褐色の肌をした男は焦ったように言い放つ。
柄の悪さは僕と比べても悪そうだけれど、小鳥遊さんが気を許している感じがすごくする。
「散歩ついでだし、お前の事を心配したわけじゃねぇし!」
そんな事を言いながらも迎えに来てるあたり、彼女の彼氏かなんかなのか!?
ツンデレかよ!
微笑ましそうに、男を見ながら黙り込む小鳥遊さん…。
「なんだよ……ッ、なんか言いたい事でもあんのかよッ」
少し怯んだみたいに男は言った。
「ありがとう。 お散歩のついででも、来てくれて、すごく嬉しい…」
小鳥遊さんが素直にそう言うと、少しの間黙って「行くぞ」と背中を向け歩き出した。
僕ならもっとうまくエスコートしたいのに、その権利さえない。
男の背を追いかける彼女。
何がしたいのかわからないまま追いかけてしまう。
「今日も自転車練習していく?」
「やる……」
そういった二人は近くの公園に行き、男が自転車の練習をすると、二人で歩きながら帰って行った。
彼女の家にまで入り込むあたり家族ぐるみでの付き合いなんだろう。
何してるんだ、僕は…。
こんな意味のない苛めもやめさせなきゃな…。
これ以上嫌われてしまう前に………、そんな事を思う。
でも、そんな段階は過ぎていたみたいだ。
僕が言わなくてもクラスの男子は、楽しげに小鳥遊さんを痛めつけ、彼女が意識不明の状態になって初めて、事の重大さに気がついた。
小鳥遊さんが救急車で運ばれてから、しばらく教室は静かだった。
それはそうだろう。 先生に現場を見られ、彼女の打ちどころが悪ければ……、僕たちは皆殺人者だ…。
シンと静まり返る教室に、一人の女性がやってきた。
長めで緩くのカールのかかった髪、赤に近い紫がかったアンサンブルをラフに着こなし、ジーンズ姿の女性。
よく見ると小鳥遊さんと似た凛とした瞳をしていた。
多分あの人は小鳥遊さんの身内だろう…、僕はそう当たりをつける。
見知らぬ人が僕達のクラスに来たのだ、何を言われるのだろうとみんな戦々恐々をしている。
僕だって怖い。 小鳥遊さんが今どういう状態なのか知らされてもいないんだ…。
見知らぬ人が教室の中央に立ち、口を開くのをおとなしく待つしか僕たちには許されなかった。
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