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歩み寄る闇
10 (???視点)
しおりを挟む感情的に怒鳴りつけてくるのだろうと予想したのに、女性は淡々と言った。
「私は小鳥遊 鳴の母よ。 貴方達は、これで満足なのかしら。 あの子が何をしてあなた達に、イジメまがいの事をされたのかは知らない。 あの子が言わなかったから…」
グッと言葉を噛みしめるように続ける女性。
「こんな事態を招いたのは、私にも責任がある。 自力でなんとかしようという、あの子を止めなかったのだから…」
小鳥遊さんの母親は堪えきれずといった様子で涙を流しながらも言葉を続けた。
「だけど…、あなた達に覚悟はあるの? ……考えたくもないけど……、このままあの子が目を覚まさなかったら……。 …晴れて犯罪者の仲間入りかしらね。 いくら家族や周りが庇おうと、そう考える人はいるのでしょうし……」
涙を拭うと僕達に向って言い放つ。
「覚悟もないのに、こんな事してるんじゃないわよ!
覚悟があるっていうなら、選択のひとつなんでしょう…。 私はそんな事許さないけれど…。 あなた達には遊びだったかもしれない。 …けれど、失った命はかえらないの! ゲームの様にリセットボタンを押せば、簡単になかった事に出来るなんて思わないで!」
小鳥遊さんの母親は、僕達の顔を見回した。
「娘はまだ意識不明の状態よ。 今後のあなた達を見て転校も視野に入れなくてはと思うけど…、娘の意識が戻るまでに自身の行動に正義があったのかよく考えるといいわ…」
彼女はそう言い残すと、教室から出ていった。
重苦しい空気が教室を包む。 確かに簡単になんとかなると思ってた、もし心が折れて僕に従順になった小鳥遊さんは、僕が求める彼女ではない…。
僕は何がしたかったのだろうか、父親がそういう仕事をしていると言った、誤解や偏見……、自分でなんとかしようとはしなかった…。
小鳥遊さんの母親を見て強く思った。
強い人なんてこの世界にはいないのかもしれない…。
ただ強くあろうとしている人がいて、彼らがとても強く見えていて眩しくて仕方ないだけなのかもしれない…。
でも、自分で戦おうとしない僕みたいな存在が、『強いんだから助けてくれて当たり前』だと、ただ依存しているだけなのかもしれない…。
そう思うと、なんの覚悟もなく、ただ手に入れば嬉しいそんな思いではじめてしまった。 すごく僕は傲慢だ。
エスカレートした奴らも…、精神的に追い詰めたやつも。
みんな……、周りと違うと怖いから合わせたふりをする…。
そんな事異端扱いされてた、僕が一番わかってたはずなのに。
小鳥遊さんの何気ない一言に救われた筈なのに。
なんで僕は彼女を追い詰めたんだろう…。
どうしようもない後悔で、僕はいっぱいになってしまった。
今更過ぎてどうにもならないのに。
ただただ、彼女の意識が戻る事を祈るしか、僕達にはできなかった。
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