新たな世界へ導かれた俺と、迎え入れてくれたきみ。

皇ひびき

文字の大きさ
37 / 38
歩み寄る闇

12 (千聖 視点)

しおりを挟む

 あおが泣かせてくれたおかげだろうか…、少しだけ張り詰めていた気分がが楽になった気がする。

 碧と一緒にタクシーに乗り、病院に向かう。 精神的に余裕がないのに運転は危ないんじゃないかと碧くんに言われて、冷静に運転出来るようになるまでは、やめておこうという話に落ち着いたのだ。

「自転車でも危ねぇって思うから…、自動車とやらはもっと神経使いそうじゃん…」…だそうだ。

 そうして、タクシーで病院に向かい、めいのいる病室に向かう。

 まだお昼前だ、鳴のクラスメイトはまだいるだろうか。
 
 いないかもしれないけれど…と思いながらも、校長にもいいたいことがあり、碧に鳴を任せて学校へと向かった。

 教室に行くと、まだ生徒達はいた。

「私は小鳥遊たかなし めいの母よ。 貴方達は、これで満足なのかしら。 あの子が何をしてあなた達に、イジメまがいの事をされたのかは知らない。 あの子が言わなかったから…」

 グッと言葉を噛みしめ私は言葉を綴る。

「こんな事態を招いたのは、私にも責任がある。 自力でなんとかしようという、あの子を止めなかったのだから…」

 私は堪えきれず流れ出る涙をそのままに言葉を続けた。

「だけど…、あなた達に覚悟はあるの? ……考えたくもないけど……、このままあの子が目を覚まさなかったら……。 …晴れて犯罪者の仲間入りかしらね。 いくら家族や周りが庇おうと、そう考える人はいるのでしょうし……」

 私は涙を拭い言葉を続ける。

「覚悟もないのに、こんな事してるんじゃないわよ!
覚悟があるっていうなら、選択のひとつなんでしょう…。 私はそんな事許さないけれど…。 あなた達には遊びだったかもしれない。 …けれど、失った命はかえらないの! ゲームの様にリセットボタンを押せば、簡単になかった事に出来るなんて思わないで!」

 私は、生徒の顔を覚える様に一人一人の顔を見回す。
 ビクリと身動ぎする者もいる。 もし覚えられたら、都合が悪いものね……。

「娘はまだ意識不明の状態よ。 今後のあなた達を見て転校も視野に入れなくてはと思うけど…、娘の意識が戻るまでに自身の行動に正義があったのかよく考えるといいわ…」

 私は子供相手に辛辣よね…、そう思いながらも校長室へと向かう。

「あなた方がどう対処するつもりかわかりませんが、担任みたいな話せばわかる…、なんてホームルームで話たり…」

 碧に話を聞いて怒りを覚えた。 火に油を注ぐ行為だとなぜわからないのか…。 思わず一緒に呼ばれた担任を、睨むと、彼女はビクリと肩を震わせた。

「都合が悪いと隠蔽しようとされるなら、こちらにも考えがありますので…。教育委員会に話をしたり、やりようはいくらでもありますからね…」

 女だからと舐められないよう、黒い笑みを浮かべる私。

「満足のいくように対処しますので…、どうか教育委員会にには内密に…」

 どうだかね、そんな思いが顔に出てるのもお構いなしに、「信じますよ?」

 そんな話を学校側とも話、鳴が目覚めるのを祈るような気持ちで、碧くんと交代で待つのだった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています

猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。 しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。 本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。 盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。

処理中です...