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陽だまりへと
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しおりを挟む私は心配したお母さんとお兄さんに、言い含められる様にして、数日学校を休む事になった。
「そこまで心配しなくても大丈夫なのに……」
そう苦笑する私に、「「死ぬかと思ってすごく心配した!」」そう言って、泣きそうになるお母さんやお兄さんに何も言えなくなる…。
「正直に言うと怖いよ……。 でも学校に行かないで…、このまま向き合わないで…、ずっと逃げてたら…。 私いつでも逃げ出したり、投げ出しちゃう子になっちゃうよ…。 そんな私になりたくないよ……」
思わずといったように、ずっと感じていた事が口から零れ落ちた。
自分にとっての大切な人に大切にしてもらえるのも、親身に心配してもらえるのも、すごく幸せな事だと思う。
相手から受け取る、その気持ちを…思いを…、大事にしたいと思う。
けれど、どこかで嫌なことがあったらと、逃げ出す自分。 そんな自身に胸が張れるのだろうかと、どこかで感じてしまう。
私が間違っていたら、怒ってくれる家族がいる。 それはすごく幸せな事だと思う。
きっと「言っても無駄」と、周りが私を見捨てていないと言う事だろうから。
父親が早くに亡くなり、片親だというだけで、お母さんも私も、嫌な事を言われてきた時だってあるのだ。
そんな環境の中にいて、自分に失望しない為にも、きちんと嫌な事にも向き合う事。 それは自分で見つけた、私なりの処世術なんだと思う。
私だって、怒られるのは好きじゃない。 でも、言ってくれる間に、自分が今後選び取っていく態度が、きっと大事なんだと思う。
今…、例えばだけど学校に顔も出さずに転校したとする。 多分嫌な事から逃げ出す分、すごく楽だろう。 だけど、今後自分に胸が張れるのか、そう考えると否だろう。
きっと楽だからと、逃げちゃう癖がついちゃう…。
それに、私が間違っていないのに、周りに合わせる為に引くのは、きっと私らしくない。
こういう所が頑固だと言われる部分なのだろうけど、今逃げたら同じ事が起きたら、逃げる事を繰り返すのだろう。
そんなのは嫌だと思った。 確かに、ここ迄増長させたのは、私の態度のせいだろう。
あの人達に相容れないと、嫌なことは嫌だと伝えるべきだった。 「何故こんな事されなきゃいけないの!」と問い詰めるべきだったのだ。 ただやられるだけよりは、ずっと何かが変わっていたのかもしれないのに伝える事を諦めた。
いじめられた事には、恨みがない訳ではないのかもしれない。 けれど、そんな経験してない人よりは、きっと人の痛みがわかるはず…、そんな風に死にそうな目にあっても思うのだから、『馬鹿なのかもしれないな…』そう思う。
でも、そんな風に受けとめる自分も嫌いじゃないのだ。 寧ろ好きだ。
だからこそ、自身に失望しない為に、私は彼らと向き合う。
向き合ったからと言って仲良くはできないと思う。
『だけど、明日こそ……、怖いけど彼らに会いに行く』
私はそう心に決めた。
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32話まで読みました。加害者に自覚せずになっていることってあるかもしれない。境界線上にいて、自覚できないことはおそらく自分にもあるかもしれないと感じながら読みました。また鳴も我慢することでなんとかしのぐ段階を過ぎてしまう可能性はあるんだよなぁとも。
雑炊、美味しそうです。細かい料理のコツがまた美味しさを増し増しにしている気がします
いつも感想ありがとうございます!
なんとなく空気を合わせてただけでも受け取る側の気持ちによっては虐めになるのかなーと思いつつ、書いてました。
病院から帰って豪勢に肉食べよ?とかないなー、など悩みつつ雑炊にしてみました。
個人的にネットリした重湯なタイプよりサラサラ食べれる感じが好みなので一回洗ってます。
粘りが減る!(笑)
22話まで読みました。
碧さん、保護者な視線で見守る感じでしょうか? とはいえ文鳥さんだから知らないことも多いでしょうし「一方的な保護者」目線とは違う感じですね~
お料理回、楽しみに待ってます。
感想ありがとうございます!
知らないながらも元気づけたい、好奇心旺盛で色んなことに興味を持つ、そういう部分で無関心と見せかけて実は励まそうとしてる。遊び回ってるけど飼い主が泣いてたら励ますように寄り添ったり。そういう小鳥っぽい優しさや気まぐれな部分を表現出来てたら嬉しいです。
碧自体は、保護者の自覚はないと思うけど、心配だから様子を見に。行ってしまいましたが、多分今回の外出で人型での外出に味をしめたと思います。(笑)
碧くん、なんだかんだ優しいんですね。
でもそれよりも、千聖さん強っ!
普通驚くでしょうに笑
ついつい面白くて読み進めてしまいました!
ありがとうございます!
もう千聖さんは無双入ってますね!箱庭の千鶴おじさんと飲み友達です。
一羽いるんだから、他にいてもおかしくないわね…的な。