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本編
5(シルフィ視点)
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ホウ草のお粥を受け取り、僕は恐る恐るとホウ草のお粥を口にする。
「え? 美味い……」
「ミルクのマイルドさと合ってて美味しいよね。どのくらい治るかわからないし、もっと作るべきだったかしら…」
「ホウ草を見つけた時点ですごいと思うけど。めったにお目にかかれない薬草らしいし。自ら気配消しの魔術使ってるのかってくらい見つからないってみんな言ってる。稀に見つけた人の話を聞いて、その場所に行ってもほぼ見つからないらしいし」
「へ? 普通にいっぱい生えてたからたくさん採っちゃったよ…、売ったら駄目なやつか。怪我治るまでここで看病するから、色々教えてくれると嬉しいな!」
いっぱい生えてたからたくさん採ったって…。確かにギルドに売ったら高く買い取ってくれそうだけど、上手く悪い奴らに利用されそうな気もする。僕は、なんだか危なっかしい人だなと感じてしまった。
「看病の必要ないと思うけど、怪我治ってもここに居ていいなら喜んで。あれ? でも、あそこのそばにこんな立派そうな内装の建物あったかな…?」
「あはは…。これもスキルの1種みたい。多分ステータス見る限りシフォンって名前だと思う。でも記憶があんまりないから、色々教えてくれると嬉しいです」
「僕の事はシルフィって呼んで」
僕は、軽く微笑むとそう言った。
「シフォンにシルフィ…。なんか響きが似てるね!」
食いつくとこはそこなのか…。
「そうかもね。てかもう傷が塞がるのか…、みんな躍起になって探すわけだ…」
僕は見えていた部分の傷口に目をやりながらそう言う。あったはずの傷が綺麗に癒えている。流石、ホウ草というべきか。
「採っちゃった物は仕方ないし、おかわり食べる? まだたくさんあるけど…」
「確かに…。それじゃあ、お言葉に甘えていただきます」
たくさん採ってしまったらしいけど、ホウ草を売るのはやめたらしい。
採った薬草の中から無難な物を、僕に確認してから、それらを売りに出そうと決めたようだった。
「なんかここキャビンっていうみたいなのだけど、私…、ここへの扉を呼び出せるみたいで、それで見つけてすぐにここに運んだの…」
「でもここ…。見た事ない作りだし、入れる人は選んだ方が良いかもしれない…。運ばれて看病受けた人間が言うべきじゃない事かもしれないけど…」
「シルフィさんって強い?」
徐ろに何を聞くのだ。
「ん? まぁ、それなりには…。A級の冒険者しているし…」
「ふむ…。しばらくここの常識を教えて欲しいのと、ボディガードしてもらえないかな?」
守ってほしいという事らしい。僕も、元王子としてのシルフィードとしてじゃなく、シルフィとして向けられた好意のような感情に癒やされてしまう。
「僕も何者かに狙われてるみたいだし、匿ってくれるかな?」
本当はこの国の王妃と王子に命を狙われているのだけど。そんなことを知らないシフォンさんはニコリと笑って言った。
「ここで良ければ」と。
「鳥の肉とりたくて、森に入ったんだけど、捕まえる前に襲われて姿消しを使ったけど、倒れちゃったみたいで残念だよ…」
たまには、いつもと違う肉を食べたいと森に入ったせいで不覚を取った。
「あれ? 冷蔵庫に何か入れる場所ができた…」
シフォンさんか僕の背より高い箱を見つめてそう言う。確かに、先程まで気がつかなかった、コインか入りそうな穴ができている。
「レイゾウコ? この箱か…。コインが入りそう…、入れてみていいかな?」
「じゃあ、ホウ草とコイン交換する?」
「それは遠慮しとこうかな……」
「そっかぁ…」
そんなやり取りをした後に、僕が持ってた銀色のコインを入れてみる。ガチャンとコインが落ちる音がして変化はない。
しばらく様子を見てから、レイゾウコを開けて見ると、捌いたあとの鳥肉らしきものが大量にレイゾウコ内を埋め尽くしている衝撃を、僕はきっと忘れられない……。
「え? 美味い……」
「ミルクのマイルドさと合ってて美味しいよね。どのくらい治るかわからないし、もっと作るべきだったかしら…」
「ホウ草を見つけた時点ですごいと思うけど。めったにお目にかかれない薬草らしいし。自ら気配消しの魔術使ってるのかってくらい見つからないってみんな言ってる。稀に見つけた人の話を聞いて、その場所に行ってもほぼ見つからないらしいし」
「へ? 普通にいっぱい生えてたからたくさん採っちゃったよ…、売ったら駄目なやつか。怪我治るまでここで看病するから、色々教えてくれると嬉しいな!」
いっぱい生えてたからたくさん採ったって…。確かにギルドに売ったら高く買い取ってくれそうだけど、上手く悪い奴らに利用されそうな気もする。僕は、なんだか危なっかしい人だなと感じてしまった。
「看病の必要ないと思うけど、怪我治ってもここに居ていいなら喜んで。あれ? でも、あそこのそばにこんな立派そうな内装の建物あったかな…?」
「あはは…。これもスキルの1種みたい。多分ステータス見る限りシフォンって名前だと思う。でも記憶があんまりないから、色々教えてくれると嬉しいです」
「僕の事はシルフィって呼んで」
僕は、軽く微笑むとそう言った。
「シフォンにシルフィ…。なんか響きが似てるね!」
食いつくとこはそこなのか…。
「そうかもね。てかもう傷が塞がるのか…、みんな躍起になって探すわけだ…」
僕は見えていた部分の傷口に目をやりながらそう言う。あったはずの傷が綺麗に癒えている。流石、ホウ草というべきか。
「採っちゃった物は仕方ないし、おかわり食べる? まだたくさんあるけど…」
「確かに…。それじゃあ、お言葉に甘えていただきます」
たくさん採ってしまったらしいけど、ホウ草を売るのはやめたらしい。
採った薬草の中から無難な物を、僕に確認してから、それらを売りに出そうと決めたようだった。
「なんかここキャビンっていうみたいなのだけど、私…、ここへの扉を呼び出せるみたいで、それで見つけてすぐにここに運んだの…」
「でもここ…。見た事ない作りだし、入れる人は選んだ方が良いかもしれない…。運ばれて看病受けた人間が言うべきじゃない事かもしれないけど…」
「シルフィさんって強い?」
徐ろに何を聞くのだ。
「ん? まぁ、それなりには…。A級の冒険者しているし…」
「ふむ…。しばらくここの常識を教えて欲しいのと、ボディガードしてもらえないかな?」
守ってほしいという事らしい。僕も、元王子としてのシルフィードとしてじゃなく、シルフィとして向けられた好意のような感情に癒やされてしまう。
「僕も何者かに狙われてるみたいだし、匿ってくれるかな?」
本当はこの国の王妃と王子に命を狙われているのだけど。そんなことを知らないシフォンさんはニコリと笑って言った。
「ここで良ければ」と。
「鳥の肉とりたくて、森に入ったんだけど、捕まえる前に襲われて姿消しを使ったけど、倒れちゃったみたいで残念だよ…」
たまには、いつもと違う肉を食べたいと森に入ったせいで不覚を取った。
「あれ? 冷蔵庫に何か入れる場所ができた…」
シフォンさんか僕の背より高い箱を見つめてそう言う。確かに、先程まで気がつかなかった、コインか入りそうな穴ができている。
「レイゾウコ? この箱か…。コインが入りそう…、入れてみていいかな?」
「じゃあ、ホウ草とコイン交換する?」
「それは遠慮しとこうかな……」
「そっかぁ…」
そんなやり取りをした後に、僕が持ってた銀色のコインを入れてみる。ガチャンとコインが落ちる音がして変化はない。
しばらく様子を見てから、レイゾウコを開けて見ると、捌いたあとの鳥肉らしきものが大量にレイゾウコ内を埋め尽くしている衝撃を、僕はきっと忘れられない……。
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