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出逢い 樹里視点

4★

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 ★★★

 この子は一体何者なのかな?そんな事を思いながら、泣き止んで…?と願いつつ、男の子の背中を撫でる。

「いつっ……」
 背中をさすると泣いていた少年は、少し呻く様に声を上げ身動ぎした。

 背中に怪我なんて……、小鳥さんみたいね…。

 思考のはしに、何か引っかかるものがあったのだけど、動揺していた私は、その引っ掛かりを追求する事は出来なかった。

 ★★★

「泣かせてごめんね……。お願いだから泣き止んで??」

 目線を合わせてお願いする私。

「昨日は助けてくれたのに……、もう僕の事忘れてるなんてショックです……。朝もご飯くれたのに…。僕のお顔ってそんなにインパクトが無いのかな……」

 グズグズ泣きながら、つぶやく男の子。

 ん?ご飯あげたの小鳥さんだけだよ?んん??そういえばさっき私も、小鳥さんみたいだなと思ったかな?

 まさかねと思い、箱の中を見ると小鳥さんはいない……。

 さっきまで泣いてたはずの男の子は、私の行動で少し気を取り直したのか、「もしかして、わかってくれたんですか!?」と近寄ってくる。

「僕です!貴女が小鳥さんと呼んでくれていた!」

 うん。普通にありえないよね。

 ふむ……。小説のキャラみたいに気絶したい気分だよ…。そして箱の中には小鳥さんはいない…。
 小鳥さんにしてた事をしてもらったと言いはる、初めて会う男の子。

「小鳥さんにした事を、私が君にしたと言いたいのかな?うーん。意味がわからないな……。小鳥さんは文鳥さんで、君は人だよね??」

そう言うと男の子は「あっ!」とポカンとした表情を浮かべる。

「そうか!人間は変化へんげしないんでしたね……!」

 …などと口走る男の子。化けるってなんだろう。

「見ててくださいね……」

 そう言ったかと思うと、ぽふんと小さな音とともに、小鳥さんが姿を現した。昨日より可愛いピンクの嘴も、血色が良くなってパタパタと飛んできて、私の首元にすり寄ってきた。
あぁ…、今眼の前で可愛い少年が小鳥さんに……。

 はぁ…可愛い……。癒やされる。モフモフ!
好き!でも意味がわからない……。

「僕…仲間に、せつって呼ばれてます!」

 文鳥姿でも喋れるんか……。
きっと夢おちだ!そう思いながらも自己紹介してしまう。

「私はさかき 樹里じゅりよ」

 ★★★

 オレンジとかの良い香りに、癒されつつ食べたり、ぼんやりしたいなあ~。パインとかも良いなぁ!なんか美味しいものを食べて、気持ちを立て直したい…。

 情けなくも、現実逃避でフルーツに思いを馳せている私。あ~、癒されるだろうなぁ。

「あ…、あやかしの木に何かなったみたいです。樹里じゅりさん行ってみましょう!」

 …といつの間にやら、人の容姿に変わったせつくん。小さな執事のような服にショートパンツ。

 ニーハイの高さのソックスを、膝下のソックスガータで固定している。黒髪茶目のイケショタが、ギュッと手を握ってくる。

「裏庭で何が実ってるのか、楽しみですね!」

 小鳥さん改めせつくんに、くいくいと手を引かれ、また裏庭へと向かう。

 ★★★

 背中の傷は平気なのかなと思いながらも、裏庭に到着すると、さっき生えてきていた木には、何もついていなかったはずだった、今は寝呆けていないのに、何故か今はオレンジやパインがなっていた。解せぬ……。
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