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出逢い 雪視点
雪視点1★
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★★★出逢い 雪視点★★★
僕は追われていた。
いつもならやりようがあったのだけど、今日に限っては多勢に無勢で囲まれて、脅されて…、いたぶられて逃げ道を失った。
いくら僕たちが有用な種を生み出すと言っても、誰彼と相手を構わず生み出し、渡すものではない。
ましてや邪な思想の持ち主になど、渡ったところで種は芽吹く事はない。
僕達はアイツラとは相反する存在なのだ。
そのことを理解しない連中、それを餌に人間を利用しようとする連中に、僕らが狙われる事がしばしばあった。それぞれ生み出すモノは違っても、あやかしの木は有用だ。
「もう種を生み出せる妖力も、ないみたいだな!使えない」
「おとなしく種を渡せば、生かしてやったのに」
「もう使えないし、こいつは捨て置こう。どうせもうすぐ、こいつの命もとじるだろう…」
奴らはニヤニヤとした、仄暗い笑みを浮かべながら言った。
★★★
同じあやかしでも、人と共存して生きようとする僕らと、奴らとは生き方が違うのだ。
それでも、僕達は人に追いかけ回されるのは怖かったし、緩やかに距離を詰めてくれる人もいる。人間不信ではないけれど、手放しに信じていいのかもわからない。
僕達にとっての人間は、そんな存在だった。人と仲良くしたいけど、心を預けていいのかわからない存在だった。
妖力のめぐる場所に……、這っていけるか?人形に、なれるだけの妖力は既に残っていない……。
『いま仲間を呼ぶのもまずい…』
僕らの一族は、見た目に反して血の気が多い。一羽で来て僕と同じ目に合うのも問題だが、このやり口を見てこれまで以上に、激しい反撃を始める未来しか見えない。
このまま移動するには、傷はひどく龍脈は遠い。背中の傷から血とともに、体の熱が奪われていく。
★★★
僕はここまでなのかな……。そんな思いがよぎった時、一人の女の人が走り寄ってきた。
『しまった……』
そう思ったのに、その人はすごく焦った様子で、泣きそうな顔で、僕に声をかけてくる。
「大丈夫……?」と。
僕を心配してくれるの?
薄っすらと弱々しくも目を開け、彼女を見る。
腰までありそうな黒髪に色白な肌。左側にある口元のほくろが印象的な優しげな人だった。
ハンカチを出し、「痛いと思うけど我慢してね」と、顔以外をハンカチで包んでくれ、僕をどこかに運んでいく。
綺麗なハンカチが、僕の血に染まってしまうことすら、彼女は厭わない。
龍脈があるすぐそばに、一軒の家が見えた。彼女はその家に僕を連れて入っていく。
小さな箱に寝場所を作り、「可哀想だけど、傷口を手当するね。痛いと思うけど頑張って?もう少しだからね」、そう声をかけながら、消毒をしていく。
手当をしてくれている。
傷口は痛いけど、自分の痛みの様に瞳を潤ませ、手当してくれる女性を、傷つけたくなくて僕は嘴をかみしめ、痛みに耐える。
「頑張ったね……。本当にいい子だね。頑張って元気になろうね……」
僕にそう声をかけ、何やら考え始めたみたいだ。さっきの場所よりも、ずっと龍脈とも近いからか、少しずつだけど力を集めることは出来そうだった。
それに…、何故なのかはわからないけど、この家は邪なものを近づけない…。結界のような…、何かで覆われていた。
★★★
傷の痛みと、逃げ惑っていた疲れと、ここにいれば安全なんだ…。そんな安心感から、僕は意識を手放してしまった。
僕は追われていた。
いつもならやりようがあったのだけど、今日に限っては多勢に無勢で囲まれて、脅されて…、いたぶられて逃げ道を失った。
いくら僕たちが有用な種を生み出すと言っても、誰彼と相手を構わず生み出し、渡すものではない。
ましてや邪な思想の持ち主になど、渡ったところで種は芽吹く事はない。
僕達はアイツラとは相反する存在なのだ。
そのことを理解しない連中、それを餌に人間を利用しようとする連中に、僕らが狙われる事がしばしばあった。それぞれ生み出すモノは違っても、あやかしの木は有用だ。
「もう種を生み出せる妖力も、ないみたいだな!使えない」
「おとなしく種を渡せば、生かしてやったのに」
「もう使えないし、こいつは捨て置こう。どうせもうすぐ、こいつの命もとじるだろう…」
奴らはニヤニヤとした、仄暗い笑みを浮かべながら言った。
★★★
同じあやかしでも、人と共存して生きようとする僕らと、奴らとは生き方が違うのだ。
それでも、僕達は人に追いかけ回されるのは怖かったし、緩やかに距離を詰めてくれる人もいる。人間不信ではないけれど、手放しに信じていいのかもわからない。
僕達にとっての人間は、そんな存在だった。人と仲良くしたいけど、心を預けていいのかわからない存在だった。
妖力のめぐる場所に……、這っていけるか?人形に、なれるだけの妖力は既に残っていない……。
『いま仲間を呼ぶのもまずい…』
僕らの一族は、見た目に反して血の気が多い。一羽で来て僕と同じ目に合うのも問題だが、このやり口を見てこれまで以上に、激しい反撃を始める未来しか見えない。
このまま移動するには、傷はひどく龍脈は遠い。背中の傷から血とともに、体の熱が奪われていく。
★★★
僕はここまでなのかな……。そんな思いがよぎった時、一人の女の人が走り寄ってきた。
『しまった……』
そう思ったのに、その人はすごく焦った様子で、泣きそうな顔で、僕に声をかけてくる。
「大丈夫……?」と。
僕を心配してくれるの?
薄っすらと弱々しくも目を開け、彼女を見る。
腰までありそうな黒髪に色白な肌。左側にある口元のほくろが印象的な優しげな人だった。
ハンカチを出し、「痛いと思うけど我慢してね」と、顔以外をハンカチで包んでくれ、僕をどこかに運んでいく。
綺麗なハンカチが、僕の血に染まってしまうことすら、彼女は厭わない。
龍脈があるすぐそばに、一軒の家が見えた。彼女はその家に僕を連れて入っていく。
小さな箱に寝場所を作り、「可哀想だけど、傷口を手当するね。痛いと思うけど頑張って?もう少しだからね」、そう声をかけながら、消毒をしていく。
手当をしてくれている。
傷口は痛いけど、自分の痛みの様に瞳を潤ませ、手当してくれる女性を、傷つけたくなくて僕は嘴をかみしめ、痛みに耐える。
「頑張ったね……。本当にいい子だね。頑張って元気になろうね……」
僕にそう声をかけ、何やら考え始めたみたいだ。さっきの場所よりも、ずっと龍脈とも近いからか、少しずつだけど力を集めることは出来そうだった。
それに…、何故なのかはわからないけど、この家は邪なものを近づけない…。結界のような…、何かで覆われていた。
★★★
傷の痛みと、逃げ惑っていた疲れと、ここにいれば安全なんだ…。そんな安心感から、僕は意識を手放してしまった。
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