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出逢い 雪視点
雪視点7★
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樹里さんはふと僕らの方に視線を向けてきた。
「うーん。どうせ唐揚げするならポテトも揚げちゃおうか?」
「フライドポテト……好き……」
思わずつぶやく僕ら。
冷蔵庫などを行き来しながら、準備をすすめる彼女を僕らはただ見てるだけ。なにか手伝えたらいいのに何も出来ない…。
「二人は八丁味噌のお味噌汁とかも食べれるかな?」
そうして会話の中で、僕らの好みを確認しながらメニューを調整するらしい。なんだか樹里さんは格好いいなと僕は思った。
「「食べれますよ」」
そう答える。ちょっとお味噌の香りや味に癖があるけど好きだし。
「じゃ、ちゃっちゃと作りますか~」
…と、お味噌汁の準備をし始めたみたい。
僕らが見える人に、たまに食べさせてもらうことはあるけど、僕らの好みを聞いて作ってくれるのは初めての体験だ。
★★★
おかげで詩紋まで、かなり樹里さんに傾倒してるように見える。
大切な親戚だから大事にしたいけど、樹里さんは僕だけのご主人様になって欲しいって、本能もあるのだ。ヤキモチだってやきそうだ。だって僕らは嫉妬深いから…。
そんな思いにふけっていると、お味噌汁のお出汁がすごく美味しそうな香りを放ち始める。鰹節の優しい匂い……。
見慣れた手順なら具を入れてお味噌をとかして、完成のはず…、なのに何やらまた違うことをやっていた。
「うん。美味し♪」
ちょっと小皿にとって味見をしている。そう言って、次は揚げ物に取り掛かろうと、オリーブオイルを取り出す樹里さん。
ふとこちらの気配に気がついたのか、僕らを見つめ不思議そうに問いかけてきた。
「ん?どうかした??」
「見たことない工程たくさんしてるし、すごく楽しそうに作ってるから、見惚れてました」
「うん、樹里さんとっても楽しそう」
なぜだか僕らまでワクワクする。
お味噌汁はテレビで見た有名店の作り方を見て試したら、味が気に入ったそうだ。有名店のお味噌汁で、1杯で千円…。なんかすごそうだ。
「お料理は楽しいの。誰かと一緒にいただくときは特にね。ふふ」
嬉しそうに楽しそうに、お料理を進めていく樹里さんを、ただ見つめるしかできない僕ら。
唐揚げがジュッといういい香りと音をさせつつ、油に入れられていく……。ニ度揚げ?とか言うのをして、中を柔らかく外をカリカリに揚げるらしい。
樹里さんは味見してみる?と僕らに唐揚げを差し出してきてくれた。ニンニクと生姜の効いた美味しそうな香りに一も二もなく食いつく僕ら。
「「にんにくたっぷり美味し~~!」」
頬を抑えながらうっとり食べる僕らの頭を軽く撫でてくれた。
「残りも揚げちゃうね。 あ、お茶碗とお椀そこにあるから軽く洗ってご飯ついでてくれるかな?? サラダも冷蔵庫から出してくれるかな?」
ちゃんと僕らにもお手伝いさせてくれるのも、なんだか嬉しくて、詩紋と目を合わせ笑い合う。
「わかりました」
「詩紋もなにかお手伝いする! 詩紋は取皿お皿持ってくるね!」
「ありがとう。雪くん、詩紋ちゃん」
そう言い、樹里さんは、笑顔を見せる。
僕らはワクワクしながら、慎重にお皿を出してご飯をついでいく。最後に冷蔵庫から冷え冷えのサラダとドレシングを持って来て置くと、席に座るよう勧められる。
詩紋も取皿やお箸を、綺麗にセッテイングできたようで、ご満悦の様子だ。
「よし!出来たから食べましょう。お味噌汁のおネギは好みで入れてね?」
「「「いただきます!!」」」
お味噌汁も、なんだか味が柔らかくて美味し……。
「こんなに美味しい物、初めて食べたよ?!」
頬を染めながら詩紋は言う。
「大げさだなぁ、でもありがとうね。喜んでもらえてすごく嬉しい」
「…僕気になってたんですけど…。樹里さんのご飯……妖力の増加がすごいですね。傷残ってたのに、完全に治ったみたいです……」
重湯を食べてくれた、そのあとの回復はすごく早かったように思う。最初は龍脈の近くだからだと思ってたけど。
「ずっと樹里さんのご飯食べて生きたい……」
「なんていうか二人ともこのまま、うちに住む?? 1人じゃ淋しいし…」、なんて樹里さんがいってくれた。
ん?僕を自然に返したら、文鳥を飼う気でいたとか、聞き捨てならない話が聞こえた気がした。そうならなくて良かった。心底僕はそう思う。
これから僕らの、不思議な新生活が、始まろうとしている。
「うーん。どうせ唐揚げするならポテトも揚げちゃおうか?」
「フライドポテト……好き……」
思わずつぶやく僕ら。
冷蔵庫などを行き来しながら、準備をすすめる彼女を僕らはただ見てるだけ。なにか手伝えたらいいのに何も出来ない…。
「二人は八丁味噌のお味噌汁とかも食べれるかな?」
そうして会話の中で、僕らの好みを確認しながらメニューを調整するらしい。なんだか樹里さんは格好いいなと僕は思った。
「「食べれますよ」」
そう答える。ちょっとお味噌の香りや味に癖があるけど好きだし。
「じゃ、ちゃっちゃと作りますか~」
…と、お味噌汁の準備をし始めたみたい。
僕らが見える人に、たまに食べさせてもらうことはあるけど、僕らの好みを聞いて作ってくれるのは初めての体験だ。
★★★
おかげで詩紋まで、かなり樹里さんに傾倒してるように見える。
大切な親戚だから大事にしたいけど、樹里さんは僕だけのご主人様になって欲しいって、本能もあるのだ。ヤキモチだってやきそうだ。だって僕らは嫉妬深いから…。
そんな思いにふけっていると、お味噌汁のお出汁がすごく美味しそうな香りを放ち始める。鰹節の優しい匂い……。
見慣れた手順なら具を入れてお味噌をとかして、完成のはず…、なのに何やらまた違うことをやっていた。
「うん。美味し♪」
ちょっと小皿にとって味見をしている。そう言って、次は揚げ物に取り掛かろうと、オリーブオイルを取り出す樹里さん。
ふとこちらの気配に気がついたのか、僕らを見つめ不思議そうに問いかけてきた。
「ん?どうかした??」
「見たことない工程たくさんしてるし、すごく楽しそうに作ってるから、見惚れてました」
「うん、樹里さんとっても楽しそう」
なぜだか僕らまでワクワクする。
お味噌汁はテレビで見た有名店の作り方を見て試したら、味が気に入ったそうだ。有名店のお味噌汁で、1杯で千円…。なんかすごそうだ。
「お料理は楽しいの。誰かと一緒にいただくときは特にね。ふふ」
嬉しそうに楽しそうに、お料理を進めていく樹里さんを、ただ見つめるしかできない僕ら。
唐揚げがジュッといういい香りと音をさせつつ、油に入れられていく……。ニ度揚げ?とか言うのをして、中を柔らかく外をカリカリに揚げるらしい。
樹里さんは味見してみる?と僕らに唐揚げを差し出してきてくれた。ニンニクと生姜の効いた美味しそうな香りに一も二もなく食いつく僕ら。
「「にんにくたっぷり美味し~~!」」
頬を抑えながらうっとり食べる僕らの頭を軽く撫でてくれた。
「残りも揚げちゃうね。 あ、お茶碗とお椀そこにあるから軽く洗ってご飯ついでてくれるかな?? サラダも冷蔵庫から出してくれるかな?」
ちゃんと僕らにもお手伝いさせてくれるのも、なんだか嬉しくて、詩紋と目を合わせ笑い合う。
「わかりました」
「詩紋もなにかお手伝いする! 詩紋は取皿お皿持ってくるね!」
「ありがとう。雪くん、詩紋ちゃん」
そう言い、樹里さんは、笑顔を見せる。
僕らはワクワクしながら、慎重にお皿を出してご飯をついでいく。最後に冷蔵庫から冷え冷えのサラダとドレシングを持って来て置くと、席に座るよう勧められる。
詩紋も取皿やお箸を、綺麗にセッテイングできたようで、ご満悦の様子だ。
「よし!出来たから食べましょう。お味噌汁のおネギは好みで入れてね?」
「「「いただきます!!」」」
お味噌汁も、なんだか味が柔らかくて美味し……。
「こんなに美味しい物、初めて食べたよ?!」
頬を染めながら詩紋は言う。
「大げさだなぁ、でもありがとうね。喜んでもらえてすごく嬉しい」
「…僕気になってたんですけど…。樹里さんのご飯……妖力の増加がすごいですね。傷残ってたのに、完全に治ったみたいです……」
重湯を食べてくれた、そのあとの回復はすごく早かったように思う。最初は龍脈の近くだからだと思ってたけど。
「ずっと樹里さんのご飯食べて生きたい……」
「なんていうか二人ともこのまま、うちに住む?? 1人じゃ淋しいし…」、なんて樹里さんがいってくれた。
ん?僕を自然に返したら、文鳥を飼う気でいたとか、聞き捨てならない話が聞こえた気がした。そうならなくて良かった。心底僕はそう思う。
これから僕らの、不思議な新生活が、始まろうとしている。
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