The best is yet to come.

玄道

文字の大きさ
3 / 3

The best is yet to come.

しおりを挟む
 モニターの中で髭の殺し屋が次々とスタイリッシュなアクションを決める。
 酒が入っているし、こんな時なのでこういうのが良い。


 加奈がボソリ。
「こんな旦那なら良かった?」
 手をヒラヒラさせて突っぱねる。
「愛妻家でイケメンでも殺し屋じゃね」
「同感」

 更に酒とつまみ、映画は続く。
 殺し屋がホテルでマフィアの精鋭と死闘を繰り広げる。遂に朝を迎え、彼は撃たれて落下──まあ知ってるけど。ここから未見だ。

 あ、ホテル吹き飛んだ。派手だな、流石ハリウッド。

 酔いがかなり回ってきた。眠い。

 気付いたらスクリーン──いや夢の中だった。それくらい流石にわかる。目の前にキアヌがいてたまるか。

「マナ、どうして……君は死んだのに」
 夢の中でもこんなことに?何、今日厄日?今年厄年だっけ?スピリチュアルに興味がないので厄日、厄年という単語は知っていてもそれ以上の知識は無い──死人に厄年も糞もないか。
「えーっと、その」


「マナ…………マナ!真奈美!!」
 現実への帰還。映画はかなり進んでいた。日本人出てる。誰だっけ?

 そのまま霞のかかった思考で映画鑑賞は終わった。酔いのお陰で内容はほぼ覚えていない。

「寝言言ってたよ、マナ。『一成かずなりを始末してえええっ!!』だって」
 うぉ、マジか。

 映画は良い。何もかも忘れられる。
 ──だけどいつかフィルムは終わるわけで。

 私達観客は現実に戻らなきゃならない。彼らスターにも現実の生活がある。

 これからの事を思った。アルコールが残っているのか、ぼんやりとしか思考できない。

「次何観る?週末はこれからよ?終わったら珈琲淹れる練習ね、新人さん」

 ──そう、これからだ。少しくらい息抜きしても良いのかもしれない。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

【完結】旦那に愛人がいると知ってから

よどら文鳥
恋愛
 私(ジュリアーナ)は旦那のことをヒーローだと思っている。だからこそどんなに性格が変わってしまっても、いつの日か優しかった旦那に戻ることを願って今もなお愛している。  だが、私の気持ちなどお構いなく、旦那からの容赦ない暴言は絶えない。当然だが、私のことを愛してはくれていないのだろう。  それでも好きでいられる思い出があったから耐えてきた。  だが、偶然にも旦那が他の女と腕を組んでいる姿を目撃してしまった。 「……あの女、誰……!?」  この事件がきっかけで、私の大事にしていた思い出までもが崩れていく。  だが、今までの苦しい日々から解放される試練でもあった。 ※前半が暗すぎるので、明るくなってくるところまで一気に更新しました。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います

こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。 ※「小説家になろう」にも投稿しています

【完結】旦那は堂々と不倫行為をするようになったのですが離婚もさせてくれないので、王子とお父様を味方につけました

よどら文鳥
恋愛
 ルーンブレイス国の国家予算に匹敵するほどの資産を持つハイマーネ家のソフィア令嬢は、サーヴィン=アウトロ男爵と恋愛結婚をした。  ソフィアは幸せな人生を送っていけると思っていたのだが、とある日サーヴィンの不倫行為が発覚した。それも一度や二度ではなかった。  ソフィアの気持ちは既に冷めていたため離婚を切り出すも、サーヴィンは立場を理由に認めようとしない。  更にサーヴィンは第二夫妻候補としてラランカという愛人を連れてくる。  再度離婚を申し立てようとするが、ソフィアの財閥と金だけを理由にして一向に離婚を認めようとしなかった。  ソフィアは家から飛び出しピンチになるが、救世主が現れる。  後に全ての成り行きを話し、ロミオ=ルーンブレイス第一王子を味方につけ、更にソフィアの父をも味方につけた。  ソフィアが想定していなかったほどの制裁が始まる。

処理中です...