Rotstufen!!─何もしなくても異世界魔王になれて、勇者に討伐されかけたので日本に帰ってきました─

甘都生てうる@なにまお!!

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第2章 Alea iacta est!(本編本格始動の章です)

11話4Part 下界って、こっちの世界の何なんでしょうね...?下界についての考察回です

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 ピピピ、ピピピ、ピピピ......


「ん......うー......」


 ピピピ、ピピピ......ガチャッ、ピッ......


「んー......?」


 ......バシャッ......コト、


「......は?」

「起きろ、ポンコツ勇者」

「......は?」

「まだ俺は右手がよく動かないからな、トーストくらいしか用意できなかったぞ」

「いやまてまてまて、起こしに来てくれたのと朝食の用意はありがたいが、これは......?」


 ......10月某日、翠川は自身の寝台の上で、頭にひやっとした感覚と布団、枕と触れ合う面の猛烈な不快感で目を覚ました。

 ......一会からほぼ体全体を氷漬けにされ瀕死状態だった或斗を保護したのが昨日。もはやあーとかうーとかぐらいしか言わなくなった或斗を、急いでベッドに寝かせて暖房フル稼働+上下のジャージとパーカーを着せて毛布を3枚がけで重ねたものを上にかけてとにかく暖めてやり、気休め程度にヒール回復魔法をかけた。

 ......とにかく不服だが、ひじょ~に不服極まりないが献身的に治療してやったのだ。しかし......

 頭の不快感と翠川自身の長い髪を伝って床に落ちていく水滴......そして何より寝台近くの棚の上に置かれた、つい先程まで水が入っていたであろうガラス製のコップ。


「ああ、水だ、水」

「水を、なぜ頭に......?」

「寝耳に水というではないか、いくら寝ているといえど耳に水が入れば誰しも起きるというもの」

「あれはことわざだ!こ、と、わ、ざ!!本当に寝ている人の耳に水をかけるやつがあるか!!」


 ......寝耳に水、不意の出来事に驚くという意味のことわざ。 耳は、人の体の中で最も無防備な部分の一つであることから(ry


「でも、貴様はかけたらすぐ起きたではないか、目覚まし時計では起きなかったのに。それに寝台は無事だ、ドライで乾かしておいた」

「そういうことではない!!」


 淡々と返す或斗に逆上する翠川。大声で返したあと、


「右手がよく動かないなら、リハビリでもしていろ!!」


 と或斗を自室から閉め出してしまった。


「貴様、今日なにか予定でもあるのか?」


 ガチャッ、


「私は今日も仕事だ!!!」


 ギッ..バタンッ!......


 激しくドアを開けて怒鳴りつけたあと、翠川はすぐにドアを閉めた。その様子にただ唖然としていた或斗は、


「......むう、仕方ない。下界の世界地図でも書くか」


 カチカチッ、サラサラサラ......


 そう言って翠川宅唯一の和室である茶の間に移動し、部屋中にペンを走らせる音をかすかに響かせながら何かを書き連ね始めた。



                                                        ◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 サラサラサラ......ガチャッ、パタン......


 或斗が数10分前に何かを書き始めた紙には、びっしりとはいかずとも黒ペンと赤青ペンで書かれた、地図のようなものが既に書き表されている。


「......何されてるんですか?」

「あ、帝亜羅さん!いえ、固まってしまった右手のリハビリに下界の世界地図でも~っと思いまして......」


 A4のコピー用紙に未だ熱心に何かを書き連ねていた或斗に、静かに部屋に入ってきた帝亜羅が声をかけた。帝亜羅に気づいた或斗はゆっくりと紙の前からどき、帝亜羅の席をあけた。





「へえ~......なんかどこかで見たことあるような、ないような......あ、この真ん中の下の英語?みたいなやつって、なんて書いてあるんですか?」

「......少々長くはなりますけれど、1番上から説明しますね。1番上はラグナロク語で、ラグナロク......」

「......少々長くはなりますけれど、1番上から説明しますね。1番上はラグナロク語で、ラグナロク......経済良好、奴隷制度健在って書いてあります。それから......」


 ......或斗は帝亜羅にそれぞれの言葉の意味を丁寧に説明しながら地図中央からやや下の、日本語以外の言語の羅列部を指さした。

『ラグナロク......経済良好、奴隷制度健在
 ヴォルケンクラッツァー......魔人差別、経済は安定
 シーツリヒター......他地方との経済格差が絶望的
 メロウフォレスト......自然豊かで魔獣が沢山
 レグルス・セプルクルム......巨大な温室内にある墓地園
 エインヘリアル......魔界大陸中央部の大都会、魔王城は常にここ』


「へえ~、いろんなことが書いてあるんですね......あ、或斗さん!」

「はい、なんでしょう?」

「この言語......確か、聖火崎さん達がたまに使ってる......魔界語?」

「ああ、望桜さんか誰かが間違って説明されたのですね、聖火崎達が使うものは、一般的にいえば魔界語ではなくラグナロク語です。まあ、魔界住人と人間界の人間の約大半が話せるので、誤解するのも無理はないですが」

「そうなんですね!その魔か......ラグナロク語って、望桜さん曰くこっちのドイツ語に当たるらしいんですよ!......それを、このCoogleの写真翻訳を使ってこっちの何語にあたるのかを調べてみたら面白いかな~っと思って!」


 そう言って帝亜羅はスマホのとあるアプリを起動した画面を或斗に見せた。......Coogle翻訳、と画面には表示されている。上にドイツ語、下に日本語と表記してあるが、使ったことのない或斗はその画面を見てもどう使うかはわからなかった。


「ほおお、何語になるのかを調べる......確かに、もしかしたらどこかの言語に当てはまるかもしれないですもんね、やってみましょう!」


 パシャッ、


「......お、やっぱりラグナロク語はドイツ語なんですね!じゃあこれは......」



                                                   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「......と、こんな感じですね!あ、本当に書き込んで大丈夫だったんですか?」

「大丈夫ですよ、しっかりとした地図ではないですし」


 或斗によって書かれていた下界の簡易世界地図には、帝亜羅の手によって赤ペンでどの言語と一致したかが書き込まれていた。





「にしても......やっぱりどこかで......あ!世界地図!こっちの世界地図と一致してるんだ!」

「こちらの......ですか......?」

「はい、なんかこっちの世界地図と似てるんですよね......」





「あ、言われてみれば......ん?って感じではありますが何となく似てるような......そういえば大昔の世界大戦で、下界の大陸は結構陸地が削れたりとかで大陸の形が変わってるところがあるって聞いたことがあります、関連性があるかはわかりませんが」

「はあ......あ、そういえば言語......人間界の言語って......ドイツ語、フランス語、ポーランド語............ヨーロッパ......?」

「ヨーロッパ......あれ、ラグナロクではドイツ語が使われていて、ラグナロクのある位置は、こっち日本の方の世界地図のドイツがある場所と同じ......」

「ほんとだ......」


 2人で2枚の地図を見比べ、2人ともが思ったことを口にしてその内容に思わず顔を見合わせた。


「「......え?」」

「......或斗さん、とりあえず......あ、」


 帝亜羅は視界の隅に見えた時計の針の指し示す時刻を見てさっと顔色を変えた。......午前10時、なにか予定でもあるのだろうか。


「どうなさいました?」

「私、そろそろ帰りますね!リハビリ、頑張ってください!......とはいってももうほぼいつも通りみたいですけど......」

「ですねww......では、また」

「はい!あ、この地図もらっていってもいいですか?」

「大丈夫ですよ」

「では、さようなら!!お邪魔しました~!」


 ドタドタドタッ、ガチャッ......バタン......


「......どういうことなんだろうな、これ......」


 窓とカーテンの隙間をかいくぐった、爽やかで涼しげな午前の斜陽を、1人部屋で浴びながらぽつりと呟いて、或斗はとりあえず昼寝をすることにした。



 ───────────────To Be Continued─────────────



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