Rotstufen!!─何もしなくても異世界魔王になれて、勇者に討伐されかけたので日本に帰ってきました─

甘都生てうる@なにまお!!

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第3章 (元)魔王と勇者は宇宙樹の種子と

18話2Part ヴァルハラ滞在1日目のみんな②

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 一方その頃、同館の調理室にて再びコックやキッチンメイド達のざわめきが上がった。野次馬の多さに人壁が成され、その中心には薄紫頭の青年......或斗あるとが調理台の上で1つの皿に料理の盛りつけを行っていた。

 口では仕上げの方法を説明しながら、手で1つ1つ丁寧に盛っていく。その手つきは慣れたもので、プロと言われても納得がいくほどの腕前だ。その料理の技量の前に、厨房の守り人達は何もせずただ見守っている。


「......と、揚げた干し魚と炒めた穀物を盛れば......はい、ナシレマの完成です。コツとしては......そうですね、資金等に余裕があるようでしたらパサパサした水分の少ないお米を使用することですかね」

「アスタロト様、参考になります!!」

「早速炊き出しの際に新料理として農村の方々に食べてもらいます!」


 自分達が見た事もないような料理の数々、ざっと100数種類はあろうかという食べ物はその全てが圧巻の出来で、匂いを嗅いでいるだけでお腹が空いてしまう。コックとメイド達はまた1つ出来上がった料理に思わず口を押えて感動している。しかし......


「ところで......作りすぎじゃありません?確かに私達が色々な料理をお作りするようお願いしたのですが......」

「あ、安心してください。俺とべるね......ベルゼブブ様で全て頂くので」


 そのあまりにも多過ぎる量に、食べきれるのかと心配になる守り人達。しかし或斗はそれは杞憂だとさらりと告げた。


「なら大丈夫ですけど......」

「あ、ちょっと無駄話いいですかぁ~?」


 その言葉に若干不服そうに俯くメイドの隣から、爬虫類のしっぽの生えたメイド......ファフニールと同じ飛龍族の娘が間延びた声で人混みの真ん中に居る或斗に声をかけた。


「皆さんの話は面白いので、むしろ聞かせてください!」


 そしてメイドが気さくに話しかけて来るのに対して、或斗もまた気さくに、どこか嬉しげに答えた。その間にも調理室の隅にある座面の部分が広めのソファの元に移動し腰掛ける或斗に、野次馬はぞろぞろと着いて行った。


「ありがとうございますぅ~!!実は昨日~産卵をしまして~、下のお口が特に結構大変だったんです~!......」

「えっ」

「ちょっとタラスク!!お客様にそれは......」


 しかしメイドの話の内容に声を上げて驚いてしまう。隣に居たメイドが口を塞いで慌てて止めるのだが、饒舌な飛龍族の娘の口はその程度では止めることが出来なかった。


「もごっ......え~、いいじゃありませんかぁ~?」

「タラスク!!そんなガイルな話をしないの!!!申し訳ありません!アスタロト様............?」

「それで~......あれ?どうなさいました?」


 なんともアダルトな話に余計慌てて止めにかかったが時すでに遅し。娘の口からボロボロとR-18な話が出るわ出るわ、隣のメイドも何も出来ずに謝罪だけを行なったのだが、未だに野次馬に囲まれたままの或斗の反応につい動きを止めてしまう。

 周りのコックとメイド達の反応は苦笑いを浮かべたり失笑したりだったのだが、堕天使の青年は......


「み、みなさんよく平気な顔で聞いていられますね......」


 顔を紅潮させながら視線をうろうろとさせ、コックやメイド達の目にはたじ......というオノマトペが頭の上に浮かんでいそうなくらいにはもじもじとしている。それでもおずおずと口を開いて、メイド達からの視線に対応しようとしている。


「え~、だって別になんともないですもんねぇ~?」 

「私も特には......」

「え、だって......そ、その話って飛龍でもそうですけど......その......」

「......?」

「......に、人間の尺度で言ったら......すっごくえっちじゃないですかぁ......//」

「......へ、あ、なんかすみません~!!!」

「かわ......じゃなくて、だから言ったじゃないタラスク!!」


 やがて俯いてからたじたじしながらも小声で答える様に、コックやメイド達からは数分前までとは別の意味で歓声が上がる。その様子にはほんの数分前までプロ級の料理をさくさくと作り、周りの人達からの質問にもはきはきと答えていた"しっかり者"の風貌は全く感じられず、そのギャップが受けるんだろうと飛龍族の娘の隣に居たメイドは思った。


「可愛い!!なんか無性に撫でたくなった!!」

「ここが母性をくすぐるんでしょうね......失礼します」

「え、あの、耳はやめ......ふあ、ちょ、擽ったい......!」


 そして先程の反応にメイド達が殺到して色々撫で回され、別に飛龍族の娘が言ったような事をされた訳では無いのだが或斗の息は自然と上がっている。俄然紅潮したままの頬に、時折覗く赤い舌。如何なものか......そう周りで見ている交じろうにも交じれないコック達は思った。

 そんなてんやわんやな厨房に1人の使用人が近づいてきていることに、中にいた者達は気づかなかった。


「失礼しま......何をされているのですか?」

「あ、使用人長様......!」


 ......使用人長·ダンタリオンだ。白髪を揺らしながら颯爽と入ってきた上司に、ざっとひざまずき敬服の姿勢をとる厨房の守り人達。その様子には目もくれず、中心のソファの上に横たわり涙目で薄い胸板をはあはあと上下させる或斗の元に駆け寄り、優しく声をかけた。


「......アスタロト様、ご無事ですか?」

「......へ、あ、何とか......」


 或斗は瞼をゆっくりと開けて潤んだ双眸でダンタリオンの姿を捉えると、口を開いて息を整えてから返事を返した。そしてその後に起き上がって乱れた着衣を直しながら、ソファから立ち上がる。


「地下にご案内しようかと思いまして参ったのですが、お邪魔でしたか?」

「......な、別にそういう訳じゃ......!」

「でしたら、ご一緒に拷問室へ」

「えっ......」


 ダンタリオンの言葉にざわめきが上がるが、それを気にせず2人は厨房を後にした。

 カツ、カツと靴の音だけが響く広い廊下を2人で歩きながら、地下への階段へと向かう。


「......大変でしたね、お疲れ様です」

「う......聞かれてましたか」

「まあ、随分可愛く啼かれていたのでつい......」

「傷口に塩をすり込むのはやめてください!!結構、恥ずかしかったんですから......」


 涙目になりながらもダンタリオンの皮肉に苛苛しつつ、足だけはしっかり動かす或斗。ダンタリオンはそんな様子を横目で見ながら、案内を続けた。


「ところで......なぜ拷問室に?」

「拷問がお好きと聞いたので......囚人は皇国牢にいた極悪人の殺人鬼です。お好きなように拷問してくだされば......何をしてもいいです。もちろん、やられますよね......?」

「......血湧き肉躍る、ってやつですね......」


 先程とは打って変わって冷徹な笑みを浮かべる或斗に、ダンタリオンもまた満足気に笑うのだった。



 ──────────────To Be Continued──────────────



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