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第4章 (元)魔王と勇者の憩場に
✨22話1Part 異世界生物達の日常①
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......唐突ながら兵庫県神戸市中央区本町、ヨシダパークハイ厶331号室にてサンタ(?)が4人、降臨していた。
「サンタってプレゼント配る八十路位の太ったおじいさんのことなんでしよ?八十路の人って、全世界の子供にプレゼント配れるのかしらね?よほど鍛えてないと体力的に無理じゃないかしら?んむっ、............!このケーキ美味しいわね!」
子供の夢を壊すような発言を堂々と行っている黒紫色の髪を持つ少女......聖火崎 千代は、スタンダード(を逸脱した)ミニスカレッドワンピースサンタコスで、むぐむぐとケーキを頬張っている。
「あ、あの、似合ってる、かな......?」
そして茶髪の髪を持つ少女......奈津生 帝亜羅は膝下丈のスカートにポンチョタイプの、装飾の細かいサンタ服を纏っている。前に立っている鐘音と梓の2人にそう訊ねて、可愛いよ!と一声貰ってふにゃりと笑いながら喜んでいる。
「いや、なんで僕だけこんなガチサンタコスなわけ......?」
その横で自身の格好にぶちぶちと文句を言っているのは、翠色の外ハネくせっ毛の青年......我厘 重。全身が北欧にいるとされる"聖人"サンタクロースの格好をそのまま持ってきたような服装で、それプラス付け髭まで装備させられているこの状況がすこぶる嫌らしく、クリスマスパーティーがはじまってから、常に不満全開の表情である。
「ね、ね......あのさ、これ、女物のやつじゃないの......?」
そしてホットパンツに肩出しポンチョパーカーサンタスタイルの、藍髪金目の少年......桃塚 瑠凪は、出ている足を温めるべくヒーターの前に陣取って、羞恥からか普段の彼らしく堂々としておらず、一気にかぶりつかずにもそもそとチキンを食している。
「ぐへ、ぐへへ......可愛い、Niall(某大手ネット通販サイト)で良いやつ見つけてもらっといてよかった~!あと沙流川と或斗がいてくれて良かった!!可愛い、ぐへへ......」
「ねえ、気持ち悪いよ」
そしてその様子をにやにやしながら眺めている緑丘 望桜は、帝亜羅の元から少しだけ浮かれつつ戻ってきた鐘音から、そうそうに冷ややかな視線を浴びせられている。
「おうよ!重々承知の上だ!!」
「......はあ」
しかし、望桜にとっては何処吹く風だ。一切気にした様子はなく、それどころか鐘音に向かって満面の笑み+自信たっぷりな声でそう答えた。元気の良い返事を返された鐘音は、何こいつ......と引きまくっている。そして手近な所にあったシャンメリーを一気に呷いだ。
彼等が集う部屋中央の机の上には、イベント事に相応しい豪華で美麗な食物·飲物が並んでおり、皆が普段着る服とは違ったテイストの服を身にまとっている。
そんな部屋の中央よりやや北の位置で、聖火崎は机に片足乗せるというなんとも気品のない体制と態度そのままに大声で叫んだ。
「メリークリスマス!!」
「なんかデジャヴだな!!」
(元)魔王は、盛大に声を上げた聖弓勇者に、同じくらい盛大に突っ込んだのだった。
──────────────Now Loading──────────────
「「ク、クリスマス限定メニュー?」」
「そ、クリスマス限定メニュー!」
自身の言葉にきょとんとした顔で唖然としている従業員達と、1人全てを達観したような眼差しですましている望桜に向かって、猫カフェMelty♛HoneyCatsのオーナー·兎逹 零央は満面の笑みを見せつけた。
スタッフルームにメルハニの従業員のうちのほぼ全員が集まっているため、窮屈ではないが若干狭い。
......"緑丘宅に4人のサンタが降臨する"という事の発端は、その前日、Melty♛HoneyCatsの終業直前に起きた割と些細で、それ故に日常の範囲内として余裕で流せてしまうレベルの出来事であった。
「うちみたいな個人経営の店は大手のチェーン店に勝つために、他店よりも更に独創性とお客のニーズに応えることが重要視されるのさ!それで皆も知ってる通り、今、世の中はいわゆる"クリスマスシーズン"というやつに突入している」
ふふん、と音が聞こえてきそうなほど誇らしげに説明する兎逹の姿は、後ろの閉じられた共用クローゼットの扉と共に、望桜と瑠凪の脳裏に深く鮮やかに刻まれた。
「望桜くん、お披露目しちゃっても大丈夫かい?」
「構わないっすよ!!ってかむしろ早く試着を!!」
「よしきた!!」
望桜と兎逹の間だけで、何かが進んでいく。それを他の従業員達はただ見つめている事しかできなかった。そんな中、望桜からの許可を得た兎逹が、共用クローゼットの取手に手をかけた。
静かに力を込めていって、やがて開かれた扉の向こうには、見慣れている制服がいくつかともう1つ、普段あまり見かけない系統の服が従業員分入っていた。
シンプルでシックでもあるメルハニの制服と、それに相反するかのように派手な赤と白の服が、互いの特徴をいい意味で相殺し合いながら仲良く並んでいる。
それを見るなり、あー......と何かを悟ったように、思い出したようにそれを眺めている瑠凪の横で、望桜は未だにすまし顔だ。しかし無理もない。なぜならこの件に関しては、望桜が深く密接に関わっているからである。
「それじゃあみんな、自分のネームプレートが付いているサンタ服を着てみておくれよ!!」
「............望桜くん、試着って?」
兎逹の掛け声で全員がサンタ服を手に取って更衣室に移動している最中、なんとなく察しは着いている様子の丞が、望桜にコソッと訊ねかけた。
「1週間くらい前からオーナーから俺に、サンタ服をリサーチするよう言われたんだ。それで、俺の同居人の1人がNiallで調べて、ほしい物リストに入れて置いたうちのいくつかをオーナーが選んで買っといたってわけだ」
「あー、それでこないだなんの前触れもなく学校の集金みたいなことやってたんだ」
望桜がさらりと答えると、丞は目の前の出来事の全貌を完璧に理解したようで、自身のネームプレートが付けられているサンタ服を手に取り、スタッフルームを後にした。
「あ、私はまた今日も用事があるから、そろそろあがらせてもらうよ!後のことは任せたよ!」
「りょーかいです!お疲れ様でした!!」
そして外套を羽織り、兎逹もまた足早に店を出ていった。......最近、兎逹は外出が多く、店にいないことも多い。その時は丞がオーナー代理として店を仕切る。
......兎逹は基本的に裏方で仕事をしているため"兎逹 零央"という人物がオーナーだということは知っていても、その人物がどんな人物なのかは知らない客も多い。そのため、店への表立った影響も少ない。が故に、従業員もあまり気にしてはいない。
そして各々も自身の服の着心地やサイズ感、機能性、動きやすさ等を確認した後に私服に着替え、自宅へと帰っていく。
「それじゃあ望桜くん、明日は頼んだよ」
「おっけ!それじゃまたな!!」
やがて皆より遅く試着し始めた丞もいつの間にか私服に着替えており、望桜に声をかけて、夜の神戸の街に溶け込んで帰路に着く。
「ん、と......」
「よーし、みんな帰っ......あー......て、瑠凪お前まだ居たのかよ!?」
粗方店の戸締り確認などを済ませて、望桜があー......と思い切り気を抜いて椅子にへたりこんだ所に、奥の部屋からいかにも着替え途中な格好である瑠凪が、服と格闘しながら出てきた。
自分以外誰もいない、そう括ってだらけていた望桜は、パイプ椅子を大きな音を立てて倒しながら、飛び跳ねて驚く。
「え、あ......うん。これ、ちょっと外しにくくて」
瑠凪はそう言いながらボタンを外そうと頑張っているのだが、なかなか外せない。
「ああ、どーりで......貸してみ、俺が外してやるよ」
それを見かねた望桜が、駆け寄って外してやると、
「......お、おー......ありがと。......あー、誰かにこーゆー事してもらったの、なんか久しぶりだなー」
小声でお礼を言いつつ、何かを懐かしむように目を細めた。
「まあ確かに、このくらいの歳になると人にやって貰うことってほとんどないしな。それに、瑠凪って誰かに世話焼いてる感じも、逆に誰かに世話焼かれてる感じもねぇし」
「或斗には世話になってるとこあるけど......よっと」
こくり、と小さく頷きつつ、"例のサンタ服"から私服に着替える瑠凪。するりとサンタ服から両手両足を抜いて、私服の袖に腕を通した。客も従業員も居らず2人きり、気温は深夜0時らしい寒さで人も少ないためか、室内も外とあまり大差ない温度だ。
「......天界での出来事を思えば恩返しっていうか親孝行っていうか、なんかそんな感じするから、あまり......迷惑をかけてる?風ではないかな」
ほんの少し曖昧にそう答えた瑠凪。それに、望桜は何かが引っかかった、気になったようでぴくりと反応した。
「へー......なあ、天界でのお前らの関係って......?」
望桜は、そう言い終わらぬまま訊ねる。これ、まだ会って3ヶ月で聞くことか......?と、唐突に思ってしまったのだ。
普通の人間ならまだしも、相手は自身の数10倍は確実に、そしてよもや数100倍は生きているやもしれない大悪魔だ。過去に何か特別な事情でも抱えているかもしれない。そう考えた。
「あー......上司部下、かな?」
「上司部下か......そんな社会的な関係だけには見えねぇけどなー......」
望桜の独り言とも取れるぼやきを受けて、瑠凪は静かに問いかける。
「そんなに知りたい?」
「まあ、知りたいっちゃ知りたい。お前がいいならだけどな」
そしてそんな小さな問いかけに、望桜もまた、それに合わせたかのように小声で答える。珍しい白雪が街に訪れている中で、LED電球が街を遍く照らす景色をじっと眺めながら。
「......じゃあ、明日の夜に、どっか行こうよ。あと或斗がクリスマスパーティーするって意気込んじゃってたから、参加してくれると嬉しい。......何なら、サンタのコスプレしたげる」
......そう、今までの出来事とこの一言が、冒頭のパーティーにサンタが4人降臨する引き金となった出来事なのである。
──────────────To Be Continued──────────────
「サンタってプレゼント配る八十路位の太ったおじいさんのことなんでしよ?八十路の人って、全世界の子供にプレゼント配れるのかしらね?よほど鍛えてないと体力的に無理じゃないかしら?んむっ、............!このケーキ美味しいわね!」
子供の夢を壊すような発言を堂々と行っている黒紫色の髪を持つ少女......聖火崎 千代は、スタンダード(を逸脱した)ミニスカレッドワンピースサンタコスで、むぐむぐとケーキを頬張っている。
「あ、あの、似合ってる、かな......?」
そして茶髪の髪を持つ少女......奈津生 帝亜羅は膝下丈のスカートにポンチョタイプの、装飾の細かいサンタ服を纏っている。前に立っている鐘音と梓の2人にそう訊ねて、可愛いよ!と一声貰ってふにゃりと笑いながら喜んでいる。
「いや、なんで僕だけこんなガチサンタコスなわけ......?」
その横で自身の格好にぶちぶちと文句を言っているのは、翠色の外ハネくせっ毛の青年......我厘 重。全身が北欧にいるとされる"聖人"サンタクロースの格好をそのまま持ってきたような服装で、それプラス付け髭まで装備させられているこの状況がすこぶる嫌らしく、クリスマスパーティーがはじまってから、常に不満全開の表情である。
「ね、ね......あのさ、これ、女物のやつじゃないの......?」
そしてホットパンツに肩出しポンチョパーカーサンタスタイルの、藍髪金目の少年......桃塚 瑠凪は、出ている足を温めるべくヒーターの前に陣取って、羞恥からか普段の彼らしく堂々としておらず、一気にかぶりつかずにもそもそとチキンを食している。
「ぐへ、ぐへへ......可愛い、Niall(某大手ネット通販サイト)で良いやつ見つけてもらっといてよかった~!あと沙流川と或斗がいてくれて良かった!!可愛い、ぐへへ......」
「ねえ、気持ち悪いよ」
そしてその様子をにやにやしながら眺めている緑丘 望桜は、帝亜羅の元から少しだけ浮かれつつ戻ってきた鐘音から、そうそうに冷ややかな視線を浴びせられている。
「おうよ!重々承知の上だ!!」
「......はあ」
しかし、望桜にとっては何処吹く風だ。一切気にした様子はなく、それどころか鐘音に向かって満面の笑み+自信たっぷりな声でそう答えた。元気の良い返事を返された鐘音は、何こいつ......と引きまくっている。そして手近な所にあったシャンメリーを一気に呷いだ。
彼等が集う部屋中央の机の上には、イベント事に相応しい豪華で美麗な食物·飲物が並んでおり、皆が普段着る服とは違ったテイストの服を身にまとっている。
そんな部屋の中央よりやや北の位置で、聖火崎は机に片足乗せるというなんとも気品のない体制と態度そのままに大声で叫んだ。
「メリークリスマス!!」
「なんかデジャヴだな!!」
(元)魔王は、盛大に声を上げた聖弓勇者に、同じくらい盛大に突っ込んだのだった。
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「「ク、クリスマス限定メニュー?」」
「そ、クリスマス限定メニュー!」
自身の言葉にきょとんとした顔で唖然としている従業員達と、1人全てを達観したような眼差しですましている望桜に向かって、猫カフェMelty♛HoneyCatsのオーナー·兎逹 零央は満面の笑みを見せつけた。
スタッフルームにメルハニの従業員のうちのほぼ全員が集まっているため、窮屈ではないが若干狭い。
......"緑丘宅に4人のサンタが降臨する"という事の発端は、その前日、Melty♛HoneyCatsの終業直前に起きた割と些細で、それ故に日常の範囲内として余裕で流せてしまうレベルの出来事であった。
「うちみたいな個人経営の店は大手のチェーン店に勝つために、他店よりも更に独創性とお客のニーズに応えることが重要視されるのさ!それで皆も知ってる通り、今、世の中はいわゆる"クリスマスシーズン"というやつに突入している」
ふふん、と音が聞こえてきそうなほど誇らしげに説明する兎逹の姿は、後ろの閉じられた共用クローゼットの扉と共に、望桜と瑠凪の脳裏に深く鮮やかに刻まれた。
「望桜くん、お披露目しちゃっても大丈夫かい?」
「構わないっすよ!!ってかむしろ早く試着を!!」
「よしきた!!」
望桜と兎逹の間だけで、何かが進んでいく。それを他の従業員達はただ見つめている事しかできなかった。そんな中、望桜からの許可を得た兎逹が、共用クローゼットの取手に手をかけた。
静かに力を込めていって、やがて開かれた扉の向こうには、見慣れている制服がいくつかともう1つ、普段あまり見かけない系統の服が従業員分入っていた。
シンプルでシックでもあるメルハニの制服と、それに相反するかのように派手な赤と白の服が、互いの特徴をいい意味で相殺し合いながら仲良く並んでいる。
それを見るなり、あー......と何かを悟ったように、思い出したようにそれを眺めている瑠凪の横で、望桜は未だにすまし顔だ。しかし無理もない。なぜならこの件に関しては、望桜が深く密接に関わっているからである。
「それじゃあみんな、自分のネームプレートが付いているサンタ服を着てみておくれよ!!」
「............望桜くん、試着って?」
兎逹の掛け声で全員がサンタ服を手に取って更衣室に移動している最中、なんとなく察しは着いている様子の丞が、望桜にコソッと訊ねかけた。
「1週間くらい前からオーナーから俺に、サンタ服をリサーチするよう言われたんだ。それで、俺の同居人の1人がNiallで調べて、ほしい物リストに入れて置いたうちのいくつかをオーナーが選んで買っといたってわけだ」
「あー、それでこないだなんの前触れもなく学校の集金みたいなことやってたんだ」
望桜がさらりと答えると、丞は目の前の出来事の全貌を完璧に理解したようで、自身のネームプレートが付けられているサンタ服を手に取り、スタッフルームを後にした。
「あ、私はまた今日も用事があるから、そろそろあがらせてもらうよ!後のことは任せたよ!」
「りょーかいです!お疲れ様でした!!」
そして外套を羽織り、兎逹もまた足早に店を出ていった。......最近、兎逹は外出が多く、店にいないことも多い。その時は丞がオーナー代理として店を仕切る。
......兎逹は基本的に裏方で仕事をしているため"兎逹 零央"という人物がオーナーだということは知っていても、その人物がどんな人物なのかは知らない客も多い。そのため、店への表立った影響も少ない。が故に、従業員もあまり気にしてはいない。
そして各々も自身の服の着心地やサイズ感、機能性、動きやすさ等を確認した後に私服に着替え、自宅へと帰っていく。
「それじゃあ望桜くん、明日は頼んだよ」
「おっけ!それじゃまたな!!」
やがて皆より遅く試着し始めた丞もいつの間にか私服に着替えており、望桜に声をかけて、夜の神戸の街に溶け込んで帰路に着く。
「ん、と......」
「よーし、みんな帰っ......あー......て、瑠凪お前まだ居たのかよ!?」
粗方店の戸締り確認などを済ませて、望桜があー......と思い切り気を抜いて椅子にへたりこんだ所に、奥の部屋からいかにも着替え途中な格好である瑠凪が、服と格闘しながら出てきた。
自分以外誰もいない、そう括ってだらけていた望桜は、パイプ椅子を大きな音を立てて倒しながら、飛び跳ねて驚く。
「え、あ......うん。これ、ちょっと外しにくくて」
瑠凪はそう言いながらボタンを外そうと頑張っているのだが、なかなか外せない。
「ああ、どーりで......貸してみ、俺が外してやるよ」
それを見かねた望桜が、駆け寄って外してやると、
「......お、おー......ありがと。......あー、誰かにこーゆー事してもらったの、なんか久しぶりだなー」
小声でお礼を言いつつ、何かを懐かしむように目を細めた。
「まあ確かに、このくらいの歳になると人にやって貰うことってほとんどないしな。それに、瑠凪って誰かに世話焼いてる感じも、逆に誰かに世話焼かれてる感じもねぇし」
「或斗には世話になってるとこあるけど......よっと」
こくり、と小さく頷きつつ、"例のサンタ服"から私服に着替える瑠凪。するりとサンタ服から両手両足を抜いて、私服の袖に腕を通した。客も従業員も居らず2人きり、気温は深夜0時らしい寒さで人も少ないためか、室内も外とあまり大差ない温度だ。
「......天界での出来事を思えば恩返しっていうか親孝行っていうか、なんかそんな感じするから、あまり......迷惑をかけてる?風ではないかな」
ほんの少し曖昧にそう答えた瑠凪。それに、望桜は何かが引っかかった、気になったようでぴくりと反応した。
「へー......なあ、天界でのお前らの関係って......?」
望桜は、そう言い終わらぬまま訊ねる。これ、まだ会って3ヶ月で聞くことか......?と、唐突に思ってしまったのだ。
普通の人間ならまだしも、相手は自身の数10倍は確実に、そしてよもや数100倍は生きているやもしれない大悪魔だ。過去に何か特別な事情でも抱えているかもしれない。そう考えた。
「あー......上司部下、かな?」
「上司部下か......そんな社会的な関係だけには見えねぇけどなー......」
望桜の独り言とも取れるぼやきを受けて、瑠凪は静かに問いかける。
「そんなに知りたい?」
「まあ、知りたいっちゃ知りたい。お前がいいならだけどな」
そしてそんな小さな問いかけに、望桜もまた、それに合わせたかのように小声で答える。珍しい白雪が街に訪れている中で、LED電球が街を遍く照らす景色をじっと眺めながら。
「......じゃあ、明日の夜に、どっか行こうよ。あと或斗がクリスマスパーティーするって意気込んじゃってたから、参加してくれると嬉しい。......何なら、サンタのコスプレしたげる」
......そう、今までの出来事とこの一言が、冒頭のパーティーにサンタが4人降臨する引き金となった出来事なのである。
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