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第4章 (元)魔王と勇者の憩場に
23話2Part Wolkenkratzer Fantasie②
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「......ん?何か、力が......これは......神気か?」
「どーしたのあるきゅん」
「いや、何でもない。ただの悪寒だ」
「悪寒にただのをつけるあたり流石あるきゅんだよね」
......その頃、兵庫県明石市のとあるマンション6階、612号室にて。
トントントン、と調理の音が響くリビングとキッチンが繋がった広めの部屋で、青年と少女はそれぞれの時間を過ごしていた。青年は料理の準備を、少女はソファーでテレビを見ながらだらけている。
「ねーあるきゅ「却下だ」
「え、ちょ、酷い!!」
少女......太鳳が口を開いて何かを言おうとした瞬間に、「何も言うな」と言わんばかりの速さで否定を口にした青年。太鳳はそれに不満を申し立てながらも、顔はあまり不快ではなさそうだ。
「んも~......もしボクが、猫飼いたいって言ったらどーする?」
「は?猫?」
唐突に質問をしてきた太鳳に、青年......或斗は思わず振り返って懐疑の視線を向けた。
「猫、って......お前はまたなにか動物を死なせるつもりか?」
「また?前にもボク、なにか死なせたっけ?」
「な............はあ......」
太鳳のドライすぎるその反応に、或斗は呆れてため息をつく。
「鳥だ、鳥。忘れてやるな......」
「あ、そーだったそーだった、忘れてたー」
或斗から向けられる呆れの視線は太鳳にとっては何処吹く風らしく、しらーっとした視線を持ち前の"気にしない"モードでやり過ごす。何かを言うより黙っている方が余計に怒られないで済む事を分かっているからだ。
「ったく......とにかく、ダメなものはダメだからな」
同居人のドライさに引きつつ、或斗が再びキッチンに戻ろうとした時であった。
ガチャ、ガチャカランカラン......
「あ、るったん帰ってきた」
「あ~るじっさま~っ!!」
「おわっ、痛っ!!」
家の主こと瑠凪が、バイトから帰ってきた。鍵の音に反応して太鳳が玄関の方を向いたとほぼ同時に、或斗が玄関へと一目散に駆け寄っていく。
そしてその風圧に目をやられた太鳳が、ソファーから不自然な姿勢で転げ落ちた刹那、
「お帰りなさいませ主様~!!」
「ん、ただいま」
瑠凪が家の中に入って来、それにまるで餌を欲しがる犬のようなハイテンションな或斗が着いていく。瑠凪の手には大きなボストンバックが握られており、或斗は無言でそれをさっと受け取ると部屋の片隅にぽすんと置いた。
「目があ、目がああいいいうううえええああ!!」
「或斗、早速で悪いんだけど......て、まだ晩ごはんできてないの?」
「いえ、時間が余ったので明日の朝食の下準備でもしようかな~っと思っただけです」
「あ、なら晩ごはんはできてるんだ」
「先に召し上がりますか?」
「うん、冷めたらもったいないしね」
太鳳の悲鳴と呻き声がブレンドされた叫び声をBGMに、2人の会話は淡々と進む。部屋に充満している玉ねぎの匂いから、恐らく空気中に霧散した硫化アリルが風圧と共に目に大きな衝撃を与えたのだろう。
バ〇ス!と某有名映画でやられたグラサンの人なみの叫び声が響く中で平然としていられる2人、流石は彼女の上官といったところか。
「今日は1式和食で揃えてみました!ほら、冷める前にどうぞどうぞ!!」
「ちょっと押さないで!!......と、いただきます」
「いっただっきまーす!」
「るったん!あるきゅん!!そこは普通大丈夫?じゃないのおおいいだだだだいだいだい」
太鳳の文句申立てにも一切耳を貸さずに、2人は目の前のカリカリ焼き鮭とほかほかふっくら白ご飯、その他のご馳走に手を付け始めたのであった。
「......で、或斗にひとつ聞きたいことがあるんだけど」
「はい、なんでしょうか?」
ふいに少し改まった言い方で話を振ってきた瑠凪に、或斗は箸は止めずにすっと身構える。
「僕がもし、猫拾ってきたよって言ったら、どうする?」
「......え?うわっ」
主人からのありきたりなようで先程の太鳳の質問を思えば少し非常なカミングアウトに、或斗は思わず持っている箸を落としそうになった。
「いやさ、路地裏で2ヶ月くらい前......だから、第拾参弦聖邪戦争が終わったくらいに見つけたんだよ。ほら、えーっと......商店街裏辺りかな」
そう言って、先程のボストンバックを見遣る瑠凪に、或斗は眉をひそめつつ悲しそうな表情を浮かべた。
「そうですか......でもうち......「知ってるよ。ペット禁止でしょ?」
表情そのままの調子でぼそりと呟こうとした或斗の言葉を遮りつつ、瑠凪は少し自己主張する。
「ペット禁止だとなー......」
「気にする必要ないです!悪魔が悪事を働くのを躊躇ってどうするのですか!!」
「確かに......それにあいつなんでか鳴かないから、せめて年始の大寒波が来てる時だけでもうちで飼っちゃだめ?」
「俺はむしろ大歓迎ですよ!主様が飼いたいって言うのなら、否定もしません!!」
「やっぱりあるきゅんはあるきゅんだね......」
ようやっと目の痛みが引いた太鳳は、同じようなことを言ったはずなのに自身が行った時と瑠凪が行った時とじゃ或斗の反応が大違いな事に、呆れるでもなくただただ頷きながら食卓に着いた。
「いただきまーす......あー、痛かった」
「お疲れ様ー」「自業自得だ」
「あるきゅんひどーい!!」
そして、瑠凪からの労いの言葉と或斗の方から聞こえた毒づきに一言感想を述べた後、焼き鮭に大きくかぶりついた。
──────────────To Be Continued──────────────
「どーしたのあるきゅん」
「いや、何でもない。ただの悪寒だ」
「悪寒にただのをつけるあたり流石あるきゅんだよね」
......その頃、兵庫県明石市のとあるマンション6階、612号室にて。
トントントン、と調理の音が響くリビングとキッチンが繋がった広めの部屋で、青年と少女はそれぞれの時間を過ごしていた。青年は料理の準備を、少女はソファーでテレビを見ながらだらけている。
「ねーあるきゅ「却下だ」
「え、ちょ、酷い!!」
少女......太鳳が口を開いて何かを言おうとした瞬間に、「何も言うな」と言わんばかりの速さで否定を口にした青年。太鳳はそれに不満を申し立てながらも、顔はあまり不快ではなさそうだ。
「んも~......もしボクが、猫飼いたいって言ったらどーする?」
「は?猫?」
唐突に質問をしてきた太鳳に、青年......或斗は思わず振り返って懐疑の視線を向けた。
「猫、って......お前はまたなにか動物を死なせるつもりか?」
「また?前にもボク、なにか死なせたっけ?」
「な............はあ......」
太鳳のドライすぎるその反応に、或斗は呆れてため息をつく。
「鳥だ、鳥。忘れてやるな......」
「あ、そーだったそーだった、忘れてたー」
或斗から向けられる呆れの視線は太鳳にとっては何処吹く風らしく、しらーっとした視線を持ち前の"気にしない"モードでやり過ごす。何かを言うより黙っている方が余計に怒られないで済む事を分かっているからだ。
「ったく......とにかく、ダメなものはダメだからな」
同居人のドライさに引きつつ、或斗が再びキッチンに戻ろうとした時であった。
ガチャ、ガチャカランカラン......
「あ、るったん帰ってきた」
「あ~るじっさま~っ!!」
「おわっ、痛っ!!」
家の主こと瑠凪が、バイトから帰ってきた。鍵の音に反応して太鳳が玄関の方を向いたとほぼ同時に、或斗が玄関へと一目散に駆け寄っていく。
そしてその風圧に目をやられた太鳳が、ソファーから不自然な姿勢で転げ落ちた刹那、
「お帰りなさいませ主様~!!」
「ん、ただいま」
瑠凪が家の中に入って来、それにまるで餌を欲しがる犬のようなハイテンションな或斗が着いていく。瑠凪の手には大きなボストンバックが握られており、或斗は無言でそれをさっと受け取ると部屋の片隅にぽすんと置いた。
「目があ、目がああいいいうううえええああ!!」
「或斗、早速で悪いんだけど......て、まだ晩ごはんできてないの?」
「いえ、時間が余ったので明日の朝食の下準備でもしようかな~っと思っただけです」
「あ、なら晩ごはんはできてるんだ」
「先に召し上がりますか?」
「うん、冷めたらもったいないしね」
太鳳の悲鳴と呻き声がブレンドされた叫び声をBGMに、2人の会話は淡々と進む。部屋に充満している玉ねぎの匂いから、恐らく空気中に霧散した硫化アリルが風圧と共に目に大きな衝撃を与えたのだろう。
バ〇ス!と某有名映画でやられたグラサンの人なみの叫び声が響く中で平然としていられる2人、流石は彼女の上官といったところか。
「今日は1式和食で揃えてみました!ほら、冷める前にどうぞどうぞ!!」
「ちょっと押さないで!!......と、いただきます」
「いっただっきまーす!」
「るったん!あるきゅん!!そこは普通大丈夫?じゃないのおおいいだだだだいだいだい」
太鳳の文句申立てにも一切耳を貸さずに、2人は目の前のカリカリ焼き鮭とほかほかふっくら白ご飯、その他のご馳走に手を付け始めたのであった。
「......で、或斗にひとつ聞きたいことがあるんだけど」
「はい、なんでしょうか?」
ふいに少し改まった言い方で話を振ってきた瑠凪に、或斗は箸は止めずにすっと身構える。
「僕がもし、猫拾ってきたよって言ったら、どうする?」
「......え?うわっ」
主人からのありきたりなようで先程の太鳳の質問を思えば少し非常なカミングアウトに、或斗は思わず持っている箸を落としそうになった。
「いやさ、路地裏で2ヶ月くらい前......だから、第拾参弦聖邪戦争が終わったくらいに見つけたんだよ。ほら、えーっと......商店街裏辺りかな」
そう言って、先程のボストンバックを見遣る瑠凪に、或斗は眉をひそめつつ悲しそうな表情を浮かべた。
「そうですか......でもうち......「知ってるよ。ペット禁止でしょ?」
表情そのままの調子でぼそりと呟こうとした或斗の言葉を遮りつつ、瑠凪は少し自己主張する。
「ペット禁止だとなー......」
「気にする必要ないです!悪魔が悪事を働くのを躊躇ってどうするのですか!!」
「確かに......それにあいつなんでか鳴かないから、せめて年始の大寒波が来てる時だけでもうちで飼っちゃだめ?」
「俺はむしろ大歓迎ですよ!主様が飼いたいって言うのなら、否定もしません!!」
「やっぱりあるきゅんはあるきゅんだね......」
ようやっと目の痛みが引いた太鳳は、同じようなことを言ったはずなのに自身が行った時と瑠凪が行った時とじゃ或斗の反応が大違いな事に、呆れるでもなくただただ頷きながら食卓に着いた。
「いただきまーす......あー、痛かった」
「お疲れ様ー」「自業自得だ」
「あるきゅんひどーい!!」
そして、瑠凪からの労いの言葉と或斗の方から聞こえた毒づきに一言感想を述べた後、焼き鮭に大きくかぶりついた。
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