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第5章 堕天使は聖教徒教会の
32話5Part "あまい"約束...?
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店の入口で立ち止まるのも迷惑なので一応登山靴のエリアへと足を進めつつ、辺りを見回す。
リュックサック、ジャンバー、寝袋、テント、魔法瓶etc......色々な物があって、ついつい遠回りして飯盒や簡易椅子を軽く眺めた後、目的の登山靴のあるエリアへと向かい、商品の置かれた背の高い棚の向こう側に行こうと回り込んだ。
......そして、そこで靴を吟味していた人物に、あっと声を上げ......
「......げっ、」
......否、"げっ"と声を上げてしまった。
「ちょっとちょっとぉ、おにーさん人の顔を見るなり"げっ"てなに"げっ"て!?」
「......」
その声がそこそこのボリュームだった為に目の前の人物......淡紫色の髪の青年にがっつりと聞こえていたらしく、的李は青年に思い切り顔を顰めながら睨みつけられた。それと同時に、辺りの客の視線が2人に注がれる。
「いや、別に「どうした?何かあったか?」
何はともあれ取り敢えず失礼な態度をとった事を謝ろうと口を開こうとした的李の横から、的李の声が聞こえたらしい望桜がぬっと顔を出した。
既に周囲の客の興味は逸れているが、それでもこちらを見ているものは見ている。
そんな中で、慌てる的李と望桜を交互に見つめながら、青年は多少歪ませた顔をそのままに佇んでいる。
「......えっと、お前の知り合い?」
望桜が青年の事を暗に指しながら小声で訊ねると、的李は直ぐに否定した。
「いや、違う......人違い、なのだよ」
「あー、そうか......悪い悪い、人違いだって」
「あっ、そぉ......」
未だに不機嫌そうにしている青年に向けて望桜が軽く頭を下げて謝ると、訝しげにしつつ青年はそっぽを向いてしまった。
「......望桜、行こう。ここはまた今度来ればいいから......」
「そ、そうだな......」
「......」
的李が妙にしょぼくれながら望桜の裾を引いて店を出ようとしたので、望桜は困惑しつつも黙りこくったままの青年を一瞥してから踵を返す。
「......はぁ......「あーずまかわぁー!!」
そして、2人の背がざわざわとした喧騒の中に消えていくのを見送った後に溜息を1つ零した淡紫色の髪の青年......こと、町川は後ろから友達に呼ばれて、すぐにくるりと振り返った。
「なに?しのくん、ゲーセンにいるんじゃなかったの?」
そこには、級友であり友達でもある注連野 雅也が思いっきり不完全燃焼を顕にして仁王立ちしていた。
肩は落としているくせにやけに堂々としているので、思わず気になって訊ねてみると、
「......金、なくなった......」
「あららぁ......」
ゲーセンで起こりがちな、"景品が欲しすぎて無心で金を入れ続けた結果金がなくなる"という現象が注連野にも起こったらしい。
注連野の手に乗せられた財布を町川が手に取って、開けた状態で逆さにして振ると......成程、1円硬貨や10円硬貨が数枚出てきただけで、お札を入れるスペースまで綺麗に空だった。
「え、しのくん1万は持ってきてたんでしょ?何にそんなに使ったん......?」
「......ぬい」
「ぬい?あー、ぬいねww」
注連野曰く、アニメかゲームのキャラクターのデフォルメぬいぐるみを取ろうとした結果、大金を溶かしてしまったらしい。
「まあしょうがないか......」
「うん......欲しかった......」
煮え切らない表情でいかにも悔しそうに頷く注連野に、町川はいい事を思い付いたとばかりにぱっと顔を上げて、
「......よし、もっかいゲーセン行こ!」
「え、もう俺金持ってなっ......」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ!!お金くらいいくらでもわれが補填してあげるからぁ!!」
分かりやすく戸惑う注連野の腕を引いて、ゲーセンへと駆け出したのだった。
─────────────To Be Continued─────────────
リュックサック、ジャンバー、寝袋、テント、魔法瓶etc......色々な物があって、ついつい遠回りして飯盒や簡易椅子を軽く眺めた後、目的の登山靴のあるエリアへと向かい、商品の置かれた背の高い棚の向こう側に行こうと回り込んだ。
......そして、そこで靴を吟味していた人物に、あっと声を上げ......
「......げっ、」
......否、"げっ"と声を上げてしまった。
「ちょっとちょっとぉ、おにーさん人の顔を見るなり"げっ"てなに"げっ"て!?」
「......」
その声がそこそこのボリュームだった為に目の前の人物......淡紫色の髪の青年にがっつりと聞こえていたらしく、的李は青年に思い切り顔を顰めながら睨みつけられた。それと同時に、辺りの客の視線が2人に注がれる。
「いや、別に「どうした?何かあったか?」
何はともあれ取り敢えず失礼な態度をとった事を謝ろうと口を開こうとした的李の横から、的李の声が聞こえたらしい望桜がぬっと顔を出した。
既に周囲の客の興味は逸れているが、それでもこちらを見ているものは見ている。
そんな中で、慌てる的李と望桜を交互に見つめながら、青年は多少歪ませた顔をそのままに佇んでいる。
「......えっと、お前の知り合い?」
望桜が青年の事を暗に指しながら小声で訊ねると、的李は直ぐに否定した。
「いや、違う......人違い、なのだよ」
「あー、そうか......悪い悪い、人違いだって」
「あっ、そぉ......」
未だに不機嫌そうにしている青年に向けて望桜が軽く頭を下げて謝ると、訝しげにしつつ青年はそっぽを向いてしまった。
「......望桜、行こう。ここはまた今度来ればいいから......」
「そ、そうだな......」
「......」
的李が妙にしょぼくれながら望桜の裾を引いて店を出ようとしたので、望桜は困惑しつつも黙りこくったままの青年を一瞥してから踵を返す。
「......はぁ......「あーずまかわぁー!!」
そして、2人の背がざわざわとした喧騒の中に消えていくのを見送った後に溜息を1つ零した淡紫色の髪の青年......こと、町川は後ろから友達に呼ばれて、すぐにくるりと振り返った。
「なに?しのくん、ゲーセンにいるんじゃなかったの?」
そこには、級友であり友達でもある注連野 雅也が思いっきり不完全燃焼を顕にして仁王立ちしていた。
肩は落としているくせにやけに堂々としているので、思わず気になって訊ねてみると、
「......金、なくなった......」
「あららぁ......」
ゲーセンで起こりがちな、"景品が欲しすぎて無心で金を入れ続けた結果金がなくなる"という現象が注連野にも起こったらしい。
注連野の手に乗せられた財布を町川が手に取って、開けた状態で逆さにして振ると......成程、1円硬貨や10円硬貨が数枚出てきただけで、お札を入れるスペースまで綺麗に空だった。
「え、しのくん1万は持ってきてたんでしょ?何にそんなに使ったん......?」
「......ぬい」
「ぬい?あー、ぬいねww」
注連野曰く、アニメかゲームのキャラクターのデフォルメぬいぐるみを取ろうとした結果、大金を溶かしてしまったらしい。
「まあしょうがないか......」
「うん......欲しかった......」
煮え切らない表情でいかにも悔しそうに頷く注連野に、町川はいい事を思い付いたとばかりにぱっと顔を上げて、
「......よし、もっかいゲーセン行こ!」
「え、もう俺金持ってなっ......」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ!!お金くらいいくらでもわれが補填してあげるからぁ!!」
分かりやすく戸惑う注連野の腕を引いて、ゲーセンへと駆け出したのだった。
─────────────To Be Continued─────────────
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