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第5章 堕天使は聖教徒教会の
32話4Part "あまい"約束...?④
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......1月16日、堺アオンモール内のとある服屋さんにて、
「ほらっ、次はこれとこれと......あとこれ!」
「......」
目の前で瞳を爛々と輝かせてとてつもなく楽しそうにしている自身の(元)主......下界第13代目(元)魔王の緑丘 望桜から、新品の服コーデ一式をぐいっと押し付けられ、おずおずと受け取ってから試着室のカーテンを閉めて、
「......っ、............」
クソデカ級の溜息をつきそうになるのを抑えてから、大悪魔·ベルフェゴール......こと西原 的李は、今着ているジャケットをゆっくりと脱ぎ始めた。
「......これで何件目だと思っているんだい、あの馬鹿魔王は......」
......1月4日、葵雲のスライムASMR事件の裏で、偏頭痛と葵雲のフェロモンにやられ、望桜と共に((以下は色々割愛します)という出来事があって体調不良に見舞われていた的李は、
『お前の戸籍上の誕生日って、11月3日にしてたんだ。忘れちまってて悪い。だから、欲しい物とか、あったら助かる物とか色々、考えててくれないか?明日、冬服と一緒に買いに行くから』
という望桜の言葉で明日に密かに期待して、少し色々考えつつ床に着いた。
......のだが、
『......望桜......今日は、買い物に行くんじゃなかったのかい......?』
偏頭痛か、フェロモンか......はたまた1月3日のゲリラ飲み会での飲み過ぎからなのかめちゃくちゃ熟睡していたらしく、その日の的李は昼過ぎまで目を覚まさなかった。
だとしても、声さえかけてくれれば直ぐに起きたのに......と、表情は真顔のまま声色とやけに据わった目だけが不機嫌を示している状態で的李が望桜に静かに訊ねかけると、
『え、ああ......いや、普段は俺がいる時に絶対に眠らないお前が、あまりにも気持ちよさそうに寝てるもんだから、起こせなくてな......ははは......』
なんてなんでもないようにさらりと返されて、的李の知らない内にその日のお出かけはなくなっていた。
まあ別に急ぐ訳でもないし、絶対に行きたい訳でもないし後回しでも......と代替日の提案をしてから家でのんびりしている内に夜になって、鐘音が部屋に籠って勉強に明け暮れる中......望桜と的李はどこか居た堪れない空気のままで就寝した。
その時に、代替日として挙がったのが本日、1月16日で、特に2人とも用事も何もなかったのでその日で決定したのだった。
そこで堺市のアオンモールに来て早々、的李は望桜に服屋を連れ回された。
シンプルなデザインの物から少々派手すぎるような物まで次から次へと試着をさせられ、"色々な店を一通り見てからいいものを幾つか選んで買おう"という望桜の意図を理解しつつも、的李は内心少し飽き始めていた。
..的李は、幼少期の訓練を毎日毎日休憩もろくに取らない状態で何年も何年も続けられる程には移り気が無く、凝り性な質である。それは望桜もこの間話した事で理解はしているだろうし、的李自身も十二分に自覚していた。
......そんな自分が、まさか、数時間連れ回されて服を何着も何着も着替えさせられる程度の事にここまで早く飽きるとは。
自分の忍耐力も事によっては脆いんだなぁ......とどこか感慨じみたものに耽りながら、的李は黒色のスキニージーンズを履いてベルトを通す。
「っ、と......」
カチャ、カチャと、金属音が数回鳴って、ベルトがきちんと留まる。
それから白色の襟の高いYシャツと蒼色のニットベストを着て、グレースケールなチェック柄のチェスターコートを羽織った。クロスタイを着けるのも忘れずに。
「......これ、いつもとあまり変わらない気がするのだけれど......」
お前が裏起毛のアウターとか着てもこもこしてる所見てみたい、と言っていたのは望桜の方だろうに......と思いながら、試着室のカーテンを開いて目の前に立っている望桜の方に視線をやる。
「......か、」
「か?」
「かっこかわいぃ......!」
「............はぁ......」
今みたいに、無意識の内に溜息を漏らすのは本日何回目なんだろうか......と半ば他人事のように考えながら、何やら歓喜している望桜をじとーっとした目で軽く睨みつけた。
「いやぁ、お前がYシャツばっか着てる理由が分かったわ!!ダウンとかパーカーとかも可愛いっちゃ可愛いけど、やっぱしYシャツにジレとか着てる方が似合うな!!」
「はぁ、そうかい......」
(もう似合う似合わないとかどうでもいいから、早く帰らせて欲しいのだよ......)
そう思いつつ試着していた服を脱いで自前の物を着直して試着室から出ると、
「っし、じゃあ会計行こうぜ」
「え?」
がしっと手を掴まれて、そのままレジカウンターまで連行され、流れるように金を払い商品を袋に入れてもらって服屋の外に出た。
よく見ると、望桜の手に抱えられた袋は中に結構な量の服が入っているらしく、サイズがかなり大きかった。
結局この店で買ったし......と、色々な服を試すために連れ回された数時間の必要性を考え直しつつ、
「......、............で、次は何処に行くんだい?確か、私の誕生日プレゼント......とやらを買ってくれるんだろう?」
「ふっ......ww......そうw、だから......」
服屋近くにあった、アオンモール全体の地図と女の人が表示された電光案内板に歩き寄る。
「こんにちは」と機械音声で挨拶されて反射的に頭を軽く下げてしまったのを望桜に笑われながら、的李はアオンモールの地図をまじまじと見つめる。
「お前が好きな所でいいぜ」
望桜の言葉に少し浮つきながらも、地図を改めてよーっと一通り見てみてから、
「......、............ここ、ここがいいのだよ」
ふと目に留まった、アウトドア用品専門店を指さしながら望桜の方に視線を移した。
「ここ?......お前、登山とかハイキングとか好きなタイプだったっけ?」
「興味はある、のだよ。機会があれば行ってみたいと思うし、登山靴なんかは持っていれば色々と役に立ちそうだから一応欲しいなと思ったのだけれど......」
「ああ、まあ、欲しい物とかあったら助かる物とか考えとけっつったし、いいぜ」
「ありがとう」
今度は望桜に対して感謝の意を込めて軽く会釈してから目的地までのルートをささっと調べて、2人並んで歩き始めたのだった。
......アウトドア用品専門店が元々いた場所から少し離れた所にあったため、人混みの中を十数分ほど歩いた所で店の看板がようやっと視界に飛び込んできた。
「あった」
「だな」
2人で顔を見合わせてから少しだけ歩くスピードを早め、そのままの勢いでアウトドア用品専門店へと入店した。
「......お、あれいいな............的李、俺ちょっとあっち見てくるわ」
「分かった」
入店するなり見える範囲全体を軽く一瞥して、望桜は的李に一言声を掛けてからリュックサックが売っているエリアへと歩いていってしまった。
「......登山靴が欲しい、とは言ったけれど......いざ来てみると、結構色んなものが売ってあるのだよ......」
店の入口で立ち止まるのも迷惑なので一応登山靴のエリアへと足を進めつつ、辺りを見回す。
リュックサック、ジャンバー、寝袋、テント、魔法瓶etc......色々な物があって、ついつい遠回りして飯盒や簡易椅子を軽く眺めた後、目的の登山靴のあるエリアへと向かい、商品の置かれた背の高い棚の向こう側に行こうと回り込んだ。
......そして、そこで靴を吟味していた人物に、あっと声を上げ......
「......げっ、」
......否、"げっ"と声を上げてしまった。
──────────────To Be Continued────────────
「ほらっ、次はこれとこれと......あとこれ!」
「......」
目の前で瞳を爛々と輝かせてとてつもなく楽しそうにしている自身の(元)主......下界第13代目(元)魔王の緑丘 望桜から、新品の服コーデ一式をぐいっと押し付けられ、おずおずと受け取ってから試着室のカーテンを閉めて、
「......っ、............」
クソデカ級の溜息をつきそうになるのを抑えてから、大悪魔·ベルフェゴール......こと西原 的李は、今着ているジャケットをゆっくりと脱ぎ始めた。
「......これで何件目だと思っているんだい、あの馬鹿魔王は......」
......1月4日、葵雲のスライムASMR事件の裏で、偏頭痛と葵雲のフェロモンにやられ、望桜と共に((以下は色々割愛します)という出来事があって体調不良に見舞われていた的李は、
『お前の戸籍上の誕生日って、11月3日にしてたんだ。忘れちまってて悪い。だから、欲しい物とか、あったら助かる物とか色々、考えててくれないか?明日、冬服と一緒に買いに行くから』
という望桜の言葉で明日に密かに期待して、少し色々考えつつ床に着いた。
......のだが、
『......望桜......今日は、買い物に行くんじゃなかったのかい......?』
偏頭痛か、フェロモンか......はたまた1月3日のゲリラ飲み会での飲み過ぎからなのかめちゃくちゃ熟睡していたらしく、その日の的李は昼過ぎまで目を覚まさなかった。
だとしても、声さえかけてくれれば直ぐに起きたのに......と、表情は真顔のまま声色とやけに据わった目だけが不機嫌を示している状態で的李が望桜に静かに訊ねかけると、
『え、ああ......いや、普段は俺がいる時に絶対に眠らないお前が、あまりにも気持ちよさそうに寝てるもんだから、起こせなくてな......ははは......』
なんてなんでもないようにさらりと返されて、的李の知らない内にその日のお出かけはなくなっていた。
まあ別に急ぐ訳でもないし、絶対に行きたい訳でもないし後回しでも......と代替日の提案をしてから家でのんびりしている内に夜になって、鐘音が部屋に籠って勉強に明け暮れる中......望桜と的李はどこか居た堪れない空気のままで就寝した。
その時に、代替日として挙がったのが本日、1月16日で、特に2人とも用事も何もなかったのでその日で決定したのだった。
そこで堺市のアオンモールに来て早々、的李は望桜に服屋を連れ回された。
シンプルなデザインの物から少々派手すぎるような物まで次から次へと試着をさせられ、"色々な店を一通り見てからいいものを幾つか選んで買おう"という望桜の意図を理解しつつも、的李は内心少し飽き始めていた。
..的李は、幼少期の訓練を毎日毎日休憩もろくに取らない状態で何年も何年も続けられる程には移り気が無く、凝り性な質である。それは望桜もこの間話した事で理解はしているだろうし、的李自身も十二分に自覚していた。
......そんな自分が、まさか、数時間連れ回されて服を何着も何着も着替えさせられる程度の事にここまで早く飽きるとは。
自分の忍耐力も事によっては脆いんだなぁ......とどこか感慨じみたものに耽りながら、的李は黒色のスキニージーンズを履いてベルトを通す。
「っ、と......」
カチャ、カチャと、金属音が数回鳴って、ベルトがきちんと留まる。
それから白色の襟の高いYシャツと蒼色のニットベストを着て、グレースケールなチェック柄のチェスターコートを羽織った。クロスタイを着けるのも忘れずに。
「......これ、いつもとあまり変わらない気がするのだけれど......」
お前が裏起毛のアウターとか着てもこもこしてる所見てみたい、と言っていたのは望桜の方だろうに......と思いながら、試着室のカーテンを開いて目の前に立っている望桜の方に視線をやる。
「......か、」
「か?」
「かっこかわいぃ......!」
「............はぁ......」
今みたいに、無意識の内に溜息を漏らすのは本日何回目なんだろうか......と半ば他人事のように考えながら、何やら歓喜している望桜をじとーっとした目で軽く睨みつけた。
「いやぁ、お前がYシャツばっか着てる理由が分かったわ!!ダウンとかパーカーとかも可愛いっちゃ可愛いけど、やっぱしYシャツにジレとか着てる方が似合うな!!」
「はぁ、そうかい......」
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そう思いつつ試着していた服を脱いで自前の物を着直して試着室から出ると、
「っし、じゃあ会計行こうぜ」
「え?」
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よく見ると、望桜の手に抱えられた袋は中に結構な量の服が入っているらしく、サイズがかなり大きかった。
結局この店で買ったし......と、色々な服を試すために連れ回された数時間の必要性を考え直しつつ、
「......、............で、次は何処に行くんだい?確か、私の誕生日プレゼント......とやらを買ってくれるんだろう?」
「ふっ......ww......そうw、だから......」
服屋近くにあった、アオンモール全体の地図と女の人が表示された電光案内板に歩き寄る。
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望桜の言葉に少し浮つきながらも、地図を改めてよーっと一通り見てみてから、
「......、............ここ、ここがいいのだよ」
ふと目に留まった、アウトドア用品専門店を指さしながら望桜の方に視線を移した。
「ここ?......お前、登山とかハイキングとか好きなタイプだったっけ?」
「興味はある、のだよ。機会があれば行ってみたいと思うし、登山靴なんかは持っていれば色々と役に立ちそうだから一応欲しいなと思ったのだけれど......」
「ああ、まあ、欲しい物とかあったら助かる物とか考えとけっつったし、いいぜ」
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......アウトドア用品専門店が元々いた場所から少し離れた所にあったため、人混みの中を十数分ほど歩いた所で店の看板がようやっと視界に飛び込んできた。
「あった」
「だな」
2人で顔を見合わせてから少しだけ歩くスピードを早め、そのままの勢いでアウトドア用品専門店へと入店した。
「......お、あれいいな............的李、俺ちょっとあっち見てくるわ」
「分かった」
入店するなり見える範囲全体を軽く一瞥して、望桜は的李に一言声を掛けてからリュックサックが売っているエリアへと歩いていってしまった。
「......登山靴が欲しい、とは言ったけれど......いざ来てみると、結構色んなものが売ってあるのだよ......」
店の入口で立ち止まるのも迷惑なので一応登山靴のエリアへと足を進めつつ、辺りを見回す。
リュックサック、ジャンバー、寝袋、テント、魔法瓶etc......色々な物があって、ついつい遠回りして飯盒や簡易椅子を軽く眺めた後、目的の登山靴のあるエリアへと向かい、商品の置かれた背の高い棚の向こう側に行こうと回り込んだ。
......そして、そこで靴を吟味していた人物に、あっと声を上げ......
「......げっ、」
......否、"げっ"と声を上げてしまった。
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