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必然
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あれ以来彼が家事をしてくれることが増えた
夕飯だけでなく掃除や洗濯まで
ちなみに下着だけは洗わせてないけど
相変わらずわたしは彼の作品を読んでいる
彼の作品が間に合わない時には他の小説も読んでいた
読んだ小説の感想をわたしから聞くのは彼にとっても刺激になっていたようだ
彼のわたしの読書に対する姿勢の理解度は高くなっていたのでわたしがおもしろいと言った作品は彼も読むことが多かった
彼のことは作品を通じて、わたしのことは彼の作品を読んだ感想や他の作品の感想を通じてお互いが理解していた…つもりだった
あれは彼との生活が3週間を過ぎた頃
いつものように食事を済ませお茶を飲みながら作品についていろんな話しをしていた
話しは盛り上がり脱線していくのもいつもと変わらないことだった
「ミサさんはこれまで好きになった人とかつきあった男の人とかいなかったんですか?」
わたしは聞かれたことには正直に答えてた
聞かれないことをわたしから話したりすることはなかったから
「そんなことないよ つきあったことある人は今まで3人はいた」
「結婚とか考えたりする人はいなかったんですか?」
「将来のこと考えた男はいたよ 少しの間だけど一緒に住んでたりしたしね」
「その人とはどうしてダメになったんですか?」
「どうしようもない男だってのわかったから その男の目的はわたしのお金とからだだけだった 他にも女いてわたしのお金で遊んでた それに気づいたのもわたしが仕事行ってる間に部屋に女連れ込んでるのがバレたから」
「最低ですね、その男 許せない!」
「同じこと言ってやったよ だからってなんにも変わんない わたしがその男と別れるってことに変わりはなかったんだから」
「その男は最初からミサさんのこと愛してなかったんですか」
「そんなのわかんないよ でも利用されてたんだとしても納得いく 都合よくわたしを求めてたんだろうし わたしも盲目になってたんだろうな」
「求めてくるって…ミサさんをですか…?」
「そう わたしを」
「なんにも知らずに受け入れてたんですよね…ミサさんのこと裏切ってた男を」
「その時はその男のこと愛してたから 裏切られてるなんて露にも思ってなかったよ だからわたしは精一杯愛してたと思う、うん愛してた」
サイの喉がゴクリと鳴ったのがわかった
男を感じさせる喉仏が上下に動くのさえわかった
「やっぱり悲しかったですか、それともせいせいしましたか」
「どんな状況でもこれまでの日常がなくなるってのは喪失感はあってもせいせいしたって気分にはならなかった わたしの場合だけどね」
「でもね、いろんな事がわかってからわたしの世界は変わったんだよ わたしは失っても その男はなにも失わなかった なんならすべて手に入れた わたしのこと失ったなんて思ってなかった」
「だって彼がわたしに欲してたものはすべて代わりが効くものばかりだったから」
「それってなんですか」
「肉体とお金だけだよ」
彼はわたしの話しを聞いて興奮してるようだった
それは同情からくるものか、怒りから来るものなのか、推し量る術はなかった
「ミサさんっ!!」
そう言ったかと思うと彼がわたしに覆いかぶさってきた 話しをしながら彼のなにかが変わった気配がしてた
わたしはいつかこんか日がくるかもと思いつつも普段からとくに用心する訳でもなかった
年頃を充分に過ぎたとは言え 年齢の近い女とひとつ屋根の下とか 今までなんにもなかったのが不思議なくらいだった
そこに彼の誠意のようなものを感じてはいたがそれでもいつまでもつかなんて時間の問題だったろう
わたしは軽く抵抗しながらも断固拒否まではしなかった
「ご、ごめんなさい…」
彼が急に我に返ったかのようにあやまる
やっぱりね なんて思ってわたしは押し倒され乱されたままの姿で彼のことを見つめている
「ほんとにごめんなさい…」
わたしから目を逸らす彼
「どうしたの? 急に?」
怒った素振りも見せず冷静に彼に問う
「ほんとにすみません… なんか、こう無性に腹が立ってしまって…恩を仇で返すような真似しちゃって…すみません…」
消え入りそうな声 さっきはあんなに覇気のある声でわたしの名前叫んだのに
「わたしはね いいんよ サイがしたいんなら」
「それでいい作品が書けるんなら」
恋愛感情があるわけじゃなかった
そんなことどうでもよかった つまらない欲望に彼の才能がジャマされるんだとしたら、それをわたしがなんとかできるんだったら別にわたしのカラダなんてどっちでもよかった
「ミサさん…」
複雑そうな表情を見せる彼
でもね きっと来る それだけはわかる
ーその夜わたしたちはカラダを重ねた…ー
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