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奥へと
しおりを挟む「前来た時より さらに荒れてるな…」
深鈴《みすゞ》はエントランスから中を見て呟く
さすが深鈴!わたしにはどこがどう変わってるのか全くわからなかった…
肝試しで数々の人が訪れたであろう病院の内部はことごとく荒らされていた あちこちにスプレーで落書きされた後があったりガラスが割られ散乱してたり、備品が壊され倒されたりしていた
…ジャリ、ジャリ、カチャ、カチャ、…
足音も無数の破片を踏んで賑やかになる
「見事なまでにやられてるなぁ さすが有名な廃墟って感じだな」
衆《しゅう》が周りを見ながら感心した声を出す
そういや以前来た時、衆は居なかったんだ…
初めてここを見て怖くないってのはよっぽど鈍感かお昼間ゆえの明るさからだろうなって感じた
夜、真っ暗だったら…と想像するだけでゾッとする
衆に先頭を歩かせながら奥へ奥へと進む
なぜ奥かって言うと美夜ちゃんが『奥へ』って言ってたから
途中にあるいくつかの部屋の中を軽く伺いながら進む
部屋と言う部屋は全て扉が開いていた
ときおり美夜《みや》ちゃんはぶつぶつ独り言を呟きながらわたし達に道案内のような役目をしていた
「あのさ、美夜ちゃんここに入るの初めてなんだよね?」
わたしは現状抱いていた疑問を率直に美夜ちゃんにぶつけてみた
深鈴《みすゞ》もわたしと同様に思っていたのか美夜ちゃんの顔色を伺う
「そうですよー どうしてですか?」
さもありなん、と言った感じで淡々と答える美夜ちゃん
「ほら、なんか道知ってるみたいだからさぁ」
「どんな病院でもだいたい院長室なんて奥にありませんかー?」
答えになってるような、なってないような答えが返ってくる
そんな疑問もなんも持っていないであろう衆がズンズンと指示通りに奥へと進んでいた
しばらく進むとトイレがあった
これが美夜ちゃんのおばあちゃんが使ったトイレだとしたら 院長室はもうすぐのハズ
ジャリ、ジャリ、カチャッ……
先頭を歩いている衆《しゅう》の足が止まる
トイレを過ぎた先の行き止まりに部屋が見えた
「これじゃぁないのか? 行き止まりだし」
懐中電灯を扉に向かってクルクル回しながら衆《しゅう》が声を出す
さっまで通ってきた部屋の扉はどれも開け放たれてる状態だったのにココの扉はしっかり閉まっていた
まさか鍵でもかかってるんじゃ?って思ったくらいに
「あぁ これですね こんな感じ」
扉を見るなり美夜《みや》ちゃんが言う
初めて見るハズなのに、不思議な子…
閉ざされた扉の前に立つ4人…
わたしはチラリと衆《しゅう》の方を見る
わたしの視線に気づいた衆が、
「はいはい、開けりゃいいんだろ 力仕事なら任せとけ!」
軍手をはめた手をドアノブにかける
「んじゃ開けるぞ!!」
少しの緊張が走る
この瞬間、きっとわたしの鼻は…
「神子《みこ》 鼻の穴 鼻の穴」
「わかってるっ!!」
冷静な深鈴《みすゞ》のツッコミに反応しながらも わたしの頭の中はワクワクとドキドキが混在していた
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