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おばあちゃんっ子
しおりを挟む「それでどうやってこの場所に行こうか考えた末がミステリーサークルだったと…」
わたしの方をチラッと見てくる深鈴《みすゞ》
大丈夫だから、ちゃんと言ってること理解してますから!!
「はい、すみませんでした 神子先輩たちならきっと興味を示してくれると思って、わたし一人じゃ無理だったし、こんなこと頼める友だちもいないから…」
「ほんとにごめんなさい!!!」
「おばあちゃんのこと大好きだったみたいね」
コクンと頷く美夜ちゃん
おばあちゃんの為に美夜《みや》ちゃんは美夜ちゃん也に一生懸命だったんだ
「おばあちゃんは鏡を返したかったんだけど戦争が始まったり終わったりの混乱でそれどころじゃなくなって『鏡』のことも忘れてたみたいなんだけど…」
「病院がつぶれて、廃墟になって、いろんな噂が流れるようになって思い出したみたいなんです…『鏡』のことを」
「聞こえてくる悪い噂はもしかしたらわたしが『鏡』を持って帰ってしまったからなのかも、と思うようになってたみたいです… でも悪い噂をおばあちゃんが知った時にはもうおばあちゃんは高齢になっていました…」
「どこか心残りや罪悪感がおばあちゃんにはあったのかもしれないね…」
ようやく話の全体が見えてきたわたしはおばあちゃんの悔いがわかるような気がしていた
その想いを孫が聞いてくれてるのがすごく嬉しかったのかもしれない
「じゃあ この病院に入ってからもずっとぶつぶつ言ってたのって」
「はい、おばあちゃんと話してました 院長室の場所も地下への扉の場所も全部おばあちゃんが教えてくれてました」
なんかいろんな事が繋がった気がした
頭の中のモヤモヤした霧のようなものが晴れたように
スッキリしてるのは美夜ちゃんも同じだったろう
「『鏡』は当時のもの? それもおばあちゃんに聞いてどこにあるかわかったの?」
「はい、仏壇の引き出しに袋に入れられて大切にしまわれてました」
当時の鏡、どうりで綺麗で立派な装飾が施されてるはずだ わたしは祠に美夜ちゃんが置いた鏡を見てそう思った… ん? 装飾…?
「あ、でも、」
わたしは美夜ちゃんの横を通り抜け祠に置かれた鏡を持ち上げると そっと裏向けに鏡を置き直した
「元来鏡はね、霊をはね返す神秘的な力を持つものと言われてるの… この土地から上がってくる邪気を祓うとか、もしこの鏡がそう言った類の鏡だとしたら きっとこうして裏向けて置くのが本来の姿なのかも
こんなに綺麗な装飾がなされてるのもその為じゃないかな…」
わたしはそう言って祠と鏡に手を合わせた
みんなも同じように手を合わせてた
衆《しゅう》だけは何度も何度もお辞儀までしていた
「先輩、神子《みこ》先輩! おばあちゃんがありがとうと言ってます! 元通りだよって」
目に涙を浮かべながら美夜《みや》ちゃんがわたしたちにお礼を伝える…おばあちゃんの分も一緒に…
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