君との時間 The Time Between Us

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第3章 14歳の夏 Part14

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 彼の父の車の中は、どこか彼の家の匂いがする気がした。
 11歳の夏に行って以来だ。
 正直、あのころとは違う。
 私は自分の置かれている状況に、どことなく“大人にさせられて”いた。
 同級生を羨ましく思うより、冷めた目で見るようになっていた。

 車内の後部座席で、弟と二人で手をつないで座っていた。
 運転席に座る彼の父の横顔は、どことなく和臣を思い出させる。
 安全運転の車の振動に、じわじわと安心感がわいていた。
 その一定のリズムが、胸の奥のざわつきを少しずつ撫でてくれるようだった。

 定期的に休憩を交えながら、彼の父の車は高速を走っていく。
 普通なら、親がいない姉弟だけで行くなんて大冒険だ。
 私はやっと自由をつかんだような気分で、少し落ち着かない弟を横目に、フロントガラスから見える空を眺めていた。
 いつもは両親の顔を見たくないから、後部座席の窓から外をぼんやり眺めるだけで、楽しいと思ったことなんて一度もなかった。

「美央も大丈夫だから安心していいぞ。俺の家に来れば、何も心配いらんから」

 やっぱり彼の父にはお見通しだ……。

 大きなお玉で、心のドロドロした何かをすくい上げられたような気分だった。
 その言葉に触れた瞬間、胸の奥の重さが少しだけ溶けていく気がした。
“守られている”という感覚を久しぶりに思い出して、喉の奥がじんと熱くなる。
 家では絶対に感じられなかった温度が、車内に静かに満ちていた。

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