君との時間 The Time Between Us

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第3章 14歳の夏 Part22

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「美央ちゃんってさ、好きな人とかいるの?」

 真由美姉の部屋でマンガを読んでいると、不意打ちに息が止まりそうになる。
 真由美姉は、あの家族の中ではどちらかと言うと異端児だ。
 自由奔放で、空気がまったく読めないと言っても過言ではない。
 ある程度のことは想定内だけど、“好きな人”だけは別だ。
 なるべく知られないほうが好都合。
 学校のクラスメイトみたいに騒ぎ立てられるのは迷惑でしかない。
 胸の奥がざわつき、ページをめくる指先が少しだけ強張った。

「いないよ」

 真由美姉の言葉に関心がないふりをして、チラッと視線を交わす。
 視線をそらす瞬間、心臓がひとつ跳ねた。
 嘘をつくのは苦手なのに、この嘘だけは守らなきゃいけない気がした。

「そうなんだ」

 意外とあっさり引いてくれて助かった。
 これ以上突っ込まれては、せっかくの和臣との関係も台無しになる。
 それだけは絶対に阻止したい。
 真由美姉のことだから、真っ先に和臣に“私をどう思うか”なんてテンプレ質問を浴びせるのが目に見えている。
 考えなしというか、自分の正義の中で生きている真由美姉は、こういう場合は回避するに限る。

 胸のざわつきを押し込めるように、私はマンガのページを静かにめくった。
 文字は目に入っているのに、内容はまったく頭に入らない。
 心だけが、和臣のほうへ引っ張られていた。
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