君との時間 The Time Between Us

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第4章 見えなかった心 Part21

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「ただいま~」
 彼の父が少し抑えめに声をかけながら家に入る。
 その背中を追うように玄関へ足を踏み入れた。

 3年前と変わらないようで、どこか部屋の雰囲気が違う。
 玄関入ってすぐ右の部屋の空気が、以前より少し静かに感じられた。
 その静けさが、これから始まる時間をそっと迎え入れているようにも思えた。

 右奥の居間に入ると、彼の母の姿が見える。

「美央ちゃんおはよう。朝ご飯できるで、待っときな」
「おはよう、ありがとう」

 彼の父は私の荷物を居間の隅に置き、座卓を囲むように私と座った。
 その動作ひとつひとつが、久しぶりに戻ってきた“あの家の空気”を思い出させる。

「真由美はおらんでな。あいつの部屋は和がおるわ」
「そうなんだ」

 真由美姉がいないと聞いて、少しだけ安堵した。
 あの人がいたら、きっと落ち着いて座っていられなかった。
 胸の奥の緊張が、ほんの少しだけほどける。

 スッ。

 隣の子ども部屋から、大きくなった隆臣が出てきた。

「美央ちゃん、おはよう」
「おはよう」

 昨年の正月以来だけど、隆臣は希望の高校に進学したらしく、つきものが落ちたようにすっきりした顔をしていた。
 少し大人になっていて、和臣とまた似ていて、凛々しくてカッコいい。
 和臣と違うのは、どこか甘さのある表情。
 その柔らかさが、兄弟の違いをはっきりと感じさせた。

 そして同時に、
 和臣がこの家のどこかで息をしているという現実が、胸の奥にじわりと近づいてきた。
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