キョリとリセイ~恋人は愛の香り~

国府春学

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ほろ酔い

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「おまえは、女を抱けないとストレスなのか?」
「あ……違うよ、一般的な話」
 ルートリヤは、シェスリタと付き合う前に特定の相手がいたことはないが、上官に誘われて色街に行ったことはある。
 玄人女性との行為、というだけで、特に記憶にも残っていないが。

「シェスはその…女の人は、どうなの?」
 今まで何となく避けていた問いを口にした。
 店主はグラスを拭きながら、興味深そうに二人のやりとりをうかがっている。
「興味ねーよ。例の…見られたくないしな」
 シェスリタは一気に飲み干して答えた。
 今更訊くな、ということなのだろう。
「次はおすすめを一杯くれ」
 久しぶりの酒を堪能している彼を横目に、ルートリヤはまだ晴れない気分でいる。
 自分の想いに正直になるあまり考えていなかったが、本当に、男の自分とつきあってよかったのか、気になってしまったのだ。
「もし…それでもいいって言ってくれる素敵な美人が現れたら、……どう?」
「くだらねーこと考えるなよ。そんな女と付き合わないから」
 シェスリタはきっぱり、言い切った。
「え……でも……」
 口唇を開いたルートリヤの耳元に、顔を近づけて囁く。

「おまえ以外、いらねーよ」

 ルートリヤはその言葉に、グラスの酒が揺れるほど分かりやすく震えた。
「シェス……」
 ほろ酔いの気持ちよさに、甘い感情が混ざる。
 その後は、周囲の生温かい視線をよそに、お互いの好きなところを挙げあって、酔いが完全に回るまで杯を重ねた。


「シェぇスぅうう~……」
「ん-、何らよぉ」
 肩を抱き合い、ふらふらと深夜の道を宿へ向けて歩きながら、ろれつの回らない口唇で呼び合う。
 二人とも、何を何杯飲んだか思い出せないくらい酔っていた。
「あー、今夜は気持ちいいなぁ。見て、星がきれいらよぉ」
「ほんとらなぁ……」
 子どものように素直に夜空を見上げ、一つ二つと星座を探す。
 静かな草むらに寝転がり、熱く火照った身体を冷やした。

「シェス、いい匂いがする」
 酒の匂いではない香りを嗅ぎつけて、ルートリヤは白い首筋に鼻を寄せた。

「ふっ…ん…やめろよ、くすぐったい」
「え? ここ?」
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