ペンダントの中の猫時間―失恋OL、時々猫。運命をくしゃみで変えてみせます。―

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最終章 猫の夢を見る人

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エピローグ)

ー[早朝・悠真の部屋]ー

カーテン越しに差し込む朝の光が、
静かにベッドの端を照らしていた。

目を覚ました悠真は、いつものように伸びをした。
胸の奥で、かすかな音がする。

――ちりん。

(また、あの音だ)

ペンダントは、昨日と同じ場所にある。
何度も磨かれた銀の表面は、もう曇りひとつない。
けれど、その奥に宿る微かな温もりだけは、
ずっと消えないままだった。

ー[夢の中]ー

白い光。
柔らかな草の香り。

悠真は、夢の中で誰かの笑い声を聞いた。
風に乗って届くその声は、懐かしくて、少し切なかった。

「――お寝坊さん。今日も鈴、鳴らしにきたにゃ」

振り返ると、そこに白猫がいた。
まっすぐな瞳で、笑っている。
あの日と同じ鈴を首に下げて。

「ミオ……?」

「うん、ミオだにゃ。
 でもね、もう猫でも人でも、どっちでもいいの」

猫はゆっくりと近づき、
悠真の手に頭をすり寄せた。

「あなたが笑ってくれるなら、それだけでいい」

その瞬間、風が吹いた。
光が揺れ、世界が滲む。

ー[現実]ー

目を開けると、朝の光が部屋を満たしていた。
夢の続きのように、
枕元のペンダントが小さく揺れている。

「……ありがとう、ミオ」

悠真は微笑んだ。
もう涙は出ない。
悲しみではなく、穏やかな安堵が胸を包んでいた。

窓を開けると、春の風が吹き込む。
その風の中で、確かに鈴の音が響いた。

――ちりん。

小さな白い影が、空の向こうを駆けていくような気がした。

ー[余韻]ー

朝の光。
風の匂い。
鈴の音。

それらすべてが、優しくひとつに混ざっていく。

悠真は静かに呟いた。

「……また、会える気がする」

そして、遠くで声がした。

「きっとにゃ」

その言葉とともに、鈴の音が響き、
窓辺のカーテンがふわりと揺れた。

――輪は、またひとつ、静かに結ばれた。
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