山神様と身代わりの花嫁

村井 彰

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6話 真実

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「いやあ、相変わらずええお家やなあ」
  玄関近くの客間から庭を覗いて、隼吉はそう言って笑った。手には先ほど汐季が淹れたばかりの茶を持っている。
「山の上やさかい、空が近くて綺麗に見えるんやろなあ。……まあしかし、僕も歳やなあ。昔はこんな山道くらい、走って登って来られたもんやけど、今はもう無理やわ。普通に歩いて来ただけやのにごっつ疲れてしもうて、かなわんわあ」
「……あの、隼吉さんておいくつなんですか」
「僕? さあ、何歳になるんやろうなあ」
「……ええと」
  返事に困った汐季が眉を下げるのを見て、隼吉はおかしそうに笑う。
「ごめんごめん、別にはぐらかしてる訳とちゃうねん。ただなあ、ここは向こうと時間の流れが違うさかい、自分がどのくらい歳とったかもよう分からへんねん。ここに来た頃は、汐季くんと同じくらいの歳やってんけどな」
「そう、なんですか」
  時間の流れが違うとはどういう事だろう。いまいち分からないながらも頷いて、汐季は自分の湯呑みを手に取った。
「……少し聞いてもいいですか」
「なんやろ。僕に答えられる事やったら何でもええよ」
「その……隼吉さんは、俺と同じように、人間の世界からこっちに来たんですよね? ……失礼な質問だったらごめんなさい。隼吉さんは、人間の世界に帰りたいと思ったことは、ないんですか。……ここに来たことを、後悔したことはありますか」
  汐季がそう問いかけた瞬間、隼吉は眼鏡の奥のつり目を瞬いて、そして優しく微笑んだ。
「それ、カンさんにもよう聞かれたなあ」
  そう言いながら隼吉は眼鏡を外して、たもとから取り出した手ぬぐいで軽く拭った。
「あの人なあ、僕に人の暮らしを捨てさせたとか、そんな事ばっかり言わはるねん。確かに僕は、もう向こうに帰る場所もあらへんし、向こうの家族や友達とか、そういう人らにも、もう会えへん。そう思うと寂しなるし、帰りたいと思ったことが無いわけやないよ。けどな、ここに来たこと自体は、ひとつも後悔してへん」
  すっかり綺麗になった眼鏡をかけ直し、隼吉は微笑みながら目を伏せた。
「僕なあ、こう見えて結構な大店おおだなの跡取り息子やってん。親同士が決めた相手やけど、ちゃんとした許嫁いいなずけもおって……そういうもん全部放り出してここに来てしもうたさかい、家族や相手のお嬢さんには悪いことしたと思てるよ。でもな、そういう事も含めて、僕は全部自分で選んで来たんや。カンさんに言われたから捨てた訳やない」
 そう言って優しく微笑む隼吉の言葉に、汐季は自分との決定的な差を感じて俯いた。
「そうか、隼吉さんは、大事なことを、きちんとご自分で選んで来られたんですね。……だから、迷わずにいられるんだ」
「……汐季くんは、後悔してるん?」
「どう、なんでしょう。よく分からないです。自分で考えることに慣れていなくて……今までずっと、人に言われるまま、自分の人生すら『そういうものなんだ』って受け入れて、流されるままここに来てしまったから」
  持ったままの湯呑みの中に、細かな波紋が広がっていく。捨て子だったから、拾ってもらった恩があるから。そう言って従順になったつもりで、考えることを放棄して、ここに辿り着いた。だから今になって、こんなに苦しいんだろう。
「俺が、今まで自分で選んできたものなんて、ひとつも無いんです。行けと言われたからここへ来て、そのせいで大切な人にろくにお別れも言えなくて、それでも、こんな俺に螢花様は優しくしてくれたのに、本当の事を言う勇気もなくて、ずっと、中途半端で…………俺が……俺なんかが、ここに来るんじゃなかった、って……」
「汐季くん」
  いつの間にかキツく湯呑みを握りしめて真っ白になっていた手に、身を乗り出してきた隼吉の指先が触れた。
「あ、ご、めんなさい、俺……」
「ええよ。詳しい事情は分からへんけど、今まで螢花さんに心配かけんように、ひとりで抱えてた事があるんやんな? しんどかったなあ……よう頑張ったなあ」
  子供をあやすような穏やかな調子で話しかけながら、隼吉は少し腰を浮かせて、汐季の隣までやってきた。そして汐季の背中に手を回し、そのままぎゅっと抱き締めてくれる。
「考えることも、自分で選ぶことも、今からでも遅うないやん。僕かて、最初から迷いなく全部選んでこられた訳と違うで? ホンマにこれでええんやろかって、何回も何回も考えた。けど、なんぼ考えても正解なんか分からんかったから、自分が一番失くしたないと思ったもんを選んだんや。……その選択で、傷つく人がおるって分かってたのにな。酷い我儘やろ?」
  優しくなだめるように背中をさすられて、ずっと胸の奥に押し込めていたものが、じわじわと溢れ出してくるのが分かった。
「うう……うわあああ……っ」
  涙が、次々に溢れて止まらなかった。あの人にもう一度会いたい。会ってきちんと、お礼とお別れを言いたい。それと同じくらい、螢花のそばにずっと居たいと思う。
  馬鹿みたいだ。沙恵はもう遠い場所へお嫁に行ってしまった。螢花だって、こんな嘘つきの自分をいつまでそばに置いてくれるか分からない。隼吉は遅くないと言ってくれたけど、もう取り返しのつかないものだってたくさんある。
  嫌いだ。隼吉のように、失くしたくない大切なひとつを選ぶ勇気もないまま、こうして泣くことしか出来ない自分が。誰かを傷つけても、他の全てを失っても手に入れたいと願うほどに、誰かを深く愛することも出来ない、空虚な自分が……大嫌いだ。
  そうやって、夢中で隼吉にすがりつく汐季と、汐季の言葉に耳を傾けることに集中していた隼吉は、気づくことが出来なかった。
  閉め切られた座敷の襖の前。寒々しい廊下にひとり立ち尽くして、二人の会話にじっと聞き耳を立てている螢花がいたことに。


  *


「あの……本当にすみませんでした」
  真っ赤になって玄関先で頭を下げる汐季とは対照に、隼吉は愉快そうな顔で笑っている。
「気にせんでええよ。あんなんヒヨちゃんがぐずってる時に比べたら可愛いもんや」
「うう……」
  赤ん坊と比べられてしまった。実際、三人の子を持つ隼吉からすれば、まだ十八の汐季なんて小僧にしか見えないのだろう。
「ほら汐季くん、いいかげん顔上げ。泣くくらい何も恥ずかしいことないやろ。螢花さんにも、そのくらい思いきってぶつかってみたらええねん」
「……はい」
  小さく頷いて、汐季は唇を引き結んだ。
  溜め込んでいた気持ちを吐き出させてもらえたから、少しだけ冷静になれた。今なら多分、螢花とも落ち着いて話が出来る。だから、この決意が鈍らないうちに、彼に全てを打ち明けよう。そうして、元いた村に一度帰らせて欲しいとお願いをするのだ。沙恵の嫁ぎ先まで行って、彼女に今までのお礼を伝えるために。
  もしかしたら、もう二度と帰って来なくていいと、螢花は言うかもしれない。だとしても、螢花に嘘をついたままでは、ここが自分の居場所だと胸を張ることは出来ない。
  だから、ちゃんと伝えるんだ。自分の口で。
「ほな、またな汐季くん」
「はい。……お世話になりました」
  螢花の返答次第では、隼吉とももう会えなくなるかもしれない。今度こそ後悔しないように、汐季はもう一度しっかりと頭を下げた。


  *


  そうして隼吉を見送った後、汐季が奥座敷まで戻ると、そこには螢花が座っていた。
「螢花様、戻っていらしたんですね」
「……うん」
  床の間の前でちょこんと正座したまま、螢花は難しい顔をしている。その様子に怯んでしまいそうになるが、ここで逃げ出したら、また同じことの繰り返しだ。
「あの、螢花様……少しだけお時間をいただけませんか。お話したいことがあるんです」
「ああ……住んでいた村に帰りたいという話か?」
  まるでこちらの心を読んだかのような発言に驚いて、汐季は螢花の顔を見返した。
「もしかして、先程の隼吉さんとの会話……聞かれてましたか?」
「うん」
  螢花が小さく頷いたので、また恥ずかしさが込み上げてきた。隼吉の前で泣いてしまったこともバレているのだろうか。
「すみません……まずは螢花様にお話するべきだったと思うのですが、なかなか勇気が出なくて……」
「ああ、そうだろうな。君の気持ちも考えずに、こんな場所へ呼び寄せた相手に話すことなんて、何も無いだろう」
  冷たく突き放すような声に、心臓をギュッと掴まれたような気がした。螢花は一体何の話をしているんだろう。
「あの、螢花様……」
「向こうに想い人がいるんだろう。だったら初めから僕のところになんて来なければ良かったのに。……約束をたがえたら、僕が祟るとでも思ったか? 僕が、化け物だから」
「ちょ、ちょっと待ってください螢花様。想い人というのは何の話ですか。俺にはそんな人……」
「ごまかさなくていい。さっき隼吉と話していたじゃないか。大切な人がいた、ここに来るんじゃなかったって」
「それは……っ」
  それは、そういう意味で言ったんじゃない。だけど何と言って説明すれば伝わるんだろう。大切な人がいるのも、その人に会うために帰りたいのも事実だけど、それは全部、これからも螢花のそばに居るためなのに。
  言い淀む汐季を冷たく見返して、螢花はフンと鼻を鳴らした。
「……やっぱり、人の子と分かり合おうなんて無理な話だったんだな。君はあの時の約束なんて、あっという間に忘れてしまったし、僕だけが浮かれて、家族が出来るだなんてはしゃいで……まるで道化だ」
「待ってください、螢花様……! お話したいのはその事なんです! 本当は俺、その時の赤ん坊では」
「もういい」
  汐季の言葉をぴしゃりと跳ね除けて、螢花は深く深く、息を吐いた。
「もう、いい。これ以上何も言わないでくれ。何を聞いてもみじめになるだけだ」
「そんな……違うんです、螢花様! お願いですから話を……」
「僕に近づくな!!」
  裏返った悲鳴が聞こえた直後、伸ばした手の先で、真っ白な光が爆発した。
「螢花様……!!」
  光が生まれる寸前、小さい螢花の体が、突然質量を増して膨れ上がったのが見えた。
「うわ……っ」
  柔らかい何かに弾き飛ばされて、汐季の体は座敷の外に押し出された。周囲からは、メキメキ、バキバキ、と色々な物が壊れる不吉な音が聞こえてくる。
「螢花様、大丈夫ですか!」
  自分の上に倒れてきた襖を押し退けて、汐季は座敷の中へ向かって叫んだ。何が起きたのかは分からないが、汐季より小柄な螢花は、今の衝撃に耐えられただろうか。もしかしたら、吹き飛ばされて怪我をしているかもしれない。そう思ったのだが……
「え……」
  座敷の中には、想像を絶する光景が広がっていた。
『あ、ああ……っ』
  を、なんと表現すればいいだろう。牛さえも一呑みに出来そうなほど巨大なそれは、白く、ぶよぶよとした肉を震わせて、座敷の中で苦しげにのたうっていた。恐ろしい。醜悪。不快。そんな言葉がぐるぐると頭の中を回る。この感覚は、幼い頃、野良犬の死骸に集る蛆虫うじむしの群れを見たあの時感じたものにそっくりだ。
  汐季の中で、あの時の記憶と、目の前の光景が、最悪な形で結びついた。それは、見上げるほどに巨大で醜い、蛆虫の化け物だったのだ。
『いやだ……っ、見るな……見るなぁ……』
  畳の上でべちょべちょと不愉快な音をさせて身をよじるそれは、信じ難いことに、螢花と同じ声で話した。
「螢花、様……?」
  そんな馬鹿な。螢花が、こんな恐ろしい化け物であるはずがない。必死に言い聞かせながらも、頭の片隅では理解していた。
  彼らは、もともと人間ではないのだ。鸛良だって、自在にその姿を変えていたじゃないか。螢花にも同じことが出来たって、何も不思議なことはない。
  つまり、普段の螢花は、人に合わせて姿を変えているだけで、これが……この巨大な蛆虫こそが、螢花の本来の姿なのだ。
『汐季……』
  蛆虫が、弱々しい声で汐季の名を呼んだ。これが螢花だというのなら、恐れる必要はない。分かっているのに、恐怖で足がすくんだ。
「ひ、あ……っ」
  悲鳴すら声にならず、腰を抜かしたまま後ずさる汐季の方に重たげな頭を向けて、化け物は悲しげにうめいた。
『だから、見せたくなかったのに……また、怖がらせるから……だから……っ』
  螢花が、泣いている。そばに行って、抱き締めてやらなくては。汐季の心はそう訴えかけているのに、どうしても体が動かない。
『最初から、出会わなかったら良かった。あんな気まぐれなんて、起こさなければ……』
「螢花様……っ」
  震える手を必死に伸ばそうとしたが、そうするには少しばかり遅かった。周囲は再び光に包まれ、白い闇の中に全てが飲み込まれる。
「待って……待ってください、螢花様……!」
  伸ばした手は空を掴み、周囲は徐々に暗くなっていく。そして、光の余韻が全て消え去った後、眼前に現れた光景に、汐季は愕然がくぜんとした。
「ここは……」
  目の前にあるのは、埃っぽくてひび割れた、汚い木の壁だけだった。螢花も、あのお屋敷も、一瞬にして消えてしまった。
「そんな……っ」
  必死で周囲を見回してみるが、結果は変わらない。すぐ近くにいたはずの螢花は、どこにもいない。……いや、螢花がいなくなった訳ではない。汐季が別の場所に移動したのだ。おそらくは、螢花の力によって。
「……っ」
  居ても立ってもいられなくなって、汐季は薄暗い小屋の中から飛び出した。そして気づいた。
  ここは、螢花の家に初めて辿り着いた時、その入り口となった山のお社だ。あの時とは違い、青空の下で見るからか、前以上に酷く朽ちて、今にも崩壊してしまいそうに見える。けれど周辺は意外にも小綺麗で、生い茂っていたはずの草むらも、なぜか少しすっきりしていた。
「螢花様……」
  社の扉に手をかけて、もう一度中を覗いてみる。けれど当然、そこにはかびと埃の臭いが充満する薄汚れた小部屋があるだけだ。ここはもう、螢花の元には繋がっていない。螢花自身の手によって、断ち切られてしまったのだ。
  拒絶される覚悟はしていたつもりだった。だけどこれは……こんなつもりじゃなかった。
『汐季……』
  螢花の悲しそうな声が、耳の奥で反響する。汐季の軽率な行動のせいで、酷く傷つけてしまったあの人の声が。
  自分の意思で行動しようなんて、そんな余計なことを考えなければ良かった。あのまま、螢花の秘密にも、自分の気持ちにも気づかないふりで、何も知らずにいれば、少なくとも、こんな事にはならなかった。結果論でしかないと分かっていても、そう考えずにはいられない。
  のろのろと扉を閉めて、誰もいない社の前で力無く座り込む。これからどうしよう。そんな心の声に答えるように、遠くから山道を登ってくる足音が聞こえてきた。
「ちょっと、あんた。そんなところで何してるの?」
  その声に、ハッとして顔を上げる。凛とした若い女性の声。その声が、沙恵のものにそっくりだったからだ。
  だがしかし、その女性の顔を見た瞬間、沙恵では無いことに気づいて落胆した。彼女は明らかに汐季より年上、三十手前くらいの年頃だったからだ。しかし顔立ちは沙恵によく似ている。彼女の親族だろうか? そんな人がいるなんて、聞いたことはないけれど。
「……あんた、汐季なの?」
「えっ?」
  どうして汐季の名前を知っているのだろう。不思議に思ってまじまじと女性の顔を見返すと、彼女は大股でこちらに近づいてきて、両手で汐季の頬を挟み、間近に顔を覗き込んできた。
「ちょ、ちょっと」
「幽霊でもない、狸が化けてるんでもない……本当に汐季なのね?! 生きてた、のね……」
「…………お嬢、さん?」
  鼻先がぶつかりそうな距離で見つめ合って、汐季はようやく理解した。この人は沙恵だ。間違いなく沙恵本人だ。
「良かった……私、あんたは山の化け物に殺されたんだと思って、どうしてあの時止められなかったんだろうって、ずっと後悔してた……この十年、ずっと、あんたに謝りたくて……」
  座り込んだままの汐季を抱きしめて、沙恵はそのまま泣き崩れてしまった。

  汐季が螢花の元で過ごしたのは、ほんの半月程度。その間に、人の世界では、十年の時が過ぎていたのだった。
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