異世界特殊清掃員

村井 彰

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第四章・勇者の足跡

騎士団の男

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 薄曇りの昼下がり。休日を利用して、サクはルタと二人で、王都の北の果てまで来ていた。ごった煮のように店や民家が建ち並ぶ西地区とは違い、この辺りは質素な田舎町といった風情だ。しかし、地区を分断するように流れる大きな川が、ありふれた町並みに特徴をつけている。この川は遥か南の方まで続いて、王宮の周りを囲む堀へと繋がっているらしい。
「仕事でもねーのに、こんなとこまで来るはめになるとはな」
 ポケットに両手を突っ込んで、いかにも柄の悪そうなルタが言う。仕事で自然と鍛えられたのだろう、薄手のシャツ一枚では隠しきれない程に分厚く完成された体つきといい、赤の他人だったら、よほどの用がない限り話しかけたくない風貌に仕上がっている。
「なんかお前失礼なこと考えてないか」
「いえ、別に。それより四件目の現場って、ここであってるんですか」
「あー……たぶん間違いないな。見ろよ、そこの川べりのとこ」
 ルタがつま先で指した方に視線をやる。河川敷の灰白色の砂利が一部どす黒く変色して、蝿のようなものが集っている。
「あれは……血の跡、ですかね」
「だろうな。ったく雑な仕事しやがって、素人が」
 言いながら器用に斜面を滑り降りて、川岸に立ったルタがサクを見上げる。
「お前も降りてこいよ」
 ルタに頷き返して、不格好に駆け下りた。そうして勢いよく地面に降り立ったのはいいのだが、今度は勢いをつけすぎて前につんのめってしまう。
「うわ、わ……」
 転ぶ!と思って身構えた瞬間、ルタの右手が伸びてきて、サクの肩を支えてくれた。
「なにしてんだ、どんくせーな。気ぃつけろ」
「…………すみません、ありがとうございます」
 気まずさと、よくわからない気恥ずかしさに襲われながら、一応の礼は口にした。おかげで砂利の中に顔を突っ込む事態は避けられた。
「どーいたしまして……それにしても、ここもなんもねーとこだな」
 ルタの言葉に釣られて辺りを見回す。川はそのまま町の外に聳える山道に続いており、斜面の上に見えるのも鬱蒼とした木々ばかりで、視界の中に人工物はほとんど存在しない。
「今までの現場と同じような雰囲気ですね。周囲に建物がなく、人の目もない……そうでなくては、ガルムなんて大型の魔物が町に入ってきた時点で騒ぎになるでしょうけど」
「とはいえ、そこの山には普通に生息してるけどな。山越えする村人に、しょっちゅう護衛を頼まれるって言ってたわ……あいつが」
 "あいつ"。その言葉が指す人の顔が浮かんで、サクは胸に提げたペンダントを無意識に強く握りしめていた。真実を探す。そう、サク達が今ここにいるのも、全てはそのためだった。

 事の起こりは今から三日前の早朝。畑仕事に向かう途中だった北地区の住人から騎士団の元に、「川の水が赤く染まっている」という報告が入ってきたのが始まりだった。
 報告を受けて、北地区に駐在している騎士が調べたところ川の上流、つまり現在サク達がいる場所に、例によってバラバラにされたガルムの死体が散らばっていた。そして、そこから流れ出た血が、川を赤く染めていたのだとわかったのだった。
 事件はすぐに、騎士団の本部へと伝えられ、死体はそのまま清掃員の手を介することなく、王宮付きの学者達のもとに運び込まれた。そして行われた検分の結果、また魔物の胃袋の中から、人間の死体が一部、発見されたという。
 この件について、騎士団は未だに清掃所の面々を疑っている。死体の片付けを任されなかったのも、今思えば証拠隠滅の機会を与えないためだったのかもしれない。
 たしかに、以前にも騎士団の本部で指摘された通り、大型の魔物の解体など経験のない者には難しい。だから特殊清掃員であるサク達に容疑がかかるのは無理もない……と、理屈では分かっても、それは到底納得のいく話ではなかった。
 息苦しいような空気の中、サク達は本部に呼び出され、死体が発見された前日夜の所在を訊かれることとなった。未だ療養中で満足に動けないガラと、たまたまポルカで二人揃って食事をしていたルタとサクは一応容疑から外れたものの、それぞれ自室にいたアギとセイ、そして事務所で一人、仕事の後始末をしていたペルは、未だ容疑の中にいる。幸いいきなり牢に放り込まれるようなことはなかったが、清掃所の付近には、騎士団の巡回が入るようになってしまったし、今後の事件の動き次第では、ペル達の身柄もどうなるかわかったものではない。
 そうして、サク達が真相を見つけなくてはならない理由が、またひとつ増えたのだった。

 事件と向き合う決意をしたあの朝以降、ルタとは行動を共にすることが増えた。手がかりを探すなら二人で情報を共有した方がいい、というのが一番大きな理由だったが、それ以外にも、もうひとつ。
 ナナとの思い出を共有できるのは、この人だけだったから。
 なにか思い出話をするわけじゃない。ただ、同じ人への思いを、記憶を抱いていられることが、それだけのことが、なにより心強かった。……そのことは、ルタ本人には伝えていないけれど。

 それからサクとルタは、わずかな手がかりを求めて、今までに死体が発見された場所を、ひとつひとつ巡ってきた。そして今日、朝一番で辻馬車を拾って、四つ目の死体が見つかったこの場所までやってきたのだ。

「この事件、まだ続くんでしょうか」
 河川敷を汚す染みに視線を落としながら、サクは呟いた。最初の二件については、もはや確認する術もないが、おそらくは既に四人が犠牲になっている。そして、これで終わりだとも限らない。
「んなこと俺にだって分からねえよ……けど、気になることはある」
 灰色にくすんだ空を見上げながらルタが言う。釣られてサクも顔をあげて、「気になることってなんですか」と尋ねようとした時、
「朝も早くから、こんな僻地まで、ご苦労なことだな。おかげで私も寝不足だよ」
 ふいに、斜面の上から聞き覚えのない男の声が投げかけられた。
「あ?」
 声の聞こえた方をルタが睨みつけた直後、剣を携えた年配の男が悠然と斜面を降りて、二人の前にその姿を現した。糊のきいた真っ白な開襟シャツに、真っ直ぐに折り目のついたズボン。簡素でありながら、余裕のある暮らしぶりが窺える服を着たその男は、口元に笑みを浮かべながらも、油断のない視線をサク達に注いでいる。
「……アンタ、前に闘技場の中で見たな。たしか騎士団のそこそこ偉いやつだろ?それがこんなとこで何してんだよ、暇なのか?」
 ルタの煽るような言葉にも、男は少し目を細めただけで、まったく動じる素振りを見せない。
「いちいち噛みつくな、若造。今件の第一容疑者であるお前達が、そろって外出したとなれば、後をつけて様子を窺うのが当然だろう」
「は?俺らには無理だって話を散々しただろうが」
「四件目に関してはな。だがお前達掃除屋が共謀している可能性もある。全員が交代で凶行に及んでいるのかもしれん」
 どこまで本気で言っているのか、男がおどけたように肩をすくめてみせた。
 馬鹿にしたような男の態度に、ルタの方が眉根を寄せて、男に鋭い視線を向ける。
「わかんねーな。だったらなんで、監視なんてぬるいことやってんだ?俺ら全員牢屋にぶち込んで、それで事件が起きなくなりゃ万々歳じゃねえのかよ」
「そうしたいのは山々だが、生憎牢の空きにも限りがあるからな。そのうえ、お前達が犯人であるというのは、あくまで可能性のひとつであり、確証があるわけでもない。その程度で、いちいち捕らえていては、牢番が過労で死んでしまう」
 だから、と、男が軽い調子で笑って続ける。
「こうして監視を続けているうちに、うっかりと怪しい行動でも取ってくれれば話が早い。それこそ人殺しの現場でも抑えられれば、一気に処刑台行きだ」
「……それは、仮に私達が犯人だったとして、それらしい証拠が手に入るなら、泳がせて新しい被害者を出してもいい、ということですか」
 傲慢な男の言い分に、サクは黙っていられなくて口を挟んだ。しかし男はサクを見下ろして、わずかに目を細めただけだった。
「私は元々近衛騎士なのでな。自警団の連中と統合されて以来、こうして市井の事件調査なども担当しているが、正直なところ陛下の御身に危険が及ばないのなら、大抵のことはどうでも良い。勇者気取りの愚か者を確実に捕らえられるのならば、それ以外の多少の犠牲も致し方ないだろう」
 男のそれは忠誠心と言えば聞こえはいいが、要するに己の主以外は守るつもりがないということだ。なるほど、自警団や警備隊などの民間組織が生まれた理由がなんとなく分かった。騎士団の上層部が全員この調子なら、都の民にとってはなんの当てにもならない。
 だが、今はそんな憤りよりも、気にかかることがあった。
「勇者気取り?どういう意味だそれは」
 同じことを疑問に思ったらしいルタが、サクより先に尋ねた。ルタの問いに、男は意外そうに眉を跳ねあげる。
「なんだ、気づいておらんのか?お前達、この四つの現場について、どう考えているんだ」
「それは……さっきも言おうとしてた。人気のない場所を選んでるにしても、なんでこんなバカでかい街の端から端までバラけさせる必要がある?だいたい、どうやって魔物を手懐けてるのか知らねえが、わざわざ危険を犯して町まで魔物を連れ込むより、人間の方を山の中まで誘い出す方が簡単だろうが」
 そう、ルタの言う通り、探れば探るほど不可解な点ばかりが見えてくる。ナナのような警備隊の人間なら、護衛の依頼だと言えば簡単に山中に呼び出せる。彼らの殺害自体が目的ならば、それで話は済んだはずだ。
 しかし男は、二人の疑問を鼻先で笑い飛ばしてこう言った。
「そこまで見えていて、あれに結びつかんとは。よほどこの国の歴史、ひいては我らが国王陛下に興味がないとみえる。嘆かわしい限りだな」
「なに?」
「"民の希望を背負い現れし勇者、まず南の門より入りて、四将軍のうち、病を司る者を打ち倒した"。"次いで勇者は東の門に向かい、争いを司る者を打ち倒した"」
 ルタの疑問符に答える代わりに、男は突然、詩のようなものを諳んじた。勇者、四将軍、それはこの国に住む者なら誰でも知っている、おとぎ話のような史実。
「それは……勇者と四将軍の戦いの章、ですか」
「そうだ。魔王との決戦の章ばかりが語られて、詳細が取り上げられることは、あまりないがな。ちなみに先程の続きだが、争いを司る者を降した勇者は、西の門で欲望を司る者を、そして最後に北の門で死を司る者を滅ぼした……さて若造。ここまで聞いて、何か思いつくことはあるか」
 男にピッと指を差され、ルタが面食らった顔をした。この男は……一体なんなんだろう。サク達を疑う素振りをみせるわりに、こうしてヒントを与えるような真似をする。
 気づけばサクもルタも、すっかり男のペースに飲まれていた。男の指先を見つめて困惑する様子を見せながらも、律儀にルタが答える。
「……今回の事件で、魔物の死体が発見された順と同じだ。そして現場はいつも街の外との境界線……門ってのは、そういう場所に建てるもんだよな」
「そういうことだ」
 ルタの返答に満足げに頷く男。彼が何を言わんとしていたのか、サクにもわかった。
「つまり犯人は、かつての勇者の行動に見立てて人を殺している、と……?一体なんのために」
「さて、理由までは分からん。人殺しの異常者のやることなど理解する必要もないだろう。だが、この見立てが正しいとすれば、次に犯人が向かう場所には、自ずと察しがつく」
 次に犯人が向かう場所。魔王の城を守る四体の魔物を倒した勇者が向かったのは、もちろん魔王の玉座。けれどこの現代に魔王はいない。代わりに玉座についているのは……
「まさか、国王様の」
 暗殺、という単語は飲み込んだ。だからか、こんな僻地で起きた事件のために、元近衛騎士がわざわざ出張ってきたのは。
「いや……いやいやいや。さすがにそれは無理があるだろ!王宮は中も外も、あんたら騎士団が警備を固めてる。俺らみたいな庶民は近づくことすらできやしねえ」
「その騎士団の中に裏切り者がいる可能性もある」
「あ……?」
 想定していなかった男の言葉に、ルタが怪訝な顔をする。男は意味ありげに口元を歪ませて、その先をこう続けた。
「戦の前から陛下にお仕えしていた我々と違い、自警団あがりの連中は、どうにも忠誠心に欠けるきらいがあるからな。身内といえど信用はできん」
「ちょっと待て、アンタが疑ってたのは俺らじゃねえのかよ。つうか、よくよく考えりゃ、アンタなんで俺らの前に姿を見せた?俺らが何かやからすのを待つなら、黙って見てれば良かっただろ」
 そういってルタが男を睨みつける。対する男は、先程までの神妙な表情を崩し、悪戯好きの子供のような顔で、にやりと笑ってみせた。
「たしかに騎士団としては、お前達に容疑を置いているが、私個人は現在、その可能性は低いと考えている。お前達が犯人なら、そもそも我々に報告する必要がないからな。初めの二件のように、黙って自分達で処理してしまえばいいだけの話だ」
「……だったら、分かっていて私達を試すような事を言ったんですか」
 男は軽く肩をすくめた。
「そう睨むな。実際ここ数日、お前達を容疑者として監視していたのは事実だ。しかし、見る限りでは、お前達も事件の真相を探っているようではないか。ならば、これは"使える"と思ってな」
 それを聞いたルタの目に怒りの色が滲む。
「一方的に疑っておいて、ずいぶん勝手な言い分じゃねえか。使える、だと?俺らがアンタに協力するとでも思ってんのか」
「協力しろとは言わん。ただ、我々の立場は、お互いに利用できるだろう?私は騎士団の内部に顔が利くし、監視を担当している私が目こぼしすれば、お前達は何のしがらみも無く街を捜査できる」
 悪びれもせずに言い切ると、男はポケットから小さな箱を取り出して、こちらに投げて寄越した。空を舞うそれを、ルタが片手で器用に捕まえる。
 ルタの手の中にちょうど収まったそれは、ワインボトルにじゃれつく白い子猫の絵が描かれた、小さなマッチ箱だった。
「私の行きつけの酒場だ。何か進展があれば知らせてくれ。こちらからも何かあれば言伝しておく」
 一方的に言いたいことだけ言うと、男はくるりと背を向けて歩き出し、二三歩進んだところで肩越しにこちらを振り返った。
「そういえば、一度も名乗っていなかったな。私の名前はゼスだ……まあ、別に覚えなくとも問題はないが」
 それだけ言い残すと、サク達の名を尋ねるでもなく、今度こそ男……ゼスは、その場を去っていった。
 その背中が見えなくなったところで、ルタと二人、お互いの顔を見合わせた。よく分からないが、ただ話していただけなのに妙に疲れた。
「自分の言いたいことだけ言って帰っちゃいましたね、あの人」
「自由すぎんだろ」
 呆れながらマッチ箱を弄ぶルタの横顔を見上げる。なんのために、ここまでやってきたのだったか。想定外の出会いに、当初の目的はすっかり霞んでしまった。
「どうします?今後、あの人と連絡をとりますか」
「さあな、どこまで信用していいのか分からねえ」
 そう言いつつも、ポケットにマッチ箱をしまう。
「けど、あのおっさんの考えが正しいなら、俺らだけでできることは、たぶんない……そうなりゃ、使えるものは何だって使うべきだ」
 そう言って横目でサクを見下ろして、ポケットに手を突っ込んだまま、肩をすくめた。
「今日はもう帰ろうぜ。考え直したいこともあるし、なにより雨が降りそうだ」
 言われて初めて、大気に雨の匂いが混じっていることに気がついた。
「……そうですね。こんな場所で雨に降られたら危ないです」
 そう答えて、ルタに斜面を引っ張りあげてもらいながら、川べりを離れる。帰路に着く途中、何気なく空を見上げた。

 そういえば、もうずいぶん長い間、太陽を見ていない。
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