7 / 16
10cm先のラブソング
7.特別になれるなら
しおりを挟む
無機質な目覚ましの音に起こされて、俺は薄く目を開けた。
手探りで止めた目覚ましが示す時刻は午前十時。そういえば、昨日の晩はあのまま陽太の家に泊まったんだった。
「んん……」
やけに色っぽい吐息を洩らして、陽太が隣で寝返りを打つ。布団から覗く、白いうなじに目を奪われそうになったのをごまかすために、俺は陽太の肩を少し乱暴に揺すった。
「おい、起きろー。目覚まし鳴ってたぞ」
「ん、ん……やめて、かずいさん……酔う……」
へにゃへにゃした声で言いながら、陽太がこちらを振り向く。そして俺と目が合ったかと思うと、その瞬間まるで鍋に放り込まれたカニみたいに、みるみるうちに真っ赤になってしまった。
「あ、う……」
「バカ、なに動揺してんだ」
そんな顔されたら、こっちまで恥ずかしくなるだろうが。
手を伸ばして、照れ隠しにほっぺたをむにっと摘んでやると、陽太は慌てた様子で俺から距離を取った。
「あ、あの、おれ、シャワー浴びてくるから」
そう言ってベッドから降りたかと思うと、転がるようにして部屋から飛び出して行ってしまう。
ひとり残された俺は、ベッドの上に胡座をかいて、寝癖のついた髪を撫で付けた。
昨晩は、約束通りお互いに触れ合っただけで、最後までは至っていない。だというのにこんな調子では、この先が思いやられる。
「最後までしたら、あいつどんな反応すんのかなー……」
いろいろと想像してしまいそうになり、俺は慌てて頭を振った。朝から邪な妄想をしている場合ではない。
陽太から借りたスウェットの裾をたくし上げつつ、俺も寝室を出た。スウェットは上も下もぶかぶかで情けない限りだが、今さらそんなことを気にしても仕方ない。
カーテンを開けてベランダを覗くと、昨日の晩に干しておいた俺のシャツや下着がヒラヒラと揺れているのが見える。たしか陽太は午後から打ち合わせがあると言っていたし、あれが乾いたら俺も一旦ウチに帰ろう。
そんな事を考えていたら、唐突にインターホンの音が鳴り響いた。
こんな時間に誰だ?宅配便か?
首を傾げながらモニターを覗き込んで、来訪者の顔を見た瞬間、
「亀井?!」
俺は思わず叫んでいた。
このニヤケ面。間違いない、亀井柾だ。しかもよく見たらこいつ、下の玄関ではなく既に扉の前まで来ている。ということはつまり、こいつも陽太から合鍵を貰っているということだ。
その事実にいろいろな意味で苛立ちを覚えつつ、俺は大股で玄関に向かう。そして乱暴な手つきでチェーンを外し、勢いよく扉を開けた。
「やあ、ヨウ……」
「じゃなくて悪かったな、このショタコン野郎」
俺が無愛想に返すと、亀井の奴は露骨にげんなりした様子で顔を顰めた。
「なんですか、貴方。ヨウの部屋でなにしてるんですか」
「あ?彼氏の家に泊まってんだ。やることやってたに決まってんだろ。あんたこそ、こんな時間から何の用だよ」
わざと挑発的な言い回しをしてやると、亀井は俺に汚物を見るような目を向けながら、「なんて下品な……」と呟いた。お前が言えた義理じゃないだろうが。
「僕は打ち合わせの前に食事でもと思って、誘いに来ただけですよ。最近のヨウは元気がない様子だったので」
「ああそう、そりゃ熱心なことだな。けどもう必要ねえよ。問題は解決したからな」
というかそもそも、問題の八割はこいつのせいで起きたようなもんだ。こいつが誤解させるような事を言うから……
「そうだ、陽太に聞いたぞ。あんた、俺が思ってたようなクソ野郎じゃなかったみたいだな」
ムカつくことには変わりねえけど。と付け加えると、亀井は少し眉を上げた。
「なんだ、話してしまったんですね。……まあ、あの子は嘘がつけないから、仕方ない」
「あんたな……つーか、なんであんな思わせぶりな事を言った?俺への嫌がらせか?」
亀井の顔を見上げながら俺が訊くと、奴は偉そうに腰に手を当てて、鼻息荒くこう答えた。
「そうですよ!なにしろ僕は、貴方のことが大っ嫌いなので!」
「あぁ?」
いきなり何言ってんだ、こいつ。この前が初対面だったというのに、なぜそこまで言われなくてはならないのか。
亀井は俺を見下ろす姿勢のまま、狐に似たつり目をさらに眇めてこう言った。
「僕はね、ヨウからずっと聞いてたんですよ。初めて会った時から貴方に片思いしてること。だというのに、貴方は気づきもしないどころか、あの子の前でいろんな女性を取っかえ引っ変えしていて、思いを伝えることすら出来そうにないこと。……そんな話をする度に、いつもあの子は泣いてました」
淡々と亀井に言われ、俺は言葉に詰まった。
初めて会った時から?……あいつ、そんなに前から俺のこと。
「だから、僕はあの子を、自分のものにしようと思ったんですよ。貴方みたいな無神経な男より、ずっとずっと彼を幸せにできる自信があったから。……結局、無理でしたけど」
亀井はそう言って、足元に視線を落とした。
決して弄んでいたわけではない。この男も、自分なりに陽太を愛していたのだろうと、そのことが俺にもなんとなく分かった。
「それで、あんたはずっと陽太の傍にいたのか?恋人になっても、手も出さずに、ずっと」
「ええ。恋人なんて言っても、名前だけのごっこ遊びみたいなものでしたからね。僕は彼の特別になれるなら、肩書きなんて何でもよかったし、あの子だって貴方の代わりに縋れる相手なら、誰でもよかったんでしょう。……それに」
言いながら、亀井はぐっと拳を握る。そして、
「あんなにも天使のように愛らしくて幼気な少年に対して、いかがわしい行為に及ぼうなんて……そんな、そんな汚らわしい発想に至るやつは!人間じゃない!!」
高らかに、そう叫んだ。
「…………なんて?」
突然何を言い出すんだこいつは。
俺が呆気に取られていると、亀井はその場で頭を抱え、「僕の天使」「汚された」などと、ひとりでブツブツ言い出した。なんだこいつ。
「ねえ……何の話してるの?」
明らかに困惑している様子の声に振り向くと、シャワーからあがったらしい陽太が、濡れた髪をタオルで押さえながら、こちらの様子を窺っていた。
そんな陽太の姿を見るなり、亀井はパッと顔を上げ、俺を押し退けて勝手に部屋に上がり込んだ。
「あっ、おいてめえ」
「ヨウ、元気そうで良かった!この下品な男に酷いことをされてないかって、心配してたんだよ!」
一方的に捲し立てながら、亀井が陽太の頭をわしわしと撫で回す。
「ちょっと、柾さん、髪濡れてるからやめて、びしょびしょになる」
「ああ、ヨウ……君は今日も可愛いね……!」
抗議の声を無視して、自分が濡れるのも構わず、陽太の髪に頬ずりする亀井。俺は止めに入るのも忘れて、呆然とその様子を見ていた。
この男は確かに、俺が思っていたようなクソ野郎ではなかった。
だがしかし、この男は俺が思っていた以上の変人なのかも知れない。
「もう、やめてって言ってるでしょ!和威さんたすけて!」
タオルで亀井の額をペシッと叩いて、陽太が俺の方に駆け寄ってきた。亀井は俺を恨めしそうに睨みながら、陽太が置いていったタオルの匂いを嗅いでいる。前言撤回。こいつは変人じゃなくて変態だ。
「ヨウ……やっぱり、僕よりそんな野蛮な男がいいんだね……」
「何言ってるの。柾さんも和威さんも違う人なんだから、どっちがいいとかないよ」
何気ない調子で陽太が言ったその言葉に、亀井は目を丸くして……「そっか」と呟いて、小さく笑った。
「そういえば、柾さんこんな早くにどうしたの?おれ、打ち合わせの時間まちがえてた?」
「いや、久しぶりに食事でもどうかと思ってね。朝ご飯はもう食べた?」
「まだだけど……あ、じゃあ三人でどこかに食べに行こうよ」
陽太にそう言われた瞬間だけ、俺と亀井の心は完全に通じ合っていたと思う。
なんで、こいつと一緒に飯を食わなきゃいけないんだ。
「……ヨウがそうしたいって言うなら、僕は別に構わないよ」
顔を引き攣らせながら亀井が言う。それを聞いた陽太は首を傾げて、俺の顔色を窺ってきた。
「和威さんは?」
そんな表情で言われて、俺が断れるはずがない。やっぱり分かってやってるんじゃないのか、こいつ。
「ったく……分かったよ。ラーメン食おうぜ、ラーメン」
「はあ?朝一番にそんな重たい物食べる気ですか?正気じゃない」
「うるせえ。嫌なら帰れ」
そうやって言い合う俺達を、陽太はどこか楽しそうな様子で見つめていたのだった。
手探りで止めた目覚ましが示す時刻は午前十時。そういえば、昨日の晩はあのまま陽太の家に泊まったんだった。
「んん……」
やけに色っぽい吐息を洩らして、陽太が隣で寝返りを打つ。布団から覗く、白いうなじに目を奪われそうになったのをごまかすために、俺は陽太の肩を少し乱暴に揺すった。
「おい、起きろー。目覚まし鳴ってたぞ」
「ん、ん……やめて、かずいさん……酔う……」
へにゃへにゃした声で言いながら、陽太がこちらを振り向く。そして俺と目が合ったかと思うと、その瞬間まるで鍋に放り込まれたカニみたいに、みるみるうちに真っ赤になってしまった。
「あ、う……」
「バカ、なに動揺してんだ」
そんな顔されたら、こっちまで恥ずかしくなるだろうが。
手を伸ばして、照れ隠しにほっぺたをむにっと摘んでやると、陽太は慌てた様子で俺から距離を取った。
「あ、あの、おれ、シャワー浴びてくるから」
そう言ってベッドから降りたかと思うと、転がるようにして部屋から飛び出して行ってしまう。
ひとり残された俺は、ベッドの上に胡座をかいて、寝癖のついた髪を撫で付けた。
昨晩は、約束通りお互いに触れ合っただけで、最後までは至っていない。だというのにこんな調子では、この先が思いやられる。
「最後までしたら、あいつどんな反応すんのかなー……」
いろいろと想像してしまいそうになり、俺は慌てて頭を振った。朝から邪な妄想をしている場合ではない。
陽太から借りたスウェットの裾をたくし上げつつ、俺も寝室を出た。スウェットは上も下もぶかぶかで情けない限りだが、今さらそんなことを気にしても仕方ない。
カーテンを開けてベランダを覗くと、昨日の晩に干しておいた俺のシャツや下着がヒラヒラと揺れているのが見える。たしか陽太は午後から打ち合わせがあると言っていたし、あれが乾いたら俺も一旦ウチに帰ろう。
そんな事を考えていたら、唐突にインターホンの音が鳴り響いた。
こんな時間に誰だ?宅配便か?
首を傾げながらモニターを覗き込んで、来訪者の顔を見た瞬間、
「亀井?!」
俺は思わず叫んでいた。
このニヤケ面。間違いない、亀井柾だ。しかもよく見たらこいつ、下の玄関ではなく既に扉の前まで来ている。ということはつまり、こいつも陽太から合鍵を貰っているということだ。
その事実にいろいろな意味で苛立ちを覚えつつ、俺は大股で玄関に向かう。そして乱暴な手つきでチェーンを外し、勢いよく扉を開けた。
「やあ、ヨウ……」
「じゃなくて悪かったな、このショタコン野郎」
俺が無愛想に返すと、亀井の奴は露骨にげんなりした様子で顔を顰めた。
「なんですか、貴方。ヨウの部屋でなにしてるんですか」
「あ?彼氏の家に泊まってんだ。やることやってたに決まってんだろ。あんたこそ、こんな時間から何の用だよ」
わざと挑発的な言い回しをしてやると、亀井は俺に汚物を見るような目を向けながら、「なんて下品な……」と呟いた。お前が言えた義理じゃないだろうが。
「僕は打ち合わせの前に食事でもと思って、誘いに来ただけですよ。最近のヨウは元気がない様子だったので」
「ああそう、そりゃ熱心なことだな。けどもう必要ねえよ。問題は解決したからな」
というかそもそも、問題の八割はこいつのせいで起きたようなもんだ。こいつが誤解させるような事を言うから……
「そうだ、陽太に聞いたぞ。あんた、俺が思ってたようなクソ野郎じゃなかったみたいだな」
ムカつくことには変わりねえけど。と付け加えると、亀井は少し眉を上げた。
「なんだ、話してしまったんですね。……まあ、あの子は嘘がつけないから、仕方ない」
「あんたな……つーか、なんであんな思わせぶりな事を言った?俺への嫌がらせか?」
亀井の顔を見上げながら俺が訊くと、奴は偉そうに腰に手を当てて、鼻息荒くこう答えた。
「そうですよ!なにしろ僕は、貴方のことが大っ嫌いなので!」
「あぁ?」
いきなり何言ってんだ、こいつ。この前が初対面だったというのに、なぜそこまで言われなくてはならないのか。
亀井は俺を見下ろす姿勢のまま、狐に似たつり目をさらに眇めてこう言った。
「僕はね、ヨウからずっと聞いてたんですよ。初めて会った時から貴方に片思いしてること。だというのに、貴方は気づきもしないどころか、あの子の前でいろんな女性を取っかえ引っ変えしていて、思いを伝えることすら出来そうにないこと。……そんな話をする度に、いつもあの子は泣いてました」
淡々と亀井に言われ、俺は言葉に詰まった。
初めて会った時から?……あいつ、そんなに前から俺のこと。
「だから、僕はあの子を、自分のものにしようと思ったんですよ。貴方みたいな無神経な男より、ずっとずっと彼を幸せにできる自信があったから。……結局、無理でしたけど」
亀井はそう言って、足元に視線を落とした。
決して弄んでいたわけではない。この男も、自分なりに陽太を愛していたのだろうと、そのことが俺にもなんとなく分かった。
「それで、あんたはずっと陽太の傍にいたのか?恋人になっても、手も出さずに、ずっと」
「ええ。恋人なんて言っても、名前だけのごっこ遊びみたいなものでしたからね。僕は彼の特別になれるなら、肩書きなんて何でもよかったし、あの子だって貴方の代わりに縋れる相手なら、誰でもよかったんでしょう。……それに」
言いながら、亀井はぐっと拳を握る。そして、
「あんなにも天使のように愛らしくて幼気な少年に対して、いかがわしい行為に及ぼうなんて……そんな、そんな汚らわしい発想に至るやつは!人間じゃない!!」
高らかに、そう叫んだ。
「…………なんて?」
突然何を言い出すんだこいつは。
俺が呆気に取られていると、亀井はその場で頭を抱え、「僕の天使」「汚された」などと、ひとりでブツブツ言い出した。なんだこいつ。
「ねえ……何の話してるの?」
明らかに困惑している様子の声に振り向くと、シャワーからあがったらしい陽太が、濡れた髪をタオルで押さえながら、こちらの様子を窺っていた。
そんな陽太の姿を見るなり、亀井はパッと顔を上げ、俺を押し退けて勝手に部屋に上がり込んだ。
「あっ、おいてめえ」
「ヨウ、元気そうで良かった!この下品な男に酷いことをされてないかって、心配してたんだよ!」
一方的に捲し立てながら、亀井が陽太の頭をわしわしと撫で回す。
「ちょっと、柾さん、髪濡れてるからやめて、びしょびしょになる」
「ああ、ヨウ……君は今日も可愛いね……!」
抗議の声を無視して、自分が濡れるのも構わず、陽太の髪に頬ずりする亀井。俺は止めに入るのも忘れて、呆然とその様子を見ていた。
この男は確かに、俺が思っていたようなクソ野郎ではなかった。
だがしかし、この男は俺が思っていた以上の変人なのかも知れない。
「もう、やめてって言ってるでしょ!和威さんたすけて!」
タオルで亀井の額をペシッと叩いて、陽太が俺の方に駆け寄ってきた。亀井は俺を恨めしそうに睨みながら、陽太が置いていったタオルの匂いを嗅いでいる。前言撤回。こいつは変人じゃなくて変態だ。
「ヨウ……やっぱり、僕よりそんな野蛮な男がいいんだね……」
「何言ってるの。柾さんも和威さんも違う人なんだから、どっちがいいとかないよ」
何気ない調子で陽太が言ったその言葉に、亀井は目を丸くして……「そっか」と呟いて、小さく笑った。
「そういえば、柾さんこんな早くにどうしたの?おれ、打ち合わせの時間まちがえてた?」
「いや、久しぶりに食事でもどうかと思ってね。朝ご飯はもう食べた?」
「まだだけど……あ、じゃあ三人でどこかに食べに行こうよ」
陽太にそう言われた瞬間だけ、俺と亀井の心は完全に通じ合っていたと思う。
なんで、こいつと一緒に飯を食わなきゃいけないんだ。
「……ヨウがそうしたいって言うなら、僕は別に構わないよ」
顔を引き攣らせながら亀井が言う。それを聞いた陽太は首を傾げて、俺の顔色を窺ってきた。
「和威さんは?」
そんな表情で言われて、俺が断れるはずがない。やっぱり分かってやってるんじゃないのか、こいつ。
「ったく……分かったよ。ラーメン食おうぜ、ラーメン」
「はあ?朝一番にそんな重たい物食べる気ですか?正気じゃない」
「うるせえ。嫌なら帰れ」
そうやって言い合う俺達を、陽太はどこか楽しそうな様子で見つめていたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
僕の、しあわせ辺境暮らし
* ゆるゆ
BL
雪のなか僕を、ひろってくれたのは、やさしい男の子でした。
ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります!
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
タトゥーの甘い檻
マリ・シンジュ
BL
執着系わんこ攻(大学生)× 高潔な美形教授受(30代)
どのお話も単体でお楽しみいただけます。
「先生、ここ……僕の瞳を入れるから。ずっと、僕だけを見てて」
真面目な大学教授・新城が、大学生の・羽生にだけ許した、あまりにも淫らな「わがまま」。
それは、誰にも見えない内腿の奥深くに、消えないタトゥーを刻むこと。
「下書き」と称して肌を赤く染めるペン先の冷たさ。
アトリエの無機質なライトの下、四つん這いで晒される大人の矜持。
ずっと年下の青年の、必死で、残酷で、純粋な独占欲。
愚かだと知りながら、新城はその熱に絆され、ゆっくりと「聖域」を明け渡していく――。
「……お前のわがままには、最後まで付き合う」
針が通るその時、二人の関係は一生消えない「共犯」へと変わる。
執着攻め×年上受け、密やかに刻まれる秘め事のお話。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
仮面の王子と優雅な従者
emanon
BL
国土は小さいながらも豊かな国、ライデン王国。
平和なこの国の第一王子は、人前に出る時は必ず仮面を付けている。
おまけに病弱で無能、醜男と専らの噂だ。
しかしそれは世を忍ぶ仮の姿だった──。
これは仮面の王子とその従者が暗躍する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる