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10cm先のラブソング
8.日常に彩りを
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そんなこんなで、本当の意味で気持ちが通じ合えたことを実感した俺達は、今度こそ次のステップに進む事になった。
再び訪れた週末。明日は俺も陽太も一日オフだ。陽太の仕事は俺と違って曜日など関係ないから、こういうタイミングは貴重である。
今日は残業などせず、早々に帰宅した俺は、落ち着かない気持ちで柄にもなく部屋の片付けなどしていた。
ガキじゃあるまいし、いい年して何をそわそわしているんだと思わないでもないが、こればっかりは仕方ない。風呂にも入ったし、諸々の準備も整えた。あとは練習を終えた恋人がウチに来るのを待つだけなのだ。
こんな状況、何才になっても落ち着かないに決まっている。
「ただいまぁ」
ガチャリと扉が開いて、のんびりした声が聞こえてきた。俺はわざと冷静なふうを装って、陽太を出迎える。
「おかえり。遅くまでおつかれさん」
「うん。和威さんもお仕事お疲れ様」
そう言ってちょっと照れくさそうに笑う陽太を見ていたら、年上らしい余裕を見せようとしていたカッコつけの俺など、一瞬でどこかに吹き飛んで行った。
「か、和威さん……?!」
驚いて声をあげる陽太の背中に手を回し、その体をキツく抱き締める。
痛いほどに高鳴っている心臓の音は、俺のものか、それとも陽太のものか。
「はあ……ごめんな、がっついてて。けど、もう俺、全然余裕ないんだよ」
「そ、そんな……おれも同じだから……」
そう言って顔を赤くする恋人に、愛しさが募っていく。
少し背伸びをして口付けると、陽太がハッとした様子で俺から離れようとした。
「あ、あの、おれまだお風呂入ってなくて……今日は一日スタジオ練習だったし、その、汗かいたから……」
「別に気にしねえよ。ていうかそんなん待ってられねえって」
言いながら、荷物をその場に下ろさせる。そうして着込んでいたジャケットも脱がせにかかると、陽太はついに観念した様子で抵抗を辞めた。そのまま二人で縺れるようにしながら、寝室に移動してベッドに倒れ込む。
「和威さん……」
潤んだ目で俺を見上げる陽太を、ベッドに押し付けるようにして深く口付ける。
ゆっくりと、中を確かめるように舌を絡めていくと、溢れそうになった二人分の唾液を飲み込んで、陽太の白い喉がこくりと上下するのが分かった。
たったそれだけの事で、俺のなけなしの理性はいとも容易く弾け飛びそうになる。
「は……っ、陽太……」
唇を離して、掠れた声で陽太の名前を呼ぶ。
衝動のままに唇から頬、それから顎のラインを鼻先でなぞって……そして俺は、無防備に曝け出されたその喉元に噛み付いた。
「あ……っ」
陽太が驚いた様子で身を固くする。俺は構わず、薄く残った噛み跡に舌を這わせた。そうしてシャツから覗く首筋や鎖骨にも、痛くない程度に歯を立てながら、何度も何度もキスを落としていく。
「か、ずいさん……」
震える声に顔を上げてみれば、蕩けたような表情で俺を見つめている陽太と目が合った。
「和威さん、おっきい犬みたい……」
「そこは狼って言っとけよ」
軽口を叩きながら、俺は少し体を起こして、陽太の服の裾に手をかけた。もっと直接、触れ合って、抱き合いたい。
ぴったりした素材のシャツを剥ぎ取って、俺自身も部屋着にしているトレーナーを脱ぎ捨てる。そして体を起こしてきた陽太を引き寄せて、向かい合った姿勢で抱き締め合った。
「ん……和威さんの、匂い……」
陽太が俺の首筋に顔を埋めて、恍惚としたように呟く。俺は慌てて、その頭を手のひらで押し退けようとした。
「バカ、嗅ぐな」
しかし陽太がその気になれば、俺の抵抗なんて意味がない。思うさま俺の匂いを味わったあと、陽太は俺に上目遣いの視線を送ってきた。
「和威さん、キスして」
少し鼻にかかった声が、俺の耳をくすぐる。
「あー……ちくしょう」
軽く悪態をついて陽太の頭を引き寄せ、俺はやや乱暴にその唇を奪った。最初から最後まで俺がリードしてやるつもりだったのに、気づけばこっちが翻弄されている。
「ん……ふ……」
気持ち良さそうな吐息を洩らして、陽太が体を擦り寄せてくる。おそらくほぼ無意識に俺の腹へ押し付けられたそこは、ジーンズ越しでも分かるくらい、ハッキリとした形を持っていた。
「ん、すごいなお前……もう、こんなになってんのか」
揶揄うような口調で言いながら、右手でそこをそっとなぞってやると、触れていた肩が小さく跳ねた。
「あ、やだ……っ」
上擦った声で言いながら、陽太が腰を引こうとする。だが俺はそれより早く、ベルトの金具を掴んでいた。
「なあ、もうここキツいだろ?脱がせてやるよ」
カチャカチャと音をさせてベルトを外し、ジーンズの前を寛げてやると、既に下着を突き破りそうなほど張り詰めているそれが目に入る。
「は、すげ……」
意図せず、昂った吐息が俺の口から洩れた。可愛い恋人が俺と触れ合ったことでこんなにも感じているという、その事実が俺を高揚させる。男の体を見てその気になれなかったら、なんて考えていた事が嘘のようだった。
なんの躊躇いもなく、俺が下着に手をかけようとすると、陽太が慌ててそこを隠そうとする。
「や、やだ和威さん、恥ずかしい」
「なんだよ今さら。お前だってこの前、散々俺の見ただろうが」
そう言いいながら、陽太の手を退かして下着を軽く引き下げると、それは簡単に顔を出した。
陽太の腹に付きそうなくらいそそり立つ昂りに、俺は思わずごくりと喉を鳴らしてしまう。
「こないだ見た時も思ったけど……お前、こんなとこまで俺よりデカいんだもんな」
先の方に触れて軽く扱くようにしてやると、陽太が小さく声をあげた。
「や……もう、あんまり、見ないで……」
陽太が涙目になって訴えかけてくる。けど、そんな顔で言われたって逆効果だ。
俺はわざと核心から手を離し、ジーンズと下着の隙間に手を滑り込ませた。そして引き締まった細い腰に指先を這わせ、際どい部分をするすると撫でる。
「ん……っ、和威さん、触り方やらしい……」
「やらしくしてんだよ。……お前、ここ弱いよな」
そう囁きながら、脇腹の辺りを親指で、つっ……となぞってやる。
「か、和威さん、それだめ……やばい……」
俺がそこを執拗に撫でると、切羽詰まった声をあげて陽太が身を捩った。その動きによって、濡れた局部の淫猥な姿が強調される。溢れ出した先走りでいやらしく染まったそこに、俺の目は釘付けになった。
「陽太……一回抜くか?しんどいだろ、それ」
そうして陽太が乱れていく姿に、俺の鼓動も自然と速くなる。荒くなった呼吸を押し隠しつつ、その昂りに手を伸ばそうとすると、陽太が俺の肩に齧りつくようにしてそれを止めてきた。
「まだ、だめ……今日は、ちゃんと最後までしたい、から……」
耳元でそう囁かれ、体の温度が一気に上昇するのを感じた。そんな声を出されたら、こっちだってやばい。
乱暴に押し倒してしまいたくなる衝動を必死に堪えながら、筋肉質な肩に手を回す。
「……いいんだな。本当に」
陽太が俺に抱きついたまま頷くのを見て、俺も覚悟を決めた。
陽太の呼吸が少し落ち着くのを待って、残っていた衣服を全て剥ぎ取り、ベッドの上に俯せになるよう促す。そうして俺が少し体を離すと、陽太が不安げな表情で振り返った。
「和威さん……」
「ん。ちょっとだけ我慢な」
陽太の髪を優しく撫でて、サイドボードの引き出しに手を伸ばす。
男同士の行為について、聞ける相手もいないのでほぼネットで調べただけの知識だが、可能な限りの準備はしてきた。
俺は引き出しから取り出したローションの中身を手に取り、反対の手で陽太の腰を引き寄せる。
「触るぞ」
そう声をかけて、陽太の隠された部分に指先で触れた。
「んっ……つめた……」
枕に顔を埋めて、陽太がくぐもった声をあげる。わずかな反応も見逃さないように気を配りながら、俺は慎重に指を進めていく。
「ん……ぅ……」
陽太が少し苦しそうな息を吐いて、シーツを強く握り締める。もう少し、この辺りのはず……
「あぁっ!」
指の先が“その場所”に触れた瞬間、陽太が甘ったるい悲鳴をあげて、背中を仰け反らせた。
明らかにさっきまでとは違う。その吐息の中には、はっきりと快楽の色が混じっていた。
「ここ、気持ちいいか……?」
「んぁ、だめ……っかずいさん、そこ、や……」
均整のとれた背中が跳ねるように震える。そして体の中、その奥深くの部分までもが、ヒクヒクと震えているのが指の先に伝わってきた。
おそらく本人は気づいていないのだろうが、俺が指を動かすのに合わせて、さらなる快楽を求めるように、陽太の腰がゆるゆると揺れている。普段の陽太からは想像もつかないような痴態に、俺の中で必死に保っている理性も吹き飛びそうだった。
俺は意識的に呼吸を整えながら、窄まりをそっと押し広げて、さらにもう一本指を増やした。
「ひ、ぁ……っ」
陽太の掠れた声と、くちゅくちゅという、いやらしい水音だけが部屋の中に響く。暴力的なまでの淫靡なシチュエーションに、先に根を上げたのは陽太の方だった。
「か、ずいさん……っ、かずいさん、おれもう、無理……ねえ、もうして……っ」
「ばか、お前」
「お願い……かずいさんの、はやく欲しい……」
熱に浮かされたようなその声に、ついに俺の理性は限界を迎えた。
「くそっ……どうなっても、知らないからな」
手早くゴムを装着して、陽太の腰を乱暴に掴む。余裕なんてものは、もうひと欠片も残っちゃいなかった。
「かずいさん……」
陽太が蕩けたような声で、俺の名前を呼ぶ。
俺は、体温で溶けたローションがとろとろと流れ落ちるそこに、張り詰めた自分自身を押し付けた。そして、
「……~~~っ」
昂ったモノを一息に捩じ込むと、陽太が声にならない悲鳴をあげて、体を強ばらせた。しかし、俺の方にはもう、それを気遣ってやる余裕がない。
欲望に任せて激しく突き上げる度、苦痛と快感の入り交じった声が、陽太の唇から零れ落ちる。深く貫くごとに中が強くうねって、気を抜くと全て搾り取られてしまいそうだった。
「ぁ……っかずい、さん……かずいさん、かずいさん……っ」
うわ言のように、何度も何度も、陽太が俺の名前を呼んでいる。
「陽太……」
快楽の波に攫われてしまいそうな思考の中、愛しい人の名前だけが、はっきりとした輪郭を持つ。心も体も繋がりあった今この時は、お互いの存在だけがこの世界の全てだった。
「かずいさん……っおれもう、いっ……」
「ん、……いいぞ、俺も、そろそろやばい……」
腰の動きは止めないままで、陽太の屹立に触れてやると、いっそう強く中が締め付けられた。
「…………っ」
陽太が俺の手の中で果てるのとほぼ同時に、俺自身にも限界が訪れた。跡が残るほど強く陽太の腰を掴んで、その奥の一番深い部分で絶頂を味わう。
「よ、うた……っ」
頭の奥を揺さぶられるような激しい快感に耐えながら、恋人の名前を呼ぶ。その名前を口にする度に、愛おしさが次から次へと溢れてくるようだった。
「はぁ……っ」
深く息を吐いて、繋がったままだった自身を陽太の中から引き抜いた。そしてそのまま、陽太の隣に倒れ込むようにしてベッドに横たわる。
そうすると、すぐに陽太が俺の方に頭をすり寄せてきた。俺はその体を強く抱き締めて、頭をくしゃくしゃに撫で回してやる。
体は疲労感でずっしりと重いが、心はこれ以上無いくらいに満たされていた。そのことが、陽太も同じなら良い。
そんな思いが伝わったのか、不意に顔をあげてきた陽太と目が合う。そのまま俺達は、どちらからともなく、キスを交わした。
ごくごく平凡な、俺の日常に彩りをひとつ。
この腕の中に愛しい人が居てくれる限り、この先どんな色を重ねたとしても、俺の毎日が色褪せることは、決して無いだろう。
再び訪れた週末。明日は俺も陽太も一日オフだ。陽太の仕事は俺と違って曜日など関係ないから、こういうタイミングは貴重である。
今日は残業などせず、早々に帰宅した俺は、落ち着かない気持ちで柄にもなく部屋の片付けなどしていた。
ガキじゃあるまいし、いい年して何をそわそわしているんだと思わないでもないが、こればっかりは仕方ない。風呂にも入ったし、諸々の準備も整えた。あとは練習を終えた恋人がウチに来るのを待つだけなのだ。
こんな状況、何才になっても落ち着かないに決まっている。
「ただいまぁ」
ガチャリと扉が開いて、のんびりした声が聞こえてきた。俺はわざと冷静なふうを装って、陽太を出迎える。
「おかえり。遅くまでおつかれさん」
「うん。和威さんもお仕事お疲れ様」
そう言ってちょっと照れくさそうに笑う陽太を見ていたら、年上らしい余裕を見せようとしていたカッコつけの俺など、一瞬でどこかに吹き飛んで行った。
「か、和威さん……?!」
驚いて声をあげる陽太の背中に手を回し、その体をキツく抱き締める。
痛いほどに高鳴っている心臓の音は、俺のものか、それとも陽太のものか。
「はあ……ごめんな、がっついてて。けど、もう俺、全然余裕ないんだよ」
「そ、そんな……おれも同じだから……」
そう言って顔を赤くする恋人に、愛しさが募っていく。
少し背伸びをして口付けると、陽太がハッとした様子で俺から離れようとした。
「あ、あの、おれまだお風呂入ってなくて……今日は一日スタジオ練習だったし、その、汗かいたから……」
「別に気にしねえよ。ていうかそんなん待ってられねえって」
言いながら、荷物をその場に下ろさせる。そうして着込んでいたジャケットも脱がせにかかると、陽太はついに観念した様子で抵抗を辞めた。そのまま二人で縺れるようにしながら、寝室に移動してベッドに倒れ込む。
「和威さん……」
潤んだ目で俺を見上げる陽太を、ベッドに押し付けるようにして深く口付ける。
ゆっくりと、中を確かめるように舌を絡めていくと、溢れそうになった二人分の唾液を飲み込んで、陽太の白い喉がこくりと上下するのが分かった。
たったそれだけの事で、俺のなけなしの理性はいとも容易く弾け飛びそうになる。
「は……っ、陽太……」
唇を離して、掠れた声で陽太の名前を呼ぶ。
衝動のままに唇から頬、それから顎のラインを鼻先でなぞって……そして俺は、無防備に曝け出されたその喉元に噛み付いた。
「あ……っ」
陽太が驚いた様子で身を固くする。俺は構わず、薄く残った噛み跡に舌を這わせた。そうしてシャツから覗く首筋や鎖骨にも、痛くない程度に歯を立てながら、何度も何度もキスを落としていく。
「か、ずいさん……」
震える声に顔を上げてみれば、蕩けたような表情で俺を見つめている陽太と目が合った。
「和威さん、おっきい犬みたい……」
「そこは狼って言っとけよ」
軽口を叩きながら、俺は少し体を起こして、陽太の服の裾に手をかけた。もっと直接、触れ合って、抱き合いたい。
ぴったりした素材のシャツを剥ぎ取って、俺自身も部屋着にしているトレーナーを脱ぎ捨てる。そして体を起こしてきた陽太を引き寄せて、向かい合った姿勢で抱き締め合った。
「ん……和威さんの、匂い……」
陽太が俺の首筋に顔を埋めて、恍惚としたように呟く。俺は慌てて、その頭を手のひらで押し退けようとした。
「バカ、嗅ぐな」
しかし陽太がその気になれば、俺の抵抗なんて意味がない。思うさま俺の匂いを味わったあと、陽太は俺に上目遣いの視線を送ってきた。
「和威さん、キスして」
少し鼻にかかった声が、俺の耳をくすぐる。
「あー……ちくしょう」
軽く悪態をついて陽太の頭を引き寄せ、俺はやや乱暴にその唇を奪った。最初から最後まで俺がリードしてやるつもりだったのに、気づけばこっちが翻弄されている。
「ん……ふ……」
気持ち良さそうな吐息を洩らして、陽太が体を擦り寄せてくる。おそらくほぼ無意識に俺の腹へ押し付けられたそこは、ジーンズ越しでも分かるくらい、ハッキリとした形を持っていた。
「ん、すごいなお前……もう、こんなになってんのか」
揶揄うような口調で言いながら、右手でそこをそっとなぞってやると、触れていた肩が小さく跳ねた。
「あ、やだ……っ」
上擦った声で言いながら、陽太が腰を引こうとする。だが俺はそれより早く、ベルトの金具を掴んでいた。
「なあ、もうここキツいだろ?脱がせてやるよ」
カチャカチャと音をさせてベルトを外し、ジーンズの前を寛げてやると、既に下着を突き破りそうなほど張り詰めているそれが目に入る。
「は、すげ……」
意図せず、昂った吐息が俺の口から洩れた。可愛い恋人が俺と触れ合ったことでこんなにも感じているという、その事実が俺を高揚させる。男の体を見てその気になれなかったら、なんて考えていた事が嘘のようだった。
なんの躊躇いもなく、俺が下着に手をかけようとすると、陽太が慌ててそこを隠そうとする。
「や、やだ和威さん、恥ずかしい」
「なんだよ今さら。お前だってこの前、散々俺の見ただろうが」
そう言いいながら、陽太の手を退かして下着を軽く引き下げると、それは簡単に顔を出した。
陽太の腹に付きそうなくらいそそり立つ昂りに、俺は思わずごくりと喉を鳴らしてしまう。
「こないだ見た時も思ったけど……お前、こんなとこまで俺よりデカいんだもんな」
先の方に触れて軽く扱くようにしてやると、陽太が小さく声をあげた。
「や……もう、あんまり、見ないで……」
陽太が涙目になって訴えかけてくる。けど、そんな顔で言われたって逆効果だ。
俺はわざと核心から手を離し、ジーンズと下着の隙間に手を滑り込ませた。そして引き締まった細い腰に指先を這わせ、際どい部分をするすると撫でる。
「ん……っ、和威さん、触り方やらしい……」
「やらしくしてんだよ。……お前、ここ弱いよな」
そう囁きながら、脇腹の辺りを親指で、つっ……となぞってやる。
「か、和威さん、それだめ……やばい……」
俺がそこを執拗に撫でると、切羽詰まった声をあげて陽太が身を捩った。その動きによって、濡れた局部の淫猥な姿が強調される。溢れ出した先走りでいやらしく染まったそこに、俺の目は釘付けになった。
「陽太……一回抜くか?しんどいだろ、それ」
そうして陽太が乱れていく姿に、俺の鼓動も自然と速くなる。荒くなった呼吸を押し隠しつつ、その昂りに手を伸ばそうとすると、陽太が俺の肩に齧りつくようにしてそれを止めてきた。
「まだ、だめ……今日は、ちゃんと最後までしたい、から……」
耳元でそう囁かれ、体の温度が一気に上昇するのを感じた。そんな声を出されたら、こっちだってやばい。
乱暴に押し倒してしまいたくなる衝動を必死に堪えながら、筋肉質な肩に手を回す。
「……いいんだな。本当に」
陽太が俺に抱きついたまま頷くのを見て、俺も覚悟を決めた。
陽太の呼吸が少し落ち着くのを待って、残っていた衣服を全て剥ぎ取り、ベッドの上に俯せになるよう促す。そうして俺が少し体を離すと、陽太が不安げな表情で振り返った。
「和威さん……」
「ん。ちょっとだけ我慢な」
陽太の髪を優しく撫でて、サイドボードの引き出しに手を伸ばす。
男同士の行為について、聞ける相手もいないのでほぼネットで調べただけの知識だが、可能な限りの準備はしてきた。
俺は引き出しから取り出したローションの中身を手に取り、反対の手で陽太の腰を引き寄せる。
「触るぞ」
そう声をかけて、陽太の隠された部分に指先で触れた。
「んっ……つめた……」
枕に顔を埋めて、陽太がくぐもった声をあげる。わずかな反応も見逃さないように気を配りながら、俺は慎重に指を進めていく。
「ん……ぅ……」
陽太が少し苦しそうな息を吐いて、シーツを強く握り締める。もう少し、この辺りのはず……
「あぁっ!」
指の先が“その場所”に触れた瞬間、陽太が甘ったるい悲鳴をあげて、背中を仰け反らせた。
明らかにさっきまでとは違う。その吐息の中には、はっきりと快楽の色が混じっていた。
「ここ、気持ちいいか……?」
「んぁ、だめ……っかずいさん、そこ、や……」
均整のとれた背中が跳ねるように震える。そして体の中、その奥深くの部分までもが、ヒクヒクと震えているのが指の先に伝わってきた。
おそらく本人は気づいていないのだろうが、俺が指を動かすのに合わせて、さらなる快楽を求めるように、陽太の腰がゆるゆると揺れている。普段の陽太からは想像もつかないような痴態に、俺の中で必死に保っている理性も吹き飛びそうだった。
俺は意識的に呼吸を整えながら、窄まりをそっと押し広げて、さらにもう一本指を増やした。
「ひ、ぁ……っ」
陽太の掠れた声と、くちゅくちゅという、いやらしい水音だけが部屋の中に響く。暴力的なまでの淫靡なシチュエーションに、先に根を上げたのは陽太の方だった。
「か、ずいさん……っ、かずいさん、おれもう、無理……ねえ、もうして……っ」
「ばか、お前」
「お願い……かずいさんの、はやく欲しい……」
熱に浮かされたようなその声に、ついに俺の理性は限界を迎えた。
「くそっ……どうなっても、知らないからな」
手早くゴムを装着して、陽太の腰を乱暴に掴む。余裕なんてものは、もうひと欠片も残っちゃいなかった。
「かずいさん……」
陽太が蕩けたような声で、俺の名前を呼ぶ。
俺は、体温で溶けたローションがとろとろと流れ落ちるそこに、張り詰めた自分自身を押し付けた。そして、
「……~~~っ」
昂ったモノを一息に捩じ込むと、陽太が声にならない悲鳴をあげて、体を強ばらせた。しかし、俺の方にはもう、それを気遣ってやる余裕がない。
欲望に任せて激しく突き上げる度、苦痛と快感の入り交じった声が、陽太の唇から零れ落ちる。深く貫くごとに中が強くうねって、気を抜くと全て搾り取られてしまいそうだった。
「ぁ……っかずい、さん……かずいさん、かずいさん……っ」
うわ言のように、何度も何度も、陽太が俺の名前を呼んでいる。
「陽太……」
快楽の波に攫われてしまいそうな思考の中、愛しい人の名前だけが、はっきりとした輪郭を持つ。心も体も繋がりあった今この時は、お互いの存在だけがこの世界の全てだった。
「かずいさん……っおれもう、いっ……」
「ん、……いいぞ、俺も、そろそろやばい……」
腰の動きは止めないままで、陽太の屹立に触れてやると、いっそう強く中が締め付けられた。
「…………っ」
陽太が俺の手の中で果てるのとほぼ同時に、俺自身にも限界が訪れた。跡が残るほど強く陽太の腰を掴んで、その奥の一番深い部分で絶頂を味わう。
「よ、うた……っ」
頭の奥を揺さぶられるような激しい快感に耐えながら、恋人の名前を呼ぶ。その名前を口にする度に、愛おしさが次から次へと溢れてくるようだった。
「はぁ……っ」
深く息を吐いて、繋がったままだった自身を陽太の中から引き抜いた。そしてそのまま、陽太の隣に倒れ込むようにしてベッドに横たわる。
そうすると、すぐに陽太が俺の方に頭をすり寄せてきた。俺はその体を強く抱き締めて、頭をくしゃくしゃに撫で回してやる。
体は疲労感でずっしりと重いが、心はこれ以上無いくらいに満たされていた。そのことが、陽太も同じなら良い。
そんな思いが伝わったのか、不意に顔をあげてきた陽太と目が合う。そのまま俺達は、どちらからともなく、キスを交わした。
ごくごく平凡な、俺の日常に彩りをひとつ。
この腕の中に愛しい人が居てくれる限り、この先どんな色を重ねたとしても、俺の毎日が色褪せることは、決して無いだろう。
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