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○○
少女の過去1
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少女は幸せだった。
友達もいた。お金もある。
父は苦手だが、親は優しい。
姉も大好きだ。
充実している。このまま時が止まればとも思えた。
少女には大切な人がいた。
親友がいた。大好きだった。
愛おしい。はやく話したい。
学校を楽しみに早めに就寝した。
「おはよう!○○!」
「おはよう、希幸!」
挨拶をして笑い合う。
この時間が大好きだ。
「ねぇ、希幸。今日の放課後買い物行かない?買いたいのあるんだよね~」
「えーまた!?しょうがない。付き合ってあげよう!」
「本当に?ありがとう!じゃあ駅前で、またね!」
嬉しい。○○と遊ぶのは一週間ぶりだ。親友って素晴らしい。いるだけで微笑んでしまう。早急に支度をすました。
「○○ー!」
「希幸ー!じゃ、行こっか!」
何分過ごしただろうか。幸せな時間はすぐに過ぎる。
「もう5時かー...」
「早いねぇ...でもまぁ、また今度遊ぼうよ!」
「そうだね...!あ、青になったよ」
青になった信号を笑顔で渡る。
嬉しい。また遊べるんだ。
急にあたりがざわめきだした。
なにかあったのだろうか。
「...!○○危ない!!!」
咄嗟に○○を守った。
今でもこの瞬間はスローモーションのように頭に焼き付いている。
忘れようとしても忘れられない記憶。
気付けば道路の真ん中。
初めてみた光景だった。
頭の中がボンヤリしている。目の前が真っ赤だ。
痛い。痛いよ。
気付けばベッドの上。
手術でもあったのだろうか。
厳重な装備がされている。
指は...かろうじて動く。
足...足は?足の感覚が無い。
おかしいな。動かせない。
助けて、助けて○○...
「希幸!母さんよ、分かる!?」
いつも笑顔の母もずっと泣いていたのか、目も腫れていつもの姿には見えなかった。
「お母さん...?痛いよ...助けてよ...」
「希幸!希幸...!!」
あぁ、泣かないで。
私も泣いちゃいそうだよ。
ねぇお母さん、
○○はどこ?
雨音が響く。
雷も鳴っていたと思う。
お母さんも窓を見つめていた。
お母さんの目は死んだように黒く、空を写したように曇っていた。
「希幸...、目を覚ましたのね。
気分はどう?痛い所はない?」
「お母さん...。気分はいいの。
ねぇ、お母さん?足が、動かないの。助けて。」
「...ごめんね...ごめんね...希幸...、よく聞いてね...。希幸の脚はね...」
もう動かないの。
急に体の力が抜けた。
何もしたくない。
何も考えたくない。
「お医者様が、これからは車椅子じゃないと駄目って...でも幸い、足以外は一ヶ月くらいすれば治るだろうって!」
車椅子?治る?何を言っているの?足が無ければ、歩く事も出来ない。もう容易に○○に近付くことも出来ない。
「だ...」
「え?」
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だうわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ずっと泣いていたと思う。
他人行儀からすれば、足だけで良かったね、そんなものだろう。
足だけ...足だけって何よ?
絶望以外に何も無かった。
私は確か、○○を庇ってこうなった。お見舞い来てくれないかな。もう唯一の希望なの。
一週間が過ぎた。
怪我の痛みはまだ少しあるが、驚く程のスピードで回復しているようだ。嬉しい、はやく○○に会えるんだ。
三週間が過ぎた。
傷は大分良くなり、今は念の為の入院だそうだ。
待っててね、○○。
あと少しで会えるよ。
友達もいた。お金もある。
父は苦手だが、親は優しい。
姉も大好きだ。
充実している。このまま時が止まればとも思えた。
少女には大切な人がいた。
親友がいた。大好きだった。
愛おしい。はやく話したい。
学校を楽しみに早めに就寝した。
「おはよう!○○!」
「おはよう、希幸!」
挨拶をして笑い合う。
この時間が大好きだ。
「ねぇ、希幸。今日の放課後買い物行かない?買いたいのあるんだよね~」
「えーまた!?しょうがない。付き合ってあげよう!」
「本当に?ありがとう!じゃあ駅前で、またね!」
嬉しい。○○と遊ぶのは一週間ぶりだ。親友って素晴らしい。いるだけで微笑んでしまう。早急に支度をすました。
「○○ー!」
「希幸ー!じゃ、行こっか!」
何分過ごしただろうか。幸せな時間はすぐに過ぎる。
「もう5時かー...」
「早いねぇ...でもまぁ、また今度遊ぼうよ!」
「そうだね...!あ、青になったよ」
青になった信号を笑顔で渡る。
嬉しい。また遊べるんだ。
急にあたりがざわめきだした。
なにかあったのだろうか。
「...!○○危ない!!!」
咄嗟に○○を守った。
今でもこの瞬間はスローモーションのように頭に焼き付いている。
忘れようとしても忘れられない記憶。
気付けば道路の真ん中。
初めてみた光景だった。
頭の中がボンヤリしている。目の前が真っ赤だ。
痛い。痛いよ。
気付けばベッドの上。
手術でもあったのだろうか。
厳重な装備がされている。
指は...かろうじて動く。
足...足は?足の感覚が無い。
おかしいな。動かせない。
助けて、助けて○○...
「希幸!母さんよ、分かる!?」
いつも笑顔の母もずっと泣いていたのか、目も腫れていつもの姿には見えなかった。
「お母さん...?痛いよ...助けてよ...」
「希幸!希幸...!!」
あぁ、泣かないで。
私も泣いちゃいそうだよ。
ねぇお母さん、
○○はどこ?
雨音が響く。
雷も鳴っていたと思う。
お母さんも窓を見つめていた。
お母さんの目は死んだように黒く、空を写したように曇っていた。
「希幸...、目を覚ましたのね。
気分はどう?痛い所はない?」
「お母さん...。気分はいいの。
ねぇ、お母さん?足が、動かないの。助けて。」
「...ごめんね...ごめんね...希幸...、よく聞いてね...。希幸の脚はね...」
もう動かないの。
急に体の力が抜けた。
何もしたくない。
何も考えたくない。
「お医者様が、これからは車椅子じゃないと駄目って...でも幸い、足以外は一ヶ月くらいすれば治るだろうって!」
車椅子?治る?何を言っているの?足が無ければ、歩く事も出来ない。もう容易に○○に近付くことも出来ない。
「だ...」
「え?」
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だうわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ずっと泣いていたと思う。
他人行儀からすれば、足だけで良かったね、そんなものだろう。
足だけ...足だけって何よ?
絶望以外に何も無かった。
私は確か、○○を庇ってこうなった。お見舞い来てくれないかな。もう唯一の希望なの。
一週間が過ぎた。
怪我の痛みはまだ少しあるが、驚く程のスピードで回復しているようだ。嬉しい、はやく○○に会えるんだ。
三週間が過ぎた。
傷は大分良くなり、今は念の為の入院だそうだ。
待っててね、○○。
あと少しで会えるよ。
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