明日って何ですか

すぴか*

文字の大きさ
2 / 3
○○

少女の過去2

しおりを挟む
あの事故から一ヶ月が経った。
時々、お母さんと事故の事を話すが、なにか入れ違っている。
私が1人で散歩していた、とか。
お母さんは何を言っているのだろう?
今日で入院最後の日だ。
おかしいな。
お見舞いなんて誰も、何も来なかった。

久々の制服。久々の学校。
楽しみでしょうがない。
車椅子なのは、あまり好きではないが、○○に会えるならいい。
一応義足を買った。
リハビリも何回かして、近い距離なら歩けるようになった。
でも車椅子の方が何倍も早い。
私は胸を踊らせ、車椅子を早めた。

「お、おはよう...」
久々の学校はあまり変わって居なかった。すると、8人くらいの女子と話してる○○が居た。

「...○○...!久しぶり!」
泣きそうになるのをこらえ、私は義足で○○の元へ駆け寄ろうとした。
するとグラッと、バランスをなくしてしまい、転んでしまった。

「へへ...、転んじゃった...。」
   
ゲシッ

ゲシッ...?何故だろう、腕を立て起き上がろうとするのに立ち上がれない。
?背中に何かあるように感じる

「あれぇー?希幸ちゃん、起き上がらないのー?」
「ちょっとー。いじめちゃ駄目でしょ?まだ治ってないんだからぁ。」
「ちょっと○○ー。足どけてあげなよー。希幸ちゃん頑張ってるよー?」

女子グループの笑い声が聞こえる。
何、この会話。頭痛がしてきた。
さっき嫌な話が聞こえた気がする。

「...誰が、何を...してるの?」

さっき聞こえた話が理解出来ない。
○○が何だって?
分からない分からない
頭が痛いよ、助けてよ○○...

「おかしいなぁ?聞こえるように言ったのにぃ。」
「マジ笑える。耳遠すぎでしょ?
ババァじゃん。」

ゲシッ

背中にのっかっているものが重みを増してく。痛い...動けない...

「...けて」
「は?なに?」
「...助けて...○○...痛いよ...」
「は?まだ○○の事信じてんの?
ホント笑えるんだけど。
あんたの背中にのってる足、○○のなのに。」

嫌だ。嫌だよ。
信じたくない。何で?何でこんな...。

「違う...!○○はこんな事しない!
優しくて、可愛い!...私の友達で親友だもん!」

頭に障る笑い声。
もうやめて、こんな事...
すると背中にかかっていた重みから解放された。すぐに○○の方を見た。

「...○○!!」
「...」
「...何か言ってよ...!」

いつのまにか顔には大量の涙が溢れていた。まだこんな瞬間でも○○を信じていた。信じていたかった。
私の一筋の光はすぐに、闇へと変わった。

「...死んだかと思った。死ねばいいと思った。正直、お前ウザイし。
だから事故が起こった時、ラッキーと思ったんだよねぇ。」
「...!?何で...!私は○○の事を庇ったのに!」
「知らねーよ。お前が勝手にやっただけだろーが。」
「...酷い、酷いよ...。ずっと信じてたのに...!!」
「私だって、お前の事信じてたよ?
でも話してるうちにウザクなってきたし。最後にはお前なにしたと思う?」
「...?わ、分かんないよ...」
「...ふざけんなよ、テメェ。
一年前からずっと言ってきたじゃねぇか!!!アイツの事好きだって言ったのに。...言ったのに...!!
アイツはお前を選んだ。
...ねぇ、まだ分かんない?」

そういえば、入院前に誰か私に告白してくれた。○○の好きな人だったから、適当に言い訳して断ったはず。

「で、でも断ったよ…?」
「関係ないわよ、そんなの。
その時点でもう近寄りたくないって思った。あの時遊びに誘ったのはこれで最後にしようと思ったから。
一ヶ月お前が居なくて、楽しかったよ?ねぇ、皆?」 

皆頷いたり、笑ったり...
反論する人は誰もいなかった。

「って事で、お前もうこの学校に来ないでくれる?
皆からするとただの邪魔なんだし、いても意味無いんだよね。」

私は車椅子を置いたまま、ただただ走った。涙で前が見えなかった。
義足だったので、何回も転けた。
義足の包帯に、血が滲んでいた。
痛くはない。何も感じなかった。ただもう、がむしゃらに家へ走るしか無かったのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

処理中です...