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1章 魔法少女
プロローグ
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俺はモルディ、第三帝国の兵士だ。俺達は今朝まで、戦争をしていた、はずだった。
1ヶ月前、突如帝国に「勇者」様が現れ、南方の戦線は圧倒的優勢に立った。そこで満足してりゃあ良いのに、上層部の連中は欲をかいて、西方へと戦線を進めやがったんだ。
最初は楽勝に思われた。というのも、敵の第一魔国は時代遅れの魔法が未だに第一線で使われている国で、科学力に長けた帝国の敵ではない、誰しもがそう思っていたんだ。だけど、そんな甘い見通しは、たった1日で叩き潰された。
悪夢だと、誰かが呟いた。俺も全く同感だ。味方の死体が散乱し、1秒先の自分の生死すら危うい、そんな状況、悪夢以外のなんだと言うんだ。
そして何より、そんな状況を作り出したのが、あんな奴だなんて
「はぁ、はぁ、はぁ。」
俺は全力で戦場を駆けていた。敵地に向かってではない。帝国領へと、全力で。上官が居れば確実に敵前逃亡で射殺されていただろう。がしかし、その上官も今や物言わぬ死体だ。とにかく逃げ延びて、この惨状を伝えないと……!
「あ、見つけたよ☆」
絶望が、そこに居た。
そいつは奇妙な格好をしていた。
フリフリの子供向けドレス、持ち手が小さな明らかに玩具な杖、何よりもおかしいのは、それを身につけているのがどう見ても20代には届いているだろう女性であるという点だろう。
「お仕置きの時間なのに、逃げちゃうなんて……。そんな悪いコには、全力でお仕置きしないとね☆」
そしてふざけたことに、こいつこそが、俺達の戦線を死体の山に変えた、張本人なのだ。
「ま、待て、俺に戦う意思はない!頼む、命だけは助けてくれっ!」
「そんな、私のパパやママがどうなってもいいのかって……?どうしてそんな酷いことが言えるの!?」
「だ、誰もそんなことは言ってない!頼む、頼むから、助けてくれ!」
「残念だけど、アナタには本気でお仕置きしないとダメみたいね!」
「や、止めろ、止めてくれ!!」
「全力の、マジカルハート・フレアー!」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!お、俺の体がァ、熱い、熱い、焼けるゥゥ!」
有り得ない規模のの炎が俺の体を焼き尽くす。想像を絶する苦痛の中、俺の意識は途絶えた。
「ふぅ、これでお仕置きは完了☆きっと改心してくれたはずよね。」
そうして少女は1人、死屍累々の戦場を、楽しげに歩いていった。
それが、「彼」がこの世界に現れる、1ヶ月前の出来事だった。
1ヶ月前、突如帝国に「勇者」様が現れ、南方の戦線は圧倒的優勢に立った。そこで満足してりゃあ良いのに、上層部の連中は欲をかいて、西方へと戦線を進めやがったんだ。
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そして何より、そんな状況を作り出したのが、あんな奴だなんて
「はぁ、はぁ、はぁ。」
俺は全力で戦場を駆けていた。敵地に向かってではない。帝国領へと、全力で。上官が居れば確実に敵前逃亡で射殺されていただろう。がしかし、その上官も今や物言わぬ死体だ。とにかく逃げ延びて、この惨状を伝えないと……!
「あ、見つけたよ☆」
絶望が、そこに居た。
そいつは奇妙な格好をしていた。
フリフリの子供向けドレス、持ち手が小さな明らかに玩具な杖、何よりもおかしいのは、それを身につけているのがどう見ても20代には届いているだろう女性であるという点だろう。
「お仕置きの時間なのに、逃げちゃうなんて……。そんな悪いコには、全力でお仕置きしないとね☆」
そしてふざけたことに、こいつこそが、俺達の戦線を死体の山に変えた、張本人なのだ。
「ま、待て、俺に戦う意思はない!頼む、命だけは助けてくれっ!」
「そんな、私のパパやママがどうなってもいいのかって……?どうしてそんな酷いことが言えるの!?」
「だ、誰もそんなことは言ってない!頼む、頼むから、助けてくれ!」
「残念だけど、アナタには本気でお仕置きしないとダメみたいね!」
「や、止めろ、止めてくれ!!」
「全力の、マジカルハート・フレアー!」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!お、俺の体がァ、熱い、熱い、焼けるゥゥ!」
有り得ない規模のの炎が俺の体を焼き尽くす。想像を絶する苦痛の中、俺の意識は途絶えた。
「ふぅ、これでお仕置きは完了☆きっと改心してくれたはずよね。」
そうして少女は1人、死屍累々の戦場を、楽しげに歩いていった。
それが、「彼」がこの世界に現れる、1ヶ月前の出来事だった。
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