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1章 魔法少女
異世界転生
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俺は佐藤、冴えない高校生だ。
勉強もスポーツも平均点、容姿は普通……だと思いたい。ごく普通の家庭に生まれて、何不自由なく過ごしてきた、そんな俺だけど、いや、だからこそ、かな。普通じゃないことに惹かれてしまう。例えばそう、異世界転生、とか。
「……なーんて思ってそうなそこの君!」
「は?」
「何も言わなくても良いさ、私は神だからね、さぁ、君を異世界に連れて行ってあげよう。」
大勢の人で混みあったスクランブル交差点、そのど真ん中で、見知らぬ女は俺に向かって訳の分からないことを叫んできた。
(この人ヤバイ人だ、話が通じないとか、そんなレベルじゃなさそうだぞ……。)
そして俺は、なるべく目を合わせないように、急いで通り過ぎようとした。
「ま、そんな簡単には信じないよね。ホイッ。」
「ッ!?」
突然女が光ったかと思うと、次の瞬間、俺の前には通り過ぎたはずの交差点の光景があった。
すれ違う人は、俺に気付くことなく通り過ぎていく。
「とりあえず君の動きを止めたよ。無視するなんて酷いなぁ、フフッ。」
戸惑う俺を馬鹿にするように女は笑う。
「さて、大人しくなった所で自己紹介かな。私はヘレネー、君の世界で言う異世界の神だ。そして君は佐藤君に相違ないね?」
「いや、佐藤じゃないです。」
「うん、知ってる。でも面白そうだから異世界では佐藤って名乗ってね。まぁそんなことはどうでもいいから、本題に入るね。クスクス。」
な、なんか腹立つ笑い方だな……。
だけど、異世界とか訳が分からないけど、実際に俺の体は動かない訳だし、有り得ないことが起こってるのは確かだ。
「突然で悪いけど、君には今から異世界へと旅立ってもらうことになってるから。拒否権はないけど、別にいいよね。」
「え、何言ってるんですか……?異世界とか、そんな馬鹿な。もしそれが本当だとしても、この世界での俺の生活はどうなるんですか!?」
「あれ、最初に気になるのがそこかい?
っていうか君、この世界に未練なんてあったの?あんなに理不尽で不幸な人生だったのに?」
……。
あまりに散々な言われようで絶句してしまった。
そりゃあそんなに裕福な家庭でもないし、何かすごい才能を持ってたわけじゃないけど。でも、普通に幸せに暮らしていたのに。
「まさかその目は、本気で君の人生が普通だと思っているのかい!?クラス全員からいじめられ、教師も見て見ぬふり。家ではいない事にされている。考えうる中で最悪の部類じゃないか。なのに、どうしてそんな目ができるんだい?」
「……。確かに他人から見れば不幸かもしれない、死にたくなるほど辛いのかもしれない。だけど、僕にとっては生きるべき唯一の場所なんだ。未練なんてものじゃなくて、義務なんだよ、生きることは。……ていうか、神様にとって、ニンゲンの不幸なんて関係ないんじゃないの?」
ヘレネーは俺の答えを聞いて、急に体を震わせ始めた。
「……プ、プハハハッ!面白い、面白いよ君は!普通は現実逃避して、異世界なんて聞いたら飛びつくものなんだけどねぇ。まぁいいや、君のことは分かった。もちろん、異世界に行く気がないこともね。」
「だったら早く解放して……。」
「だけど残念!君には拒否権なんてないって、最初に言ったよね?あのさ、私が人間を異世界に送るのはどうしてだと思う?生きるのが辛い人を救うため?異世界の危機を救うため?残念ながらどれも違うのさ。」
「じゃ、じゃあ何のために。」
「もちろん私が楽しむためさ!なんの力もないくせに異世界に行けば活躍できると勘違いしてる奴らが、現実では済ました顔をしてる奴らが、異世界に行って恥ずかしい妄想を垂れ流ししてる姿が、滑稽でたまらないからさ!」
「な……。」
「あぁ、もう時間か。そうだね、君は異世界に特別な感情は無いみたいだし、能力は何もいらないよね。期待はずれだったけど、せいぜい生き延びて、私を楽しませてくれよ。フフ。」
パチン、とヘレネーが指を鳴らすと、交差点は暗闇になり、何か言い返す間もなく俺の意識もすぐに消滅した。
勉強もスポーツも平均点、容姿は普通……だと思いたい。ごく普通の家庭に生まれて、何不自由なく過ごしてきた、そんな俺だけど、いや、だからこそ、かな。普通じゃないことに惹かれてしまう。例えばそう、異世界転生、とか。
「……なーんて思ってそうなそこの君!」
「は?」
「何も言わなくても良いさ、私は神だからね、さぁ、君を異世界に連れて行ってあげよう。」
大勢の人で混みあったスクランブル交差点、そのど真ん中で、見知らぬ女は俺に向かって訳の分からないことを叫んできた。
(この人ヤバイ人だ、話が通じないとか、そんなレベルじゃなさそうだぞ……。)
そして俺は、なるべく目を合わせないように、急いで通り過ぎようとした。
「ま、そんな簡単には信じないよね。ホイッ。」
「ッ!?」
突然女が光ったかと思うと、次の瞬間、俺の前には通り過ぎたはずの交差点の光景があった。
すれ違う人は、俺に気付くことなく通り過ぎていく。
「とりあえず君の動きを止めたよ。無視するなんて酷いなぁ、フフッ。」
戸惑う俺を馬鹿にするように女は笑う。
「さて、大人しくなった所で自己紹介かな。私はヘレネー、君の世界で言う異世界の神だ。そして君は佐藤君に相違ないね?」
「いや、佐藤じゃないです。」
「うん、知ってる。でも面白そうだから異世界では佐藤って名乗ってね。まぁそんなことはどうでもいいから、本題に入るね。クスクス。」
な、なんか腹立つ笑い方だな……。
だけど、異世界とか訳が分からないけど、実際に俺の体は動かない訳だし、有り得ないことが起こってるのは確かだ。
「突然で悪いけど、君には今から異世界へと旅立ってもらうことになってるから。拒否権はないけど、別にいいよね。」
「え、何言ってるんですか……?異世界とか、そんな馬鹿な。もしそれが本当だとしても、この世界での俺の生活はどうなるんですか!?」
「あれ、最初に気になるのがそこかい?
っていうか君、この世界に未練なんてあったの?あんなに理不尽で不幸な人生だったのに?」
……。
あまりに散々な言われようで絶句してしまった。
そりゃあそんなに裕福な家庭でもないし、何かすごい才能を持ってたわけじゃないけど。でも、普通に幸せに暮らしていたのに。
「まさかその目は、本気で君の人生が普通だと思っているのかい!?クラス全員からいじめられ、教師も見て見ぬふり。家ではいない事にされている。考えうる中で最悪の部類じゃないか。なのに、どうしてそんな目ができるんだい?」
「……。確かに他人から見れば不幸かもしれない、死にたくなるほど辛いのかもしれない。だけど、僕にとっては生きるべき唯一の場所なんだ。未練なんてものじゃなくて、義務なんだよ、生きることは。……ていうか、神様にとって、ニンゲンの不幸なんて関係ないんじゃないの?」
ヘレネーは俺の答えを聞いて、急に体を震わせ始めた。
「……プ、プハハハッ!面白い、面白いよ君は!普通は現実逃避して、異世界なんて聞いたら飛びつくものなんだけどねぇ。まぁいいや、君のことは分かった。もちろん、異世界に行く気がないこともね。」
「だったら早く解放して……。」
「だけど残念!君には拒否権なんてないって、最初に言ったよね?あのさ、私が人間を異世界に送るのはどうしてだと思う?生きるのが辛い人を救うため?異世界の危機を救うため?残念ながらどれも違うのさ。」
「じゃ、じゃあ何のために。」
「もちろん私が楽しむためさ!なんの力もないくせに異世界に行けば活躍できると勘違いしてる奴らが、現実では済ました顔をしてる奴らが、異世界に行って恥ずかしい妄想を垂れ流ししてる姿が、滑稽でたまらないからさ!」
「な……。」
「あぁ、もう時間か。そうだね、君は異世界に特別な感情は無いみたいだし、能力は何もいらないよね。期待はずれだったけど、せいぜい生き延びて、私を楽しませてくれよ。フフ。」
パチン、とヘレネーが指を鳴らすと、交差点は暗闇になり、何か言い返す間もなく俺の意識もすぐに消滅した。
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