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第一章 異世界召喚と旅立ち
037 ラロイさん家の災難2 小指の指輪と経歴詐称
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「ところで……奴隷って何の話かな?」
僕が恐るおそるそう発言すると、三人は呆れたような顔でこちらを見てきた。
「何って、ラヴィちゃんはアイツの奴隷なんでしょう?」
マリルちゃんがそう言ってくる。
「えっと……たぶん違うと思う。せんぱ……じゃなかった、お兄ちゃんから奴隷にされたなんてことはないと思うんだけど」
「でも、右手の小指に指輪だぜ! 女のそういう奴隷じゃないとそんなところに指輪なんてしないよ!」
ルド君がそう言って、僕の右手の指輪を指差す。
「そういう奴隷って、どういう奴隷?」
「そ、そそ、そりゃあ、アレだよ! 男と女の……そういうアレさ!」
顔を真っ赤にして、言いよどんでいるルド君。
この子はアレが多いな。
「右手の小指に指輪をしているというのは、主人から性的に支配されているという奴隷の証なんだよ。だからこの女には手を出すなって印なの。ラヴィちゃんはそうじゃないのかい?」
なんと、僕は先輩の性奴隷というアピールをしながら街中を歩いていたのか……そんなの、とんでもない変態じゃないか!
「ち、違うよ! この指輪は"守りの指輪"っていって、一日に一回どんな攻撃からでも守ってくれる道具なんだ。お兄ちゃんが安全のためにくれたものなの」
「す……すごい、どんな攻撃からでも守ってくれるなんて、とんでもないアーティファクトじゃないの?」
それを聞いたマリルちゃんが、とても驚いている。
「でも、小指の指輪はそういう証だろう? そんなことするなんてアイツは、ろくでもないクズ野郎なんだよ!」
先輩をクズだクズだって言いやがって、こいつムカつくな。
「私が自分で右手の小指に指輪をしたの。そういうこと何も知らなかったから……だから、お兄ちゃんは何も悪くないの」
「はぁ~~、なんだってそんなことになっちゃったのさ。小指の指輪はそういう男がいる女の証だなんて、この国じゃあ誰だって知ってるよ」
マリルちゃんのお母さんはとても呆れているようだ。
僕と先輩のこの国の常識が無いのは仕方がない事なのだが……何か設定をでっちあげてしまったほうが良いかもしれないな。
「えっと、実はね、私たちは………」
それから僕は、そこまで大きな嘘にならないように気を使いながら、僕と先輩の関係と、これまでのことをでっちあげていった。
僕と先輩は、この国からとても遠い国に住んでいて、先輩とは5歳の頃から7年間の付き合いがある知り合いで、数日前にこの国に無理やり攫って連れてこられてしまったということにした。
実際に僕と先輩は会社に入ってから7年の付き合いがあるのだし、このへんはそのままでいいだろう。
そして、その攫ってきた人たちから逃げ出した僕と先輩は、王都でからんできたチンピラからお金を巻き上げて、情報を聞き出したときに、迷宮都市では獣人が珍しくないという情報を手に入れたので、そこを目指して旅をしてきたこと。
そして、遠くの国に住んでいたので、この国の風習に詳しくなかった為、右手の小指に指輪をしてしまったのだということを説明した。
王都のチンピラの件は苦笑いの三人だったが、順を追って説明したらちゃんと理解してくれたようだ。
ルド君は僕が12歳だということに一番衝撃を受けていたようだが……。
「そっか、二人とも大変な思いをしてきたんだね。それにお兄さんはやっぱり優しいお兄さんだったんだ……私、ラヴィちゃんのお兄さんにちゃんと謝らないといけないわ」
そう言って、気まずそうに下を向いたマリルちゃん。
「へっ、たまたま一緒に攫われて来たってだけだろう。誰だって女の子と一緒だったら助けるに決まってるさ」
ルド君は良く分からない理論で自分を正当化しようとしている。
「いやいや、なかなか出来ることじゃないよ。見ず知らずの土地で血のつながらない異種族の女の子を、最優先に行動しているなんて……なんだい、あの子すごく良い男じゃないか!」
「むぅ」
ふくれっ面のルド君の頭をぽんぽんと叩きながらマリルちゃんのお母さんは続ける。
「いいかい、急に攫われて来た先で無一文で放り出されたのに、知り合いだって理由だけで、この国では連れまわすだけで変な目で見られるような女の子を保護しているんだよ。しかも、守りのアーティファクトや高価なポーションまでこの子に持たせて。この子がポーションを使っちゃったときだってたいして怒ったりしなかったんだろう? そんな器の大きな男、そんじょそこらにいるわけがないっていうのは、ルドにもわかるだろう?」
「むぐぐぐ」
さっきまでクズだのろくでなしだの言われていた先輩の株価が急上昇だ。
「まあ、追い出してしまったものはしょうがないねぇ、明日の朝にはみんなでちゃんと謝らないといけないね」
そう言ってルドとマリルちゃんを見るマリルちゃんのお母さん。
「うん、そうだね」「わ、わかったよ」
お母さんにちゃんと返事をする二人。素直ないい子だ。
よし、これで一件落着だ、安心したらお腹が空いてきた。
追い出されてしまった先輩には悪いけど、早く黒パンとスープが食べたいな~、そんなことを考えていると、家のドアを激しく叩く音が聞こえてきた。
"ガンガンガン"
「おーい、ミネットさん! 俺だ、マルコスだ。ドアを開けてくれ!」
「まったく今日は騒がしいことが続くね、いったい何なんだい?」
そう言いながら入り口のドアに歩いて行き、鍵を開けるミネットお母さん。ドアを開けた先には町の入り口で門番をしていたオジサンの片方が立っていた。
「いいか、落ち着いて聞いてくれ」
「落ち着いてないのはアンタの方だろ、さっさと要件を言いなよ」
確かに、慌てた門番のおじさんと対照的に、ミネット母さんはとても落ち着いている。
でも、いったい何があったのだろうか? 門番が慌てるということはゴブリンでも出たのか? いや、ゴブリンは相手にならないくらいオジサンたちは強いんだったっけ?
息を整えたあとに、オジサンは真剣な顔で話を続けた。
「ヤツが、ワヒーラが出たんだ!」
「な、なんだって!」
明らかに狼狽するミネットさん。ワヒーラとはそんなにヤバイやつなのか?
「そ、それで、カロンのやつが……あいつが、ワヒーラにやられちまった」
「そ、そんな……あぁ、神様」
ミネットさんは口元を押さえて崩れ落ち、ドアの前に膝をついてしまった。
僕が恐るおそるそう発言すると、三人は呆れたような顔でこちらを見てきた。
「何って、ラヴィちゃんはアイツの奴隷なんでしょう?」
マリルちゃんがそう言ってくる。
「えっと……たぶん違うと思う。せんぱ……じゃなかった、お兄ちゃんから奴隷にされたなんてことはないと思うんだけど」
「でも、右手の小指に指輪だぜ! 女のそういう奴隷じゃないとそんなところに指輪なんてしないよ!」
ルド君がそう言って、僕の右手の指輪を指差す。
「そういう奴隷って、どういう奴隷?」
「そ、そそ、そりゃあ、アレだよ! 男と女の……そういうアレさ!」
顔を真っ赤にして、言いよどんでいるルド君。
この子はアレが多いな。
「右手の小指に指輪をしているというのは、主人から性的に支配されているという奴隷の証なんだよ。だからこの女には手を出すなって印なの。ラヴィちゃんはそうじゃないのかい?」
なんと、僕は先輩の性奴隷というアピールをしながら街中を歩いていたのか……そんなの、とんでもない変態じゃないか!
「ち、違うよ! この指輪は"守りの指輪"っていって、一日に一回どんな攻撃からでも守ってくれる道具なんだ。お兄ちゃんが安全のためにくれたものなの」
「す……すごい、どんな攻撃からでも守ってくれるなんて、とんでもないアーティファクトじゃないの?」
それを聞いたマリルちゃんが、とても驚いている。
「でも、小指の指輪はそういう証だろう? そんなことするなんてアイツは、ろくでもないクズ野郎なんだよ!」
先輩をクズだクズだって言いやがって、こいつムカつくな。
「私が自分で右手の小指に指輪をしたの。そういうこと何も知らなかったから……だから、お兄ちゃんは何も悪くないの」
「はぁ~~、なんだってそんなことになっちゃったのさ。小指の指輪はそういう男がいる女の証だなんて、この国じゃあ誰だって知ってるよ」
マリルちゃんのお母さんはとても呆れているようだ。
僕と先輩のこの国の常識が無いのは仕方がない事なのだが……何か設定をでっちあげてしまったほうが良いかもしれないな。
「えっと、実はね、私たちは………」
それから僕は、そこまで大きな嘘にならないように気を使いながら、僕と先輩の関係と、これまでのことをでっちあげていった。
僕と先輩は、この国からとても遠い国に住んでいて、先輩とは5歳の頃から7年間の付き合いがある知り合いで、数日前にこの国に無理やり攫って連れてこられてしまったということにした。
実際に僕と先輩は会社に入ってから7年の付き合いがあるのだし、このへんはそのままでいいだろう。
そして、その攫ってきた人たちから逃げ出した僕と先輩は、王都でからんできたチンピラからお金を巻き上げて、情報を聞き出したときに、迷宮都市では獣人が珍しくないという情報を手に入れたので、そこを目指して旅をしてきたこと。
そして、遠くの国に住んでいたので、この国の風習に詳しくなかった為、右手の小指に指輪をしてしまったのだということを説明した。
王都のチンピラの件は苦笑いの三人だったが、順を追って説明したらちゃんと理解してくれたようだ。
ルド君は僕が12歳だということに一番衝撃を受けていたようだが……。
「そっか、二人とも大変な思いをしてきたんだね。それにお兄さんはやっぱり優しいお兄さんだったんだ……私、ラヴィちゃんのお兄さんにちゃんと謝らないといけないわ」
そう言って、気まずそうに下を向いたマリルちゃん。
「へっ、たまたま一緒に攫われて来たってだけだろう。誰だって女の子と一緒だったら助けるに決まってるさ」
ルド君は良く分からない理論で自分を正当化しようとしている。
「いやいや、なかなか出来ることじゃないよ。見ず知らずの土地で血のつながらない異種族の女の子を、最優先に行動しているなんて……なんだい、あの子すごく良い男じゃないか!」
「むぅ」
ふくれっ面のルド君の頭をぽんぽんと叩きながらマリルちゃんのお母さんは続ける。
「いいかい、急に攫われて来た先で無一文で放り出されたのに、知り合いだって理由だけで、この国では連れまわすだけで変な目で見られるような女の子を保護しているんだよ。しかも、守りのアーティファクトや高価なポーションまでこの子に持たせて。この子がポーションを使っちゃったときだってたいして怒ったりしなかったんだろう? そんな器の大きな男、そんじょそこらにいるわけがないっていうのは、ルドにもわかるだろう?」
「むぐぐぐ」
さっきまでクズだのろくでなしだの言われていた先輩の株価が急上昇だ。
「まあ、追い出してしまったものはしょうがないねぇ、明日の朝にはみんなでちゃんと謝らないといけないね」
そう言ってルドとマリルちゃんを見るマリルちゃんのお母さん。
「うん、そうだね」「わ、わかったよ」
お母さんにちゃんと返事をする二人。素直ないい子だ。
よし、これで一件落着だ、安心したらお腹が空いてきた。
追い出されてしまった先輩には悪いけど、早く黒パンとスープが食べたいな~、そんなことを考えていると、家のドアを激しく叩く音が聞こえてきた。
"ガンガンガン"
「おーい、ミネットさん! 俺だ、マルコスだ。ドアを開けてくれ!」
「まったく今日は騒がしいことが続くね、いったい何なんだい?」
そう言いながら入り口のドアに歩いて行き、鍵を開けるミネットお母さん。ドアを開けた先には町の入り口で門番をしていたオジサンの片方が立っていた。
「いいか、落ち着いて聞いてくれ」
「落ち着いてないのはアンタの方だろ、さっさと要件を言いなよ」
確かに、慌てた門番のおじさんと対照的に、ミネット母さんはとても落ち着いている。
でも、いったい何があったのだろうか? 門番が慌てるということはゴブリンでも出たのか? いや、ゴブリンは相手にならないくらいオジサンたちは強いんだったっけ?
息を整えたあとに、オジサンは真剣な顔で話を続けた。
「ヤツが、ワヒーラが出たんだ!」
「な、なんだって!」
明らかに狼狽するミネットさん。ワヒーラとはそんなにヤバイやつなのか?
「そ、それで、カロンのやつが……あいつが、ワヒーラにやられちまった」
「そ、そんな……あぁ、神様」
ミネットさんは口元を押さえて崩れ落ち、ドアの前に膝をついてしまった。
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