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第二章 迷宮都市ロベリア
063 多数決とシーナの意見
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地底湖での歓迎と教訓のイベントが終わった後も、あの幻想的な風景の余韻に浸っていた俺は、しばらくぼーっと岩蛍が消えていった天井を眺めていた。
そんな俺にPTの皆が「逃げて行った岩蛍はしばらく戻ってこないよ」と教えてくれたのは、蛍が逃げてしまってから10分以上過ぎてからだった。
もっと早く教えてくれればいいのに……「意外とロマンチストなんだね」というアレクさんのツッコミは、俺の心に多大なダメージを負わせる。
アレクさんに悪気はないんだろうけど、帰り支度のあいだ中ずっと、ジグガンドさんとマイヤさんからニヤニヤ笑いをされる羽目になってしまった。
帰り道も来る時と同じように、特に問題もなく順調に進んでいく。
細く狭い道を、上ったり下りたりして……ようやく普通に歩けるような道に戻る頃には、もう帰ることを考えないといけないような時間になっていた。
「ふぅ……ここまでくれば、あとは帰り道のモンスターだけだな」
細い道から最後に出てきたジグガンドさんが、額の汗をぬぐいながらそんなことを言っている。
「バカ! それが一番気を付けなきゃいけないでしょ!」
「そりゃそうなんだけどよ……ギリギリ通れる細い道を、落ちないように気を使いながら歩くより、モンスターを警戒してるほうが気楽なんだよ」
たしかに、地底湖までの道のりでジグガンドさんは、体がデカいせいで細い通路を通るのも一苦労といった感じだった。
だからPTの最後尾を歩いていたのだ。
「ふん、そんなのアンタがデブだから腹がつっかえてるんでしょ! もうちょっと痩せなさいよ、まったく」
「な……これは、鎧がでかいだけであって、俺が太ってるわけじゃねぇぞ」
またやってるよ……ほんと仲がいいね、まったく。
「ほら、早くいこうぜ! もう帰り始めないと迷宮から出るのが遅くなっちまうぞ」
エレクさんが喧嘩を始めた二人を仲裁して、早く帰るように促した。
「おお、そうだな、わりぃわりぃ」
ガハハと笑いながら、ジグガンドさんは後頭部をガシガシ掻いている。
「今日はシーナの送別会をやらないといけねぇから、早く帰らねぇと……店の予約も取ってあるしな!」
「へぇ~、ジグガンドがそんな手回しをしてるなんて、珍しいこともあるもんね」
「おう、それくらいは先輩として当然だろ。なぁ、エレク!」
ジグガンドさんに話を振られたエレクさんは、苦笑いしながら答える。
「ああ、ちゃんと店は予約してあるから、さっさと帰るぞ」
エレクさんはそう言うと、ラウニさんと一緒に先をスタスタと歩き始めた。
なんだ、ジグガンドさんがそんな気の使い方を出来るのかと思ったら、やっぱりエレクさんがやったのか。
「よし、帰ったら朝まで飲むぞシーナ! ガハハハ」
そう言ってなぜか俺のケツを叩いて、ジグガンドさんは笑いながら歩いて行った。
それを見ていたマイアさんが、俺の近くに寄ってきて心配している。
「もう、シーナちゃんも無理して付き合わなくても良いんだからね。あいつはザルなんだから、付き合ってたら本当に朝まで飲む羽目になるわよ」
「あはは……それは流石に困りますね。今日は初めての給料日だから、早くお金を持って帰りたいんですよ」
今日ポーターのバイトの給料が入れば、やっとリコットちゃんにお金を渡せる。
食費も家賃も全く払っていない、ヒモの様な生活から一歩前進だ!
真人間に、俺はなる!
「へぇ~、だれだれ? 誰にお金を持って帰ってあげたいの? 女の子にお金を貢いでるのかしら? だったらそんなのはダメなんだからね!」
「ち、違いますよ、貢いでなんかいませんから」
残念ながら貢ぐほど今の俺に甲斐性はない。どちらかといえば逆だ。
しかしまずいな、ちょっとすごい勢いでマイアさんが問い詰めてくる。
「じゃあ彼女なの? 同棲してるのかしら? シーナちゃんもやるわねぇ♪」
「いやいや、そんなんじゃないですから」
「じゃあどんなのかしら? ねぇ、ちょっと教えてよ」
異世界でも女性が恋バナが好きなのは一緒なんだな……ちょっと待ってる人のことを匂わせただけなのに、めちゃくちゃ興味津々だよ。
「ほ、ほら、他の人たちに置いて行かれちゃいますよ! ここは迷宮の19階層なんですよ、こんなことやってる場合じゃないでしょ」
「むぅ~~しょうがないなぁ……」
そんなやり取りをしていると、俺たちを呼ぶ声が先の方から聞こえる。
「おーーい、早く来いよ! エールが俺を待ってるんだからよ!!」
ジグガンドさんだ。本当にお酒が大好きらしい。
俺は元の体はお酒には強くもなく、弱くもない感じだったので、たしなむ程度には飲酒を楽しめたのだが……この体はどうなんだろうか? というか、17歳でもこの国ではお酒を飲んでいいのかな?
「はいはい、いま行くわよ!」
良かった、ジグガンドさんのおかげで、マイアさんからの怒涛の追及が中断された。
ふぅ、なんとか誤魔化せたかな? いくら聞かれても何にもないんだから、無理やり恋バナにされても困るんだよな……。
「じゃあ、シーナちゃんの送別会までその話は待っててあげる。ちゃんと聞かせてもらうんだからね」
振り返って俺にそう言ってから、マイアさんは走っていく。
残念、全然誤魔化せてなかったわ。
最後尾に取り残された俺は、深いため息をついてから、PTメンバーのみんなを追いかけるのだった。
しばらく進んでいると、俺でも見覚えがある場所に出た。
ここは確かオルガの大穴につながる道だったはず……それなら転移魔法陣がある部屋までは、あと半分くらいといった感じだろう。
俺はそんな感じのことをのんびりと考えていたのだが……なんだかPTの面子の様子がピリピリしている気がする。どうしたんだろうか?
「この先……誰かが戦ってるわね」
「この先って、オルガの大穴の辺りか?」
「えぇ、どうする?」
マイアさんの情報によると、何匹かモンスターを引き連れて、オルガの大穴付近に逃げ込んだPTがいるそうだ。
普通はあんな危ない場所で戦ったりしないそうなので、かなり追い詰められてテンパっているPTだろうということだ。
どうするんだろうか? 助けに行かないと、そのPTはまず助からないだろうということは、探索者歴の短い俺にだって容易に想像できる……でも、助けに行けばこちらのPTが無用な危険を負うことになるのだ。
そういえばこの10日間で、塔の出入り口以外では他のPTとすれ違ったこともなかったな……。
この迷宮のダンジョンは、戦闘が無ければ30分もあれば1階層を踏破できるくらいの広さなのだが、それは最短距離を移動しているからだ。
今日、ちょっとわき道にそれて地底湖を見に行くだけでも、かなりの時間がかかったのだから、迷宮とは俺が思うよりも、とても広く奥が深いのだろう。
迷宮に潜るPTは、効率よくモンスターを狩る為に、正規のルート以外で狩ることも多いということだし……案外他のPTとは遭遇しないものなのだろう。
しかし……初めての他PTとの交流だというのに、最悪のタイミングで最悪の邂逅を果たしてしまったようだ。
「助ける、当然だろ!」
ジグガンドさんが真っ先に自分の意見を口にする。
「ええそうね、私も賛成」
マイアさんも、投げナイフを取り出しながらそう答える。
やる気満々だ。
「俺は反対だね、あの穴はヤバイ。他の場所なら大抵のことはなんとかなるけどよ……あそこに落ちれば無事じゃすまないんだぜ?」
アレクさんは乗り気ではないようだ。
薄情なようだが、無理もない。誰だって自分たちが一番可愛いい……いや、そうするべきなのだ。
知らない人間の為に危険な場所に飛び込んで、もし仮に仲間が死んでしまったりしたら、悔やんでも悔やみきれないだろう。
「なんだよ、見殺しにするってのかよ!?」
ジグガンドさんが、エレクさんにくってかかるが……
「やめろ、ジグ。こういうときは多数決が俺たちのルールだ……自分の意見を押し付けるんじゃない」
「くっ……」
なんと、ラウニさんが普通に沢山喋っている! しかも、話してる内容はとてもリーダーっぽいぞ。
「俺は……反対だ、あそこは危険すぎる。どこの誰とも知らんやつの為に、お前らを危険に晒すわけにはいかん」
やはり、この人は口数が少ないだけで、ラウニさんはちゃんとしたリーダーなんだな。
っていうか、関係ないけどジグガンドさんのこと、ジグって呼んでるんだな。
「おいおいジグガンド、今日はシーナ君もいるんだ。乱戦になったら彼が一番危険なんだぜ?」
「っぐ……」
エレクさんがジグガンドさんを説得している、もう一息でジグガンドさんも折れそうだが……。
「お、俺は……俺たちは、モンスターから仲間を守りたくて……だから強くなろうって、そう思ったんじゃなかったのかよラウニ!」
「そ、それは……そうだが」
ジグガンドさんがラウニさんに必死に訴えかけている。
こんなに必死になるなんて、二人の過去に何かあったのだろうか?
「ここで、誰か知らない人間だからって見殺しにしちまったら、ビビッてなんにも出来なかったあの時と一緒じゃねぇか! 俺たちは……こんな時の為に強くなったんじゃねぇのかよ!」
「う……」
ラウニさんがジグガンドさんの気迫に押されている……。
「ジグガンド……そ、そうだ! シーナちゃんはどうなの?」
「え?」
「シーナちゃんは助けに行きたい? それとも、止めといたほうが良いと思う?」
マジか、この場面で俺に振らないでくれよ……。
「そうだな、シーナだって今日までは俺たちのPTの一員なんだ。意見を聞くべきじゃないのか?」
ジグガンドさんまでマイアさんの意見に乗っかってきた。
「い、いやぁ~、探索者見習いの俺の意見なんて聞かなくても……」
こんな場面で最終決定を下すなんて、勘弁してほしい。
見習いの下っ端の意見なんて聞かなくてもいいだろう。
「そうだな、シーナもPTの一員だった。意見を聞かずに決めようとしてすまなかったな」
ここでまさかの、ラウニさんのこの意見だ。
う、嘘だろ……。
「どうだ? お前はどうしたい?」
「え、えっと……」
急に決定権を投げられて焦る俺に、みんなの視線が集まる。
「俺は……」
そんな俺にPTの皆が「逃げて行った岩蛍はしばらく戻ってこないよ」と教えてくれたのは、蛍が逃げてしまってから10分以上過ぎてからだった。
もっと早く教えてくれればいいのに……「意外とロマンチストなんだね」というアレクさんのツッコミは、俺の心に多大なダメージを負わせる。
アレクさんに悪気はないんだろうけど、帰り支度のあいだ中ずっと、ジグガンドさんとマイヤさんからニヤニヤ笑いをされる羽目になってしまった。
帰り道も来る時と同じように、特に問題もなく順調に進んでいく。
細く狭い道を、上ったり下りたりして……ようやく普通に歩けるような道に戻る頃には、もう帰ることを考えないといけないような時間になっていた。
「ふぅ……ここまでくれば、あとは帰り道のモンスターだけだな」
細い道から最後に出てきたジグガンドさんが、額の汗をぬぐいながらそんなことを言っている。
「バカ! それが一番気を付けなきゃいけないでしょ!」
「そりゃそうなんだけどよ……ギリギリ通れる細い道を、落ちないように気を使いながら歩くより、モンスターを警戒してるほうが気楽なんだよ」
たしかに、地底湖までの道のりでジグガンドさんは、体がデカいせいで細い通路を通るのも一苦労といった感じだった。
だからPTの最後尾を歩いていたのだ。
「ふん、そんなのアンタがデブだから腹がつっかえてるんでしょ! もうちょっと痩せなさいよ、まったく」
「な……これは、鎧がでかいだけであって、俺が太ってるわけじゃねぇぞ」
またやってるよ……ほんと仲がいいね、まったく。
「ほら、早くいこうぜ! もう帰り始めないと迷宮から出るのが遅くなっちまうぞ」
エレクさんが喧嘩を始めた二人を仲裁して、早く帰るように促した。
「おお、そうだな、わりぃわりぃ」
ガハハと笑いながら、ジグガンドさんは後頭部をガシガシ掻いている。
「今日はシーナの送別会をやらないといけねぇから、早く帰らねぇと……店の予約も取ってあるしな!」
「へぇ~、ジグガンドがそんな手回しをしてるなんて、珍しいこともあるもんね」
「おう、それくらいは先輩として当然だろ。なぁ、エレク!」
ジグガンドさんに話を振られたエレクさんは、苦笑いしながら答える。
「ああ、ちゃんと店は予約してあるから、さっさと帰るぞ」
エレクさんはそう言うと、ラウニさんと一緒に先をスタスタと歩き始めた。
なんだ、ジグガンドさんがそんな気の使い方を出来るのかと思ったら、やっぱりエレクさんがやったのか。
「よし、帰ったら朝まで飲むぞシーナ! ガハハハ」
そう言ってなぜか俺のケツを叩いて、ジグガンドさんは笑いながら歩いて行った。
それを見ていたマイアさんが、俺の近くに寄ってきて心配している。
「もう、シーナちゃんも無理して付き合わなくても良いんだからね。あいつはザルなんだから、付き合ってたら本当に朝まで飲む羽目になるわよ」
「あはは……それは流石に困りますね。今日は初めての給料日だから、早くお金を持って帰りたいんですよ」
今日ポーターのバイトの給料が入れば、やっとリコットちゃんにお金を渡せる。
食費も家賃も全く払っていない、ヒモの様な生活から一歩前進だ!
真人間に、俺はなる!
「へぇ~、だれだれ? 誰にお金を持って帰ってあげたいの? 女の子にお金を貢いでるのかしら? だったらそんなのはダメなんだからね!」
「ち、違いますよ、貢いでなんかいませんから」
残念ながら貢ぐほど今の俺に甲斐性はない。どちらかといえば逆だ。
しかしまずいな、ちょっとすごい勢いでマイアさんが問い詰めてくる。
「じゃあ彼女なの? 同棲してるのかしら? シーナちゃんもやるわねぇ♪」
「いやいや、そんなんじゃないですから」
「じゃあどんなのかしら? ねぇ、ちょっと教えてよ」
異世界でも女性が恋バナが好きなのは一緒なんだな……ちょっと待ってる人のことを匂わせただけなのに、めちゃくちゃ興味津々だよ。
「ほ、ほら、他の人たちに置いて行かれちゃいますよ! ここは迷宮の19階層なんですよ、こんなことやってる場合じゃないでしょ」
「むぅ~~しょうがないなぁ……」
そんなやり取りをしていると、俺たちを呼ぶ声が先の方から聞こえる。
「おーーい、早く来いよ! エールが俺を待ってるんだからよ!!」
ジグガンドさんだ。本当にお酒が大好きらしい。
俺は元の体はお酒には強くもなく、弱くもない感じだったので、たしなむ程度には飲酒を楽しめたのだが……この体はどうなんだろうか? というか、17歳でもこの国ではお酒を飲んでいいのかな?
「はいはい、いま行くわよ!」
良かった、ジグガンドさんのおかげで、マイアさんからの怒涛の追及が中断された。
ふぅ、なんとか誤魔化せたかな? いくら聞かれても何にもないんだから、無理やり恋バナにされても困るんだよな……。
「じゃあ、シーナちゃんの送別会までその話は待っててあげる。ちゃんと聞かせてもらうんだからね」
振り返って俺にそう言ってから、マイアさんは走っていく。
残念、全然誤魔化せてなかったわ。
最後尾に取り残された俺は、深いため息をついてから、PTメンバーのみんなを追いかけるのだった。
しばらく進んでいると、俺でも見覚えがある場所に出た。
ここは確かオルガの大穴につながる道だったはず……それなら転移魔法陣がある部屋までは、あと半分くらいといった感じだろう。
俺はそんな感じのことをのんびりと考えていたのだが……なんだかPTの面子の様子がピリピリしている気がする。どうしたんだろうか?
「この先……誰かが戦ってるわね」
「この先って、オルガの大穴の辺りか?」
「えぇ、どうする?」
マイアさんの情報によると、何匹かモンスターを引き連れて、オルガの大穴付近に逃げ込んだPTがいるそうだ。
普通はあんな危ない場所で戦ったりしないそうなので、かなり追い詰められてテンパっているPTだろうということだ。
どうするんだろうか? 助けに行かないと、そのPTはまず助からないだろうということは、探索者歴の短い俺にだって容易に想像できる……でも、助けに行けばこちらのPTが無用な危険を負うことになるのだ。
そういえばこの10日間で、塔の出入り口以外では他のPTとすれ違ったこともなかったな……。
この迷宮のダンジョンは、戦闘が無ければ30分もあれば1階層を踏破できるくらいの広さなのだが、それは最短距離を移動しているからだ。
今日、ちょっとわき道にそれて地底湖を見に行くだけでも、かなりの時間がかかったのだから、迷宮とは俺が思うよりも、とても広く奥が深いのだろう。
迷宮に潜るPTは、効率よくモンスターを狩る為に、正規のルート以外で狩ることも多いということだし……案外他のPTとは遭遇しないものなのだろう。
しかし……初めての他PTとの交流だというのに、最悪のタイミングで最悪の邂逅を果たしてしまったようだ。
「助ける、当然だろ!」
ジグガンドさんが真っ先に自分の意見を口にする。
「ええそうね、私も賛成」
マイアさんも、投げナイフを取り出しながらそう答える。
やる気満々だ。
「俺は反対だね、あの穴はヤバイ。他の場所なら大抵のことはなんとかなるけどよ……あそこに落ちれば無事じゃすまないんだぜ?」
アレクさんは乗り気ではないようだ。
薄情なようだが、無理もない。誰だって自分たちが一番可愛いい……いや、そうするべきなのだ。
知らない人間の為に危険な場所に飛び込んで、もし仮に仲間が死んでしまったりしたら、悔やんでも悔やみきれないだろう。
「なんだよ、見殺しにするってのかよ!?」
ジグガンドさんが、エレクさんにくってかかるが……
「やめろ、ジグ。こういうときは多数決が俺たちのルールだ……自分の意見を押し付けるんじゃない」
「くっ……」
なんと、ラウニさんが普通に沢山喋っている! しかも、話してる内容はとてもリーダーっぽいぞ。
「俺は……反対だ、あそこは危険すぎる。どこの誰とも知らんやつの為に、お前らを危険に晒すわけにはいかん」
やはり、この人は口数が少ないだけで、ラウニさんはちゃんとしたリーダーなんだな。
っていうか、関係ないけどジグガンドさんのこと、ジグって呼んでるんだな。
「おいおいジグガンド、今日はシーナ君もいるんだ。乱戦になったら彼が一番危険なんだぜ?」
「っぐ……」
エレクさんがジグガンドさんを説得している、もう一息でジグガンドさんも折れそうだが……。
「お、俺は……俺たちは、モンスターから仲間を守りたくて……だから強くなろうって、そう思ったんじゃなかったのかよラウニ!」
「そ、それは……そうだが」
ジグガンドさんがラウニさんに必死に訴えかけている。
こんなに必死になるなんて、二人の過去に何かあったのだろうか?
「ここで、誰か知らない人間だからって見殺しにしちまったら、ビビッてなんにも出来なかったあの時と一緒じゃねぇか! 俺たちは……こんな時の為に強くなったんじゃねぇのかよ!」
「う……」
ラウニさんがジグガンドさんの気迫に押されている……。
「ジグガンド……そ、そうだ! シーナちゃんはどうなの?」
「え?」
「シーナちゃんは助けに行きたい? それとも、止めといたほうが良いと思う?」
マジか、この場面で俺に振らないでくれよ……。
「そうだな、シーナだって今日までは俺たちのPTの一員なんだ。意見を聞くべきじゃないのか?」
ジグガンドさんまでマイアさんの意見に乗っかってきた。
「い、いやぁ~、探索者見習いの俺の意見なんて聞かなくても……」
こんな場面で最終決定を下すなんて、勘弁してほしい。
見習いの下っ端の意見なんて聞かなくてもいいだろう。
「そうだな、シーナもPTの一員だった。意見を聞かずに決めようとしてすまなかったな」
ここでまさかの、ラウニさんのこの意見だ。
う、嘘だろ……。
「どうだ? お前はどうしたい?」
「え、えっと……」
急に決定権を投げられて焦る俺に、みんなの視線が集まる。
「俺は……」
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