蒼誓(そうせい)の騎士は転生者を離さない ― 異世界転生BL/騎士×転生者 ―

遊羽(ゆう)

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プロローグ

蒼の刻印と騎士の誓い

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――その日、世界は静かに終わり、そして始まった。

気づけば、レオは冷たい石の感触の上に横たわっていた。
鼻腔をくすぐるのは、消毒薬に似た薬草の匂い。天井は高く、白い布が揺れている。病室のようで、けれどどこか決定的に違う。

「……目を覚ましたか?」

低く、落ち着いた声。
視線を向けると、よろい姿の男が椅子に腰掛けていた。銀に近い灰色の髪、鋭いはずなのに、不思議と温度を感じる蒼い瞳。

「ここは……」

声がかすれ、喉が痛む。
男はすぐに立ち上がり、木製の杯を差し出した。

「王都第3治療院だ。無理に喋らなくていい」

その手が、異様に大きい。
指先が触れた瞬間、なぜか胸の奥がざわめいた。

「俺はカイル・ヴァルグリム。近衛このえ騎士団所属だ」

名乗りを受けても、レオの頭は追いつかない。
最後の記憶は――夜の交差点、迫るライト、耳鳴り。そして、唐突な暗転。

「……俺、死んだんですか?」

問いは、ほとんど反射だった。
だがカイルは否定も肯定もせず、わずかに視線を伏せる。

「この世界においては、“転生”と呼ばれている」

予想していた答えなのに、胸が締め付けられた。
帰れない。もう、元の世界には。

沈黙が落ちる。
その沈黙を破ったのは、カイルの低い声だった。

「お前は《蒼の刻印》を持っている。」

彼の指が、レオの鎖骨の下に触れる。
そこには、いつの間にか淡く光る紋章が浮かんでいた。

「これは、俺が生涯をかけて守ると誓った存在に現れる印だ。」

「……それって…」

「逃げ場はない。」

断言だった。
だが不思議と、恐怖よりも安堵が勝った。

まっすぐで、不器用で、嘘のない目。
この男は、きっと裏切らない。

「レオ。これから先、俺は何度でもお前を選ぶ。」

その言葉が、誓いのように胸に落ちる。

世界を失ったはずの夜。
レオは、新しい“居場所”と――
あらがえないほど強い運命に、出会ってしまった。
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