1 / 3
プロローグ
蒼の刻印と騎士の誓い
しおりを挟む
――その日、世界は静かに終わり、そして始まった。
気づけば、レオは冷たい石の感触の上に横たわっていた。
鼻腔をくすぐるのは、消毒薬に似た薬草の匂い。天井は高く、白い布が揺れている。病室のようで、けれどどこか決定的に違う。
「……目を覚ましたか?」
低く、落ち着いた声。
視線を向けると、鎧姿の男が椅子に腰掛けていた。銀に近い灰色の髪、鋭いはずなのに、不思議と温度を感じる蒼い瞳。
「ここは……」
声がかすれ、喉が痛む。
男はすぐに立ち上がり、木製の杯を差し出した。
「王都第3治療院だ。無理に喋らなくていい」
その手が、異様に大きい。
指先が触れた瞬間、なぜか胸の奥がざわめいた。
「俺はカイル・ヴァルグリム。近衛騎士団所属だ」
名乗りを受けても、レオの頭は追いつかない。
最後の記憶は――夜の交差点、迫るライト、耳鳴り。そして、唐突な暗転。
「……俺、死んだんですか?」
問いは、ほとんど反射だった。
だがカイルは否定も肯定もせず、わずかに視線を伏せる。
「この世界においては、“転生”と呼ばれている」
予想していた答えなのに、胸が締め付けられた。
帰れない。もう、元の世界には。
沈黙が落ちる。
その沈黙を破ったのは、カイルの低い声だった。
「お前は《蒼の刻印》を持っている。」
彼の指が、レオの鎖骨の下に触れる。
そこには、いつの間にか淡く光る紋章が浮かんでいた。
「これは、俺が生涯をかけて守ると誓った存在に現れる印だ。」
「……それって…」
「逃げ場はない。」
断言だった。
だが不思議と、恐怖よりも安堵が勝った。
まっすぐで、不器用で、嘘のない目。
この男は、きっと裏切らない。
「レオ。これから先、俺は何度でもお前を選ぶ。」
その言葉が、誓いのように胸に落ちる。
世界を失ったはずの夜。
レオは、新しい“居場所”と――
抗えないほど強い運命に、出会ってしまった。
気づけば、レオは冷たい石の感触の上に横たわっていた。
鼻腔をくすぐるのは、消毒薬に似た薬草の匂い。天井は高く、白い布が揺れている。病室のようで、けれどどこか決定的に違う。
「……目を覚ましたか?」
低く、落ち着いた声。
視線を向けると、鎧姿の男が椅子に腰掛けていた。銀に近い灰色の髪、鋭いはずなのに、不思議と温度を感じる蒼い瞳。
「ここは……」
声がかすれ、喉が痛む。
男はすぐに立ち上がり、木製の杯を差し出した。
「王都第3治療院だ。無理に喋らなくていい」
その手が、異様に大きい。
指先が触れた瞬間、なぜか胸の奥がざわめいた。
「俺はカイル・ヴァルグリム。近衛騎士団所属だ」
名乗りを受けても、レオの頭は追いつかない。
最後の記憶は――夜の交差点、迫るライト、耳鳴り。そして、唐突な暗転。
「……俺、死んだんですか?」
問いは、ほとんど反射だった。
だがカイルは否定も肯定もせず、わずかに視線を伏せる。
「この世界においては、“転生”と呼ばれている」
予想していた答えなのに、胸が締め付けられた。
帰れない。もう、元の世界には。
沈黙が落ちる。
その沈黙を破ったのは、カイルの低い声だった。
「お前は《蒼の刻印》を持っている。」
彼の指が、レオの鎖骨の下に触れる。
そこには、いつの間にか淡く光る紋章が浮かんでいた。
「これは、俺が生涯をかけて守ると誓った存在に現れる印だ。」
「……それって…」
「逃げ場はない。」
断言だった。
だが不思議と、恐怖よりも安堵が勝った。
まっすぐで、不器用で、嘘のない目。
この男は、きっと裏切らない。
「レオ。これから先、俺は何度でもお前を選ぶ。」
その言葉が、誓いのように胸に落ちる。
世界を失ったはずの夜。
レオは、新しい“居場所”と――
抗えないほど強い運命に、出会ってしまった。
0
あなたにおすすめの小説
こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる