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第1話
世界が終わる音を、俺は覚えている
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その日、レオはいつもより少しだけ帰りが遅かった。
残業続きの週末前。
コンビニで買った缶コーヒーを片手に、夜の横断歩道を渡る。
信号は青。イヤホンはしていない。周囲も見ていた。
――なのに。
クラクション。
眩しいライト。
視界が白く染まる。
「……あ」
声にならなかった。
衝撃は一瞬で、身体が宙に浮く感覚だけが残った。
痛みは、思ったよりなかった。
代わりに、耳鳴りと、やけに静かな世界。
(ああ、これ……)
地面に落ちる前に、なぜかそんなことを考えていた。
ニュースで見た事故映像。救急車。
自分が、今まさにその“当事者”になったのだと。
意識が遠のく中、最後に浮かんだのは、どうでもいい後悔だった。
もっと休めばよかった。
誰かに、ちゃんと甘えればよかった。
暗闇が、すべてを覆う。
――そこで、終わるはずだった。
だが、終わらなかった。
「……選ばれし魂よ。」
どこからか、声がした。
男とも女ともつかない、澄んだ声。
「未練はあるか?」
(あるに決まってる)
答えようとして、声が出ない。
それでも、思考だけははっきりしていた。
「ならば、与えよう。もう一度、生きる場所を。」
闇の向こうで、淡い蒼色の光が揺れる。
それは炎のようで、水のようで――
不思議と、ひどく温かかった。
「ただし、代償として」
「お前は、誰かの運命となる」
意味は分からない。
だが拒否権がないことだけは、理解できた。
光が、胸に落ちる。
息が詰まり、身体が引き裂かれる感覚。
それなのに、苦しくない。
(……生きたい)
そう願った瞬間、世界が裏返った。
次に目を覚ました時、レオは冷たい石の感触の上にいた。
見知らぬ天井。薬草の匂い。
そして、胸の奥に残る、蒼い熱。
「……ここは」
掠れた声が、ちゃんと響いた。
生きている。
だが同時に、確信する。
もう、元の世界には戻れない。
それでも――
なぜか、不思議な予感があった。
この先で、
自分を「選ぶ」誰かと、必ず出会う。
それが救いなのか、束縛なのか。
まだ知らないまま、レオの新しい人生は、静かに始まった。
残業続きの週末前。
コンビニで買った缶コーヒーを片手に、夜の横断歩道を渡る。
信号は青。イヤホンはしていない。周囲も見ていた。
――なのに。
クラクション。
眩しいライト。
視界が白く染まる。
「……あ」
声にならなかった。
衝撃は一瞬で、身体が宙に浮く感覚だけが残った。
痛みは、思ったよりなかった。
代わりに、耳鳴りと、やけに静かな世界。
(ああ、これ……)
地面に落ちる前に、なぜかそんなことを考えていた。
ニュースで見た事故映像。救急車。
自分が、今まさにその“当事者”になったのだと。
意識が遠のく中、最後に浮かんだのは、どうでもいい後悔だった。
もっと休めばよかった。
誰かに、ちゃんと甘えればよかった。
暗闇が、すべてを覆う。
――そこで、終わるはずだった。
だが、終わらなかった。
「……選ばれし魂よ。」
どこからか、声がした。
男とも女ともつかない、澄んだ声。
「未練はあるか?」
(あるに決まってる)
答えようとして、声が出ない。
それでも、思考だけははっきりしていた。
「ならば、与えよう。もう一度、生きる場所を。」
闇の向こうで、淡い蒼色の光が揺れる。
それは炎のようで、水のようで――
不思議と、ひどく温かかった。
「ただし、代償として」
「お前は、誰かの運命となる」
意味は分からない。
だが拒否権がないことだけは、理解できた。
光が、胸に落ちる。
息が詰まり、身体が引き裂かれる感覚。
それなのに、苦しくない。
(……生きたい)
そう願った瞬間、世界が裏返った。
次に目を覚ました時、レオは冷たい石の感触の上にいた。
見知らぬ天井。薬草の匂い。
そして、胸の奥に残る、蒼い熱。
「……ここは」
掠れた声が、ちゃんと響いた。
生きている。
だが同時に、確信する。
もう、元の世界には戻れない。
それでも――
なぜか、不思議な予感があった。
この先で、
自分を「選ぶ」誰かと、必ず出会う。
それが救いなのか、束縛なのか。
まだ知らないまま、レオの新しい人生は、静かに始まった。
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