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第2話
蒼の刻印と、騎士の視線
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意識が浮上するにつれて、最初に感じたのは冷たさだった。
背中に伝わる硬い感触。石の床か、石の寝台か――とにかく、病院のそれとは違う。
次に、匂い。
消毒薬ではなく、乾いた薬草と金属の匂いが混じっている。
「……生きてる?」
思わず口にすると、声はひどくかすれていた。
それでも、ちゃんと自分の耳に届く。
ゆっくりと目を開けると、白い天幕のような布が視界に入った。
天井は高く、見知らぬ文様が刻まれている。
――異世界。
悟ったはずの事実が、改めて胸に落ちた、その時。
「目を覚ましたか。」
低く、落ち着いた声がした。
驚いて首を巡らせると、少し離れた位置に男が立っていた。
銀に近い灰色の髪。整った顔立ちだが、柔らかさよりも鋭さが先に立つ。
鎧姿のまま、微動だにせずこちらを見ていた。
「……誰?」
問いかけると、男は1歩近づき、膝をついて視線の高さを合わせる。
「俺はカイル・ヴァルグリム。王都近衛騎士団所属だ」
近い。
距離が詰まっただけで、圧を感じる。
「……騎士?」
「そうだ。」
短く答え、カイルはじっとレオの顔を見つめた。
観察するような視線。だが、敵意はない。
「俺は……レオ」
名乗った瞬間、空気が変わった。
カイルの瞳が、わずかに見開かれる。
次の瞬間、彼は無言でレオの胸元へと手を伸ばした。
「ちょ、ちょっと――」
制止するより早く、指先が鎖骨の下に触れる。
その瞬間、蒼い光が淡く脈打った。
「……やはり」
カイルは低く呟き、深く息を吐いた。
「《蒼の刻印》だ」
「刻印……?」
「この世界に現れるはずのない魂が、選ばれた証だ。」
意味が分からない。
だが、その言葉と同時に、胸の奥が熱を帯びる。
「お前は転生者だな。」
否定できなかった。
ゆっくりと頷くと、カイルは静かに立ち上がる。
「安心しろ。ここにいる限り、誰にも触れさせない。」
「……どういう…」
「俺が守る。」
即答だった。
使命のようでいて、どこか個人的な響きを持つ言葉。
その視線が、逃げ場を与えない。
「刻印を持つ者は、危険だ。利用される。」
だから、と言ってカイルは一歩近づく。
「俺の管理下に置く。」
管理。
その言い方に引っかかりを覚えつつも、なぜか拒否する気になれなかった。
「……それ、拒否権は…」
「ない。」
淡々とした口調。
だが、次に続いた言葉は少しだけ違った。
「だが、無理に怖がらせるつもりもない。」
そう言って、カイルは視線を外す。
ほんの一瞬だけ、柔らいだ横顔。
「レオ。お前がこの世界に来た意味は、まだ誰にも分からない。」
「でも…」
蒼い瞳が、再びこちらを捉える。
「お前を失う気はない。」
その言葉が、胸に深く刺さった。
異世界で出会った、最初の人間。
それが、この騎士でよかったのかどうかは分からない。
だが――
レオはすでに、蒼い視線から逃げられなくなっていた。
背中に伝わる硬い感触。石の床か、石の寝台か――とにかく、病院のそれとは違う。
次に、匂い。
消毒薬ではなく、乾いた薬草と金属の匂いが混じっている。
「……生きてる?」
思わず口にすると、声はひどくかすれていた。
それでも、ちゃんと自分の耳に届く。
ゆっくりと目を開けると、白い天幕のような布が視界に入った。
天井は高く、見知らぬ文様が刻まれている。
――異世界。
悟ったはずの事実が、改めて胸に落ちた、その時。
「目を覚ましたか。」
低く、落ち着いた声がした。
驚いて首を巡らせると、少し離れた位置に男が立っていた。
銀に近い灰色の髪。整った顔立ちだが、柔らかさよりも鋭さが先に立つ。
鎧姿のまま、微動だにせずこちらを見ていた。
「……誰?」
問いかけると、男は1歩近づき、膝をついて視線の高さを合わせる。
「俺はカイル・ヴァルグリム。王都近衛騎士団所属だ」
近い。
距離が詰まっただけで、圧を感じる。
「……騎士?」
「そうだ。」
短く答え、カイルはじっとレオの顔を見つめた。
観察するような視線。だが、敵意はない。
「俺は……レオ」
名乗った瞬間、空気が変わった。
カイルの瞳が、わずかに見開かれる。
次の瞬間、彼は無言でレオの胸元へと手を伸ばした。
「ちょ、ちょっと――」
制止するより早く、指先が鎖骨の下に触れる。
その瞬間、蒼い光が淡く脈打った。
「……やはり」
カイルは低く呟き、深く息を吐いた。
「《蒼の刻印》だ」
「刻印……?」
「この世界に現れるはずのない魂が、選ばれた証だ。」
意味が分からない。
だが、その言葉と同時に、胸の奥が熱を帯びる。
「お前は転生者だな。」
否定できなかった。
ゆっくりと頷くと、カイルは静かに立ち上がる。
「安心しろ。ここにいる限り、誰にも触れさせない。」
「……どういう…」
「俺が守る。」
即答だった。
使命のようでいて、どこか個人的な響きを持つ言葉。
その視線が、逃げ場を与えない。
「刻印を持つ者は、危険だ。利用される。」
だから、と言ってカイルは一歩近づく。
「俺の管理下に置く。」
管理。
その言い方に引っかかりを覚えつつも、なぜか拒否する気になれなかった。
「……それ、拒否権は…」
「ない。」
淡々とした口調。
だが、次に続いた言葉は少しだけ違った。
「だが、無理に怖がらせるつもりもない。」
そう言って、カイルは視線を外す。
ほんの一瞬だけ、柔らいだ横顔。
「レオ。お前がこの世界に来た意味は、まだ誰にも分からない。」
「でも…」
蒼い瞳が、再びこちらを捉える。
「お前を失う気はない。」
その言葉が、胸に深く刺さった。
異世界で出会った、最初の人間。
それが、この騎士でよかったのかどうかは分からない。
だが――
レオはすでに、蒼い視線から逃げられなくなっていた。
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