3 / 3
Season 1
第2話:大人の余裕と、隠せない熱
しおりを挟む
3日後の夜、荒金義明は再びその店の扉を潜った。
1度足を踏み入れれば、もう戻れないことは分かっていた。仕事中も、役員会議の最中ですら、目を閉じればあの黒いTシャツに包まれた柔らかそうな肉感と、湿った瞳が脳裏に焼き付いて離れなかったからだ。
「あ、荒金さん! 本当に来てくれたんですね!」
カウンターの奥で、陽向がパッと顔を輝かせる。その無邪気な歓迎に、義明の胸の奥がギュリ、と心地よい痛みを立てて軋んだ。
「約束しただろう。君の顔を見に来ると。」
義明は努めて穏やかに、しかし大人の男としての重厚な響きを込めてそう言った。今日はスーツの上着を脱ぎ、ワイシャツの袖を腕まくりしている。露わになった、陽向の腕の倍はあろうかという太い前腕と、浮き出た血管。それがカウンターの上に置かれるだけで、そこには濃厚な「雄」の空気が充満した。
「嬉しいです。今日は何になさいますか?」
「……君のおすすめを。君が、俺に飲ませたいと思うものを淹れてくれ。」
その言い回しに、陽向の頬が微かに朱に染まる。
陽向は「えっ、僕が選んでいいんですか?」と戸惑いながらも、棚から重厚なボトルを選び出した。その際、背伸びをした陽向の黒いTシャツの裾がわずかに持ち上がり、白い肌と、スラックスに少しだけ乗った柔らかな脇腹の肉が覗いた。
義明の眼光が、一瞬で鋭く、深く沈む。
(……あの柔らかい場所に、指を沈めたい)
脳内では、すでにそのTシャツを完全に脱ぎ去らせ、露わになった真っ白な身体を視線で愛撫していた。自分のような大柄な男の腕に抱かれ、そのふっくらとしたお腹を自身の硬い胸板に押し付けられた時、陽向はどんな声を漏らすだろうか。
義明の股間は、そんな妄想を糧に、じわりと熱を帯びていく。仕立ての良いズボンの下で、50を過ぎた男の現役を主張する剛直が、陽向の無防備な肉を求めて脈打っていた。
「お待たせしました。ちょっと強めですけど、荒金さんに似合うと思って・・・」
陽向が差し出したグラスを受け取る際、義明はあえて、陽向の指先に自分の指を滑らせるように重ねた。
カチリ、と静電気のような火花が散った気がした。
「ひゃっ……」
小さな、吐息のような声を漏らして、陽向が肩を揺らす。
義明はその瞬間、指を離さず、あえて数秒間だけそのままにした。陽向の指は、予想通り……いや、予想以上に柔らかく、吸い付くような湿り気を帯びていた。
「手が、冷えているな。少し、緊張しているのか?」
義明は低い声で、陽向の瞳をじっと見つめながら尋ねた。三白眼の眼光は、優しく微笑んでいるつもりでも、陽向を射抜くような強烈な圧を孕んでいる。
大人の男だけが持つ、逃げ場を塞ぐような、静かな攻め。
「あ、いえ……その、荒金さんの手が、すごく熱かったから……」
陽向が上目遣いで、重めの前髪の間から義明を見上げる。その瞳は、義明の放つ色気に当てられたように、潤みを増していた。
義明は、陽向のその反応に、下腹部がはち切れそうなほどの疼きを感じる。今すぐその細い手首を掴み、カウンター越しに引き寄せて、そのふっくらとした唇を奪いたい。自分の太い舌で、彼の口腔の隅々まで蹂躙し、大人のキスの味を教え込みたい。
だが、義明はそれをしない。
まだ、その時ではないことを知っている。
義明はゆっくりと指を離し、代わりにグラスを口に運んだ。
「……美味いな。君が選んでくれたからか、余計に・・・」
喉仏が力強く上下する。その「雄」としての力強さに、陽向が見惚れているのがわかった。
義明は、翻弄されているのは自分の方だと自覚していた。だが、それを悟らせないのが大人の流儀だ。
(陽向……。お前のその、何も知らないような瞳も、柔らかそうな腹も。すべて俺の熱でとろとろに溶かしてやりたい)
脳内での愛撫は、さらに深く、淫らになっていく。
陽向を背後から抱き込み、黒いTシャツを肩まで捲り上げ、その豊かな胸の肉を大きな掌で揉みしだく。自分の太い指の隙間から、陽向の柔らかな肉が溢れるさまを想像し、義明の呼吸が微かに重くなる。その白く大きな臀部を掴み、自身の猛り狂う熱を、一切の容赦なく、しかし溢れるほどの愛を込めて沈め込む――。
「荒金さん、あの……」
「なんだ?」
「……また、指名してくれますか? 荒金さんに、もっと僕のこと、知ってほしくて・・・」
陽向の、その精一杯の誘い文句に、義明の理性という名の糸が1本、ブツリと切れた。
義明はグラスを置くと、身を乗り出し、陽向の耳元に唇を寄せた。
「……君は、恐ろしいことを言うな。俺が1度、君を『知りたい』と思ったら、後戻りはできないぞ?」
耳を掠める熱い吐息と、低音の振動。
陽向は、生まれて初めて感じる強烈な「男」の気配に、膝が震えるのを感じた。
義明の瞳の奥には、紳士の仮面では隠しきれない、飢えた獣のような渇望が、ねっとりと渦巻いていた。
外は、逃げ場のない熱帯夜。
だが、2人の間に流れる空気は、それよりも遥かに熱く、深く、昂ぶっていた。
1度足を踏み入れれば、もう戻れないことは分かっていた。仕事中も、役員会議の最中ですら、目を閉じればあの黒いTシャツに包まれた柔らかそうな肉感と、湿った瞳が脳裏に焼き付いて離れなかったからだ。
「あ、荒金さん! 本当に来てくれたんですね!」
カウンターの奥で、陽向がパッと顔を輝かせる。その無邪気な歓迎に、義明の胸の奥がギュリ、と心地よい痛みを立てて軋んだ。
「約束しただろう。君の顔を見に来ると。」
義明は努めて穏やかに、しかし大人の男としての重厚な響きを込めてそう言った。今日はスーツの上着を脱ぎ、ワイシャツの袖を腕まくりしている。露わになった、陽向の腕の倍はあろうかという太い前腕と、浮き出た血管。それがカウンターの上に置かれるだけで、そこには濃厚な「雄」の空気が充満した。
「嬉しいです。今日は何になさいますか?」
「……君のおすすめを。君が、俺に飲ませたいと思うものを淹れてくれ。」
その言い回しに、陽向の頬が微かに朱に染まる。
陽向は「えっ、僕が選んでいいんですか?」と戸惑いながらも、棚から重厚なボトルを選び出した。その際、背伸びをした陽向の黒いTシャツの裾がわずかに持ち上がり、白い肌と、スラックスに少しだけ乗った柔らかな脇腹の肉が覗いた。
義明の眼光が、一瞬で鋭く、深く沈む。
(……あの柔らかい場所に、指を沈めたい)
脳内では、すでにそのTシャツを完全に脱ぎ去らせ、露わになった真っ白な身体を視線で愛撫していた。自分のような大柄な男の腕に抱かれ、そのふっくらとしたお腹を自身の硬い胸板に押し付けられた時、陽向はどんな声を漏らすだろうか。
義明の股間は、そんな妄想を糧に、じわりと熱を帯びていく。仕立ての良いズボンの下で、50を過ぎた男の現役を主張する剛直が、陽向の無防備な肉を求めて脈打っていた。
「お待たせしました。ちょっと強めですけど、荒金さんに似合うと思って・・・」
陽向が差し出したグラスを受け取る際、義明はあえて、陽向の指先に自分の指を滑らせるように重ねた。
カチリ、と静電気のような火花が散った気がした。
「ひゃっ……」
小さな、吐息のような声を漏らして、陽向が肩を揺らす。
義明はその瞬間、指を離さず、あえて数秒間だけそのままにした。陽向の指は、予想通り……いや、予想以上に柔らかく、吸い付くような湿り気を帯びていた。
「手が、冷えているな。少し、緊張しているのか?」
義明は低い声で、陽向の瞳をじっと見つめながら尋ねた。三白眼の眼光は、優しく微笑んでいるつもりでも、陽向を射抜くような強烈な圧を孕んでいる。
大人の男だけが持つ、逃げ場を塞ぐような、静かな攻め。
「あ、いえ……その、荒金さんの手が、すごく熱かったから……」
陽向が上目遣いで、重めの前髪の間から義明を見上げる。その瞳は、義明の放つ色気に当てられたように、潤みを増していた。
義明は、陽向のその反応に、下腹部がはち切れそうなほどの疼きを感じる。今すぐその細い手首を掴み、カウンター越しに引き寄せて、そのふっくらとした唇を奪いたい。自分の太い舌で、彼の口腔の隅々まで蹂躙し、大人のキスの味を教え込みたい。
だが、義明はそれをしない。
まだ、その時ではないことを知っている。
義明はゆっくりと指を離し、代わりにグラスを口に運んだ。
「……美味いな。君が選んでくれたからか、余計に・・・」
喉仏が力強く上下する。その「雄」としての力強さに、陽向が見惚れているのがわかった。
義明は、翻弄されているのは自分の方だと自覚していた。だが、それを悟らせないのが大人の流儀だ。
(陽向……。お前のその、何も知らないような瞳も、柔らかそうな腹も。すべて俺の熱でとろとろに溶かしてやりたい)
脳内での愛撫は、さらに深く、淫らになっていく。
陽向を背後から抱き込み、黒いTシャツを肩まで捲り上げ、その豊かな胸の肉を大きな掌で揉みしだく。自分の太い指の隙間から、陽向の柔らかな肉が溢れるさまを想像し、義明の呼吸が微かに重くなる。その白く大きな臀部を掴み、自身の猛り狂う熱を、一切の容赦なく、しかし溢れるほどの愛を込めて沈め込む――。
「荒金さん、あの……」
「なんだ?」
「……また、指名してくれますか? 荒金さんに、もっと僕のこと、知ってほしくて・・・」
陽向の、その精一杯の誘い文句に、義明の理性という名の糸が1本、ブツリと切れた。
義明はグラスを置くと、身を乗り出し、陽向の耳元に唇を寄せた。
「……君は、恐ろしいことを言うな。俺が1度、君を『知りたい』と思ったら、後戻りはできないぞ?」
耳を掠める熱い吐息と、低音の振動。
陽向は、生まれて初めて感じる強烈な「男」の気配に、膝が震えるのを感じた。
義明の瞳の奥には、紳士の仮面では隠しきれない、飢えた獣のような渇望が、ねっとりと渦巻いていた。
外は、逃げ場のない熱帯夜。
だが、2人の間に流れる空気は、それよりも遥かに熱く、深く、昂ぶっていた。
2
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
僕たち、結婚することになりました
リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった!
後輩はモテモテな25歳。
俺は37歳。
笑えるBL。ラブコメディ💛
fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。
オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜
トマトふぁ之助
BL
某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。
そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。
聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる