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【第1章】太閤王と客人の娘
謁見
しおりを挟む初めは私が生まれた国。
緑豊かで自然に恵まれた、小さくてのどかな国だった。
だけど、跡形もなく燃えて灰になった。
二番目は母の故郷。
たくさんの人々が行き交う、大きくて賑やかな国だった。
だけど、激しい揺れに崩壊して瓦礫に埋もれて圧し潰された。
三番目は貧しい国。
隣り合う相手も信じられない、争いの絶えない国だった。
だけど、大きな波に飲まれて国ごと海の底へと沈んだ。
四番目は水に流されてたどり着いた国。
笑顔が絶えない、優しくて温かな国だった。
だけど、竜巻に裂かれて何もかもバラバラになった。
五番目は、物好きな貴族に拾われて訪れた国。
寓話に出てくるような、雪の降る幻想的な国だった。
だけど。
× × ×
初めに見えたのは、臙脂の布地に金の刺繍が施された天蓋だった。寝心地の良い柔らかく暖かなベッドに寝かされている。
どうやら自分はまだ生きているようだ。そう理解した途端、娘の表情は暗いものへと変わった。
(また私だけ助かってしまった)
周囲を確認しようと頭を動かす。よく整えられた部屋だ。室内にある高価そうな調度品を見る限り、貴族か身分の高い者の屋敷だろうかと見当を付ける。
ここは国なのだろうか。だとすれば、それは彼女にとって不都合極まりない。
さてどうすべきかと、思案を始めるよりも先に、反対側から声を掛けられる。
「おはようございます」
声の方へと顔を向け、一瞬だけ言葉を忘れる。
そこには獣の面を着けた小柄な黒髪の少女が立っていた。見たことのない異国の服を着ている。この華美な部屋とは真逆の、質素な色合いのものだ。おそらく使用人なのだろう。
「……ここはどこ?」
奇妙な様相の使用人に驚いたものの、淡い期待と不安を持ってそう尋ねる。
(どうか、どうかここが、国の中ではありませんように)
彼女は流浪の身であり、地理にそれほど詳しくはない。それでも窓を通して見えた雪空から、ここがあの亡国からそれほど離れていないと判断した。
(もしかしたら国の中ではなく、辺境を治めている貴族の屋敷なのかもしれない)
憶測混じりの希望は、使用人が次に口にした言葉により打ち捨てられる。
「ここは、シフィカの王城でございます」
「……!」
シフィカ。彼女のみならず、誰もが知っている国の名だ。
思わず青ざめて絶句している彼女に、使用人は説明を続ける。
「ここへ貴女をお連れしたのは我らがシフィカの太閤王、ウィルミリア=アールスタム陛下でございます。三日前、隣国エルガへご訪問された際に国の外で倒れていた貴女を発見し、保護されました」
「太閤陛下が、私を?」
娘は意識を失う前に見た、あの黒い影を思い出した。あれは太閤王だったのかと得心が行った一方で、余計なことをしてくれたと忌々しく思った。
「目覚め次第、玉座の間にお連れするように陛下から仰せつかっておりますが、身体のお具合はいかがでしょうか? ……よろしければ、ご支度させていただきたいのですが」
控えめにそう言って、使用人は一着のドレスをクローゼットから取り出して見せる。
倒れていた時まで着ていた煌びやかな白いドレスではない。簡素でありながらも可愛らしい、淡黄色のドレスだった。
肩は出ておらず、花の模様が縫われた布地で首まで覆われている。前のものよりずっと暖かそうだと思った。
(そういえば)
娘はベッドから起き上がって自身を見下ろす。そこでようやく、自分が寝着を着ていることに気が付いた。
彼女が倒れていたのは雪原で、ドレスは雪まみれだった。凍ったように冷えていた身体は十分に温まっていたが、それ以前に風邪をひかぬよう着替えさせられたのだろう。首周りにも、マフラーのようなものが巻かれていた。
「このようなものしかご用意できず、申し訳ございません」
「いいえ、とても素敵なドレスだわ。着替えさせくれたのはあなた? 手間をかけさせてしまって、こちらこそごめんなさい」
眉尻を下げて申し訳なさそうに言うと、使用人は首を横に振った。
「お客様のお世話をさせていただくことが使用人の務めにございます。……陛下に謁見されますか?」
淡々とした口調ながらもその言葉は心からのものだと感じ、自然と微笑むことができた。
ここが七大国の一国であると知って、あからさまに動揺した自分を気遣ってくれているらしい。会って間もないこの使用人を、娘は非常に好ましく思った。
「大丈夫よ。何から何まで、本当にありがとう」
そして、同時に申し訳ないとも思った。
(私に、そんな資格はないのに)
× × ×
寝着からドレスへと着替えた娘は、使用人に従って玉座の間に向かった。
城内はひどく静かだった。加えて這うような寒気が足元から身体に伝わってくる。使用人から借りた上衣がなければ、確実にここに来る前と同じように冷えきっていたことだろう。
とは言え、同じ雪国であるエルガに半年ほど滞在していたためか、寒さにはそれなりに慣れていた。白い息を吐いて緩慢に、廊下を歩きながら城内の様子を観察する。
そんな彼女に使用人が何かを言うこともなく、お互いに黙々と歩を進める。不思議とその沈黙を気まずいとは思わなかった。
「陛下、お連れいたしました」
やがて辿り着いた扉を叩き、使用人が中に向けて呼びかける。
間を置かず、すぐに返事は返ってきた。
「入れ」
扉越しでくぐもってはいたが、思っていたよりもその声は若い。娘は内心で僅かながらに驚いた。
使用人により玉座の間の扉が開かれる。重厚に作られた両開きのそれは重々しい音を立て、部屋の中へと娘たちを招く。
足を踏み入れてまず見えたのは、扉からまっすぐ伸びる深紅の絨毯。さして長くもなく、数歩進んで視線を上げれば玉座に座る男が視界に映る。
「────」
瞬き一つ。それから目を離せなくなった。
距離があったのにも関わらず、彼に対して印象強く残るものがあった。
(この人はなんて悲しい目をしているのかしら)
男の目に魅入る。針でつつかれるようなチクリとした痛みを胸に感じた。息が詰まるほど鋭い金色の瞳に惹きつけられる。暗色の傾向が強い琥珀のような、深く昏いその奥で何かが揺らいだ気がした。
次に目を惹かれたのは、肩まである黒髪から覗く狼の耳。亜人種の特徴とされる獣類のそれを見て、ようやく思考が働き始める。
『シフィカの王は亜人種コド族の生き残りだ』
黒狼の耳を持つ亜人種族。強豪とまで謳われていたが戦いを嫌って秘境に住みついて、そのまま人知れず滅んだという。
いつだったかあの亡国で、後見人だった貴族の男から聞かされた。シフィカ王はこの世で唯一のコド族なのだと。
まさかこのような形で対面することになろうとは。
「俺はウィルミリア=アールスタム。このシフィカ=フロントで、太閤王を務めている。お前の名は何と言う?」
立ち尽くす娘に王が尋ねる。若いながらも低く威厳のあるその声に、今更ながら御前に出てからまだ礼の一つもしていないことに気が付いた。相手が悪ければ不敬罪で罰せられていたかもしれない。
「…………」
しかし、彼女は慌てることはしなかった。ドレスの裾を軽く持ち、少し腰を屈めて頭を垂れる。
「お目にかかり光栄でございます太閤陛下。私の名は、セネット=ジルスと申します」
「……顔を上げろ」
言われた通りに顔を上げて前を見る。しかし、目が合うと凝視され、途端に居心地の悪さを味わった。
所在なく視線を泳がしていると、ウィルミリアが無言で片手を挙げた。それを合図に、セネットの後ろに控えていた使用人が静かに一礼して玉座の間から出ていく。
二人だけになったところで、ウィルミリアは口を開いた。
「お前、本当は死にたかったのだろう」
声もなく、ひそかに息を呑んだ。琥珀の双眸が何もかも見透かしているようで、顔さえも逸らしたくなる。
軽く拳を握り、平静を装って問い返す。
「……なぜ、そうお思いに?」
どうして、初めて会った赤の他人にそんなことを訊くのか。
「連れ帰る道中、何度も『死にたい』とうわごとを言っていた」
「……」
ああ、私は馬鹿か阿呆なのか。
セネットは内心で呆れて悪態をつく。意識の無い自分が口走ったというその言葉に苦笑してしまう。
顔を俯かせ、そっと目を閉じた。
────ザワリ。
空気が震える。風に揺れる木々のような、ざわつく音が辺りに響く。
セネットの体から滲み出るようにして、それはついに出現した。
────ザワリ、ザワリ、ザワリ。
それは霧に似ていた。赤と青、あるいは紫。黒と白、あるいは灰色。言葉だけで表すことは難しい不可解な色。不規則かつ不安定で、不穏かつ不気味に場に広がる。禍々しい気配が玉座の間に満ちていく。
対する太閤王は、平然としたままだ。
「その霧、あの亡国を覆っていたものと同じか」
その声も平淡なものだった。非難しているわけでも面白がっているわけでもなく、純粋に確かめているらしい。
「…………」
セネットは目を固く瞑り、何も言わない。否、言えないのだ。答えようがない。
(……知らない)
彼女は、何も知らなかった。
(こんなわけのわからない霧、私は何も知らない……!)
胸が苦しくて堪らない。
(でも、あの国を滅ぼしたのが私だと言ったら、この御方はどう思うだろう。蔑むだろうか、忌み嫌うだろうか。もしかしたら私を────殺してくれるかもしれない)
苦しく歪んだ心の中で疼き、浮かび上がったのは淡い期待だった。
積み上げて来た罪悪感からの、解放への憧れ。
「殺してください」
口から零れ落ちた言葉は単純かつ殺伐としていた。
籠の中に閉じ込められた小鳥が青空を渇望するように、セネットはただ願った。
「私をどうか、殺してください」
もう一度。今度は明確な意思を持って。
何よりも死を望んできた。今までにも何度だって死のうとした。
でも、できなかった。あるときは怖さのあまり死ねず、あるときは悪運にも生き残り、そして今回もダメだった。
自分の手で死ねないのなら、他人の手を借りるしかない。
「エルガをあのように滅ぼしたのはこの霧です。今までもいくつもの国が私の霧に包まれて滅びました。私がこの国に留まり続ければ、いずれ他国と同じように災いをもたらします。ですから、どうか」
身を縮こまらせて懇願する。殺されることを望んでいるはずなのに、まるで命乞いをしているようだ。疲弊した心でそう思う。
だから、気付かなかった。目の前の太閤王の考えていることなど、微塵も。
「────うまそうだ」
「……え?」
予想していなかった言葉に耳を疑い、思わず顔を上げた。
玉座から立ち上がったウィルミリアが絨毯の上を歩いてこちらにやってくる。
「セネットと言ったか」
正面で立ち止まったウィルミリアの目を見て、セネットはあることに気が付いた。
(まるで、熱に浮かされているみたい)
表情に変化はないが、両目は潤み艶を帯びている。熱を出した子どものような蕩けた瞳だ。濡れた金色はまさしく琥珀のようであり、まじまじと見つめてしまう。
口から溢れた言葉も、どこか恍惚としていた。
「気に入った。実に、旨そうな魔力だ」
そう言って、流れる動作で彼女の手を取り。
「……!?」
口付けをするかのごとく、あろうことか手の甲に浅く噛み付いたのである。
「……っ!」
突飛な行動と柔肌に歯が当たる感触に、思わずセネットは身を引いた。しかし手はしっかりと掴まれているため、ウィルミリアから逃れることはできない。
「な、何を……っ!」
言いかけて、ハッとして周りを見る。
(霧が、薄まっている?)
ほんの些細な変化ではあったが、徐々に勢いを増して彼女から気配を退かせていく。まさしく言葉のまま、霧が晴れていくように。
吸われる感覚と、薄れ消えていく禍々しい色。セネットはそこでようやく、状況を察することができた。
ウィルミリアが────霧を吸い取っているのだ。
────ザワリ。
彼女が状況を理解したせいなのか、室内に蔓延していた霧が一斉に動きを変える。不穏な音を立て、尋常ではない早さでウィルミリアへと向かった。
────ザワリ、ザワリ、ザワリ。
手は掴んだままだったが、霧の勢いに押されてセネットの手の甲を噛んでいたウィルミリアの口が離れた。二人とも、瞬く間に霧に包まれ、その身が禍色に染め上げられていく。
しかしセネットには、霧の中で太閤王が目を細めて僅かに口端を吊り上げたのが見えた。
「…………う、そ」
目を大きく見開いて、唖然とする。
「どう、して」
何が起きたのかすぐに理解できなかった。本のページを捲ったように、見える景色が一変している。先ほどまで視認できていたものがきれいに消えてしまっている。
否、消えたのではない。喰らわれてしまったのだ。部屋を埋め尽くさんばかりの霧は、ウィルミリアに溶け込むようにして、全て吸収されていた。
(……うそでしょう。あれを全て?)
「旨い。思った通りの質と味だな」
最後まで掴んでいた手を離して満足気に嘆息する太閤王を、ただ呆然と見遣る。
一体、この男は何者なのだろうか。
「セネット」
いまだ動揺しているセネットに、ウィルミリアは言う。
「今日からお前は我がシフィカ国の客人であり、その霧を提供する者だ。この王城に居座るがいい。俺が許可する」
太閤王のその言葉に、セネットは足場が崩れていく錯覚を覚えた。
────冗談ではない。自分は殺せと言ったのに!
しかし、彼女の口からその反論の言葉は出ることはなかった。そちらの感情を上回って、先に飛び出たのは動揺からの疑問である。
「何とも、ないのですか? その霧は……その霧のせいで、私が居た国は、国の人はみんな死んだのに……!」
死んだ。たくさんの人が亡くなった。
小さな国も、大きな国も。
悪人だらけの国も、善人だらけの国も。
美しい雪国でさえ、全部。
「霧自体に悪質なものは混じっていない」
交錯するセネットの思考を止めるように、ウィルミリアの淡々とした声が耳に刺さる。
「え……」
「濃度が高いだけの魔力塊だ。そんなものに国を滅ぼす力はない。……それとも、お前には魔術の心得でもあるのか。その霧を使い、自らの意思で国を滅ぼしたと?」
ウィルミリアの目が眇められる。暗い金色の瞳を恐ろしく感じ、セネットの顔色が蒼白になる。首を強く横に振り、逃げるように後ずさりをした。
セネットに分かることは、霧に包まれた国は必ず滅ぶということだけだ。そこに自分の意思はない。
────ウィルミリアが言うように、もういっそのこと自分の意思でやったことにして、それで殺されてもしまっても良いかもしれない。
そんな考えが一瞬だけ頭の隅を掠めたが、すぐに否定した。
(ちがう。あれは、私の意思ではない)
(私が願ったことなどではない)
(それだけは────それだけは、絶対に認められない)
「なぜ、なぜそのようなことが言えるのですか! あれのせいで、あんなもののせいで! 私は、私は……!」
ついには声を荒げる。
しかし、対するウィルミリアは極めて冷静な様子で、逆に彼女へと問いかけた。
「俺の二つ名を知っているか?」
ウィルミリアの双眸がセネットを射抜く。
「ふた、つな……?」
突然の問いに虚を突かれて、セネットの勢いは殺される。困惑した表情を浮かべ、ウィルミリアを見返す。
「────因子喰らい。聞いたことはあるか?」
「……!」
セネットは言葉を失った。彼女はその呼び名を知っている。
因子喰らいは魔力を糧に生きる者へ付けられる二つ名だ。魔力を持つものならば、例え相手が人間だとしても、魔力を命ごと喰らう。そのため、多くの魔術師たちから恐れられてきた。
自分の目の前に立つ男が、その因子喰らいであると言う。
(因子喰らいだから、魔力塊の霧を喰らうことができた?)
信じられない思いでウィルミリアを見ると、金色の瞳と再び目が合った。
心を読む術を彼女は知らないが、彼の目を見て先ほどよりも陰りがあると感じた。些細な変化だったものの、なぜかセネットはそれが気になった。
「何だ?」
またしても凝視してしまっていたらしい。ウィルミリアは無表情のまま僅かに首を傾げ、訝しげに訊いてくる。
「いえ……」
「……明日また話をしてやる。まだ体調も万全ではないだろう。今日はもう部屋で休むといい」
× × ×
────濃度が高いだけの魔力塊。
玉座の間から客室まで戻る道中。ウィルミリアが言っていたことを、廊下を歩きながら頭の中で反芻する。
(どういうこと?)
彼女はまだ、納得できないでいた。
(今まで国が滅んできたのは霧のせいではなく、全て偶然だったということ?)
そんな馬鹿なと、頭を振る。
それならなぜ自分は助かった? なぜ霧に満ちた国が翌日には滅ぶ?
────どうして私は、こんなものを持っている?。
「セネット様」
セネットが眠っていた客室の前。行きと同様、案内をするために前を歩いていた使用人が振り返る。
「東国の茶葉がございます。よろしければお飲みになりませんか。故郷で作られている茶なのですが、とても美味しゅうございますよ」
何気ない申し出に、すぐにそれが気遣いによるものだと察した。力なく笑んでこくりと頷くと、了承の意を示して立ち去っていく。
それを見送った後、セネットは部屋に入り、そして崩れるように床に座り込んだ。
「本当に、優しい子」
自責に埋もれかけた自分の心が、少しだけ軽くなった気がした。
(とにかく、霧が満ちてしまう前に)
深々と溜息を吐いてからもう一度、セネットは振り切るように決意する。
「……この国から早く、出ていかなければ」
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