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3章 中年は街を手伝わない

第18話 師匠とパワーレベリングって話

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作者の励みになります。
これからもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

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リースがおばあちゃんよろしくお茶を啜っている。
リーアはとりあえず冒険者登録作業をやってくれている。

私はお茶を飲んでいる。。

少し間があいてリーアが『受付に来てください』と呼びに来たので
呼ばれた方に行ってみる。

そこには少しばかり大きめの丸い水晶が置いてある。

「シュウさんのことを疑っているわけではないんですが、
  一応手続き的なものなので、この水晶に血を垂らしていただけますか?」

言われるがままに右手の親指を少しだけ切って、
水晶に血を付けてみた。

そこにはステータスボードによく見る内容が文字として浮かんで見えた。

リーアは何やら金属のプレートをその水晶にかざすと、
何やら呪文を唱えた。

すると先ほどまで水晶に映し出されていた文字がスーッっと
その金属板に吸い込まれていった。

「はい。これで登録作業は完了です。
  これからバンバン依頼を片付けちゃってください!」

すっごく明るいかわいい笑顔でその金属プレートを渡してくれた。

「おぉできたか、じゃあさっそくダンジョンに行こうか。」

先ほどまでお茶を啜っていたリースが依頼表を何枚かより分けてきた。

「えっ?リースさん?今から?んぁ何するの?」

何がどうなっているのかよく理解できないまま、
とりあえずって言いながらギルド受付の奥に引きづられていった。

奥には冒険者に貸し出す武器屋防具が所狭しと並べられていた。

とりあえずリースさんがその中から適当に合いそうなものを
ポンポン投げてくる。

「んじゃ着替えてきて。」

そういうとリースさんはその武器庫から出ていった。

とりあえず渡された胸に金属のプレートが付いている防具に袖を通し、
剣、と盾を持って武器庫を出ると、
リースとリーアが何やらカウンターでごそごそしていた。

武器庫を出てキョトンとしていた私を見つけたリースは
『行くぞ!』とばかりに左手で呼ぶと、冒険者ギルドを後にした。

ダンジョンへの道すがら、話を聞くと
基本的にダンジョンの中は魔素が濃く、モンスターもある程度出てくるので
レベル上げには最適とのこと。
本来、私のレベルでは1階層にすら入れないのだが、
このチェスターで一番レベルの高いリースが同行して
パワーレベリングを行ってくれるという。

まぁ一応定期的にリースやキジュがダンジョンに入り
モンスターの間引きを行っているらしいので、
そのついでということらしい。

先ほどリースが渡してくれたプレートはギルドカードといって
その人の現在の状態を表示してくれる機能があるそうだ、
ステータスボードの上位互換のようなものだ。
『失くさないようにね。』とだけ注意されたので、
革のパンツに落とさないように入れておいた。

「シュウは周りの森の魔物なら遠隔から十分狩れるから、
今日はとりあえず5階層まで行ってレベル20くらいまで上げよう。」

「レベル20!?17年分が一気に上がるの?」

「まぁ低レベルのうちは上がりやすいから、簡単簡単。。」

そういいながら私たちはダンジョンへと入っていった。

そこからは鬼リースであった。

とにかく魔物を痛めつけて、最後の一撃を私が打って倒す。
それをひたすらに繰り返す。
驚いたことにリースはレベルだけで言えば63とかなり高レベル。
手加減しても下手すると一撃で魔物を倒してしまうので、
半分鼻歌交じりで石で手当たり次第に魔物にファーストアタックしていく。
そして集まってくる魔物をひたすら私が一撃入れていく。

たまに5体くらいに囲まれそうになると。
『ごめんごめん。』と言いながらリースが間引いてくれる。

1層から4層まではほぼ駆け抜けた感じだったが、
討伐証明部位なるところの切り取り方や、魔核を取り出す解体の仕方など
昔狩りを教えてもらった時のように淡々としかし丁寧に教えてくれた。

5階層ではただひたすらに襲ってくる骨のモンスターや豚っぽい奴や
犬っぽい奴を倒しまくった。

魔物からの攻撃はほとんど受けなかったが、
ひたすらに倒しまくったおかげでヘロヘロである。

ダンジョンから出てきたので既に暗くなり始める時間帯であった。

「ギルドカード見せてみて。」

とダンジョンを出たすぐにリースがいうので見せると。
そこには、なんか一人だけ死にかけたおかげもあって、
多少マシなステータスが表示されていた。

  シュウイチ・サカイ
  役職:村人 Lv.20
  HP: 7/80  MP:42/42  PW:53  SP:50  CL:16  HL:30  LC: 30
  特技:魔法(小)[雷、土]

「リースありがとう。」

へとへとながらも付き合ってくれたお礼を言うと、

「まぁドロップ品はとりあえず全部いただくが、
  依頼自体はシュウがクリアしたことにしておくよ。」

と言って、討伐証明部位やドロップ品の入った皮袋を肩にかけ
スタスタと街へと向かっていった。
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