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3章 中年は街を手伝わない
第23話 なんか魔法が得意かもしれないって話
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冒険者ギルドの裏庭でニテさんと二人で座っている。
『これなら家でやってもよかったんじゃ・・・』
なんて雑念がたまに出たが、でも何となく二人っきりで日向ぼっこしている感じも悪くなかったので、そのまま続けた。
まだ夕方というには少し早い時間に、ニテさんが
「とりあえず1発やってみましょうか!」
と言ってくれたので、それまでの練習の感覚を思いながら、アザに魔力を流し込んでいった。
そしていい感じに溜まったのを感じて、少し離れた10メートルくらい先を見て
雷魔法を発動した。
前回ニテとリースに見せたときよりも強い光と音が発生し、無事に魔法が発動できた。
ギルドカードを見るとMPの値が『33/42』となっていたので、
大体9くらいのMPを消費して今の魔法を放ったことになる。
初日としては上々であるとニテさんは喜んでくれた。
それから暗くなるまでは火魔法について教えてくれた。
体内を流れる魔力は、いわゆる空気のようなものとしてその空気を使って、温度を上げるイメージ、普通から、少し暖かくなって、だんだん熱くなって、もっともっと熱くなると火が起きる。
そんなイメージでやってみるといいと言われた。
イメージを1時間くらい続けたとき、私の右手の人差し指に小さな火が灯った。
胸のアザに魔力を込めるとその火が少し大きくなった。
アザから魔力をそらすと火が小さくなった。
『なるほど』とちょっと何となくイメージがついてきたことを感じた。
火魔法ができたことは正直うれしかった。
今まで、自分で火をおこすことができず、他の人にいただいた火種をずっと、台所の隅で燃やし続けている。
これからは自分で火をつけることができるので、誰かにお願いして火種をもらっていたが、これからは自分でそれができるようになるのだから。
もう一つの、水魔法も教えてもらおうと思ったが、既に周りは暗くなっていたため、明日も魔法を教えてほしいとお願いし、ギルドの食堂で晩御飯をごちそうしてから、家路に着いた。
家では、ずっと火を着けては消し、火を着けては消しを繰り返し、気が付いたら魔力切れを起こし、ぐっすりと眠ってしまった。
翌日も朝からニテが魔法を教えてくれた。
午前中は前日の復習をやって、昼からは水魔法を教えてもらった。
『もっと早く教えてもらっていればよかった。』
とも思ったが、ニテが、
『そもそも、何かしら魔法の使える状況にならないと、
魔力の操作自体ができない』
と言っていた。
イメージするにもまずは魔力で起こる現象を自分で感じるようにならなければいけないらしい。
水魔法は火魔法とは全く違っていた。
火魔法は、魔力をエネルギーとして認識し、その温度を高めるような感覚に近いのだが、水魔法は魔力そのものを『水』という物質に変換するもののようだ。
体の中にあった魔力をアザに集約した後、それを体の外で少しづつ密度を高めていく感じといえば伝わるだろうか。
この感覚をつかむのにとにかく時間がかかった。
魔力を使いすぎたというわけでなく、イメージができないものは現象として発現しない。
そこで私は、空気中の水分が少しづつ少しづつ寄り集まっていくようなイメージを追加して、見ると何とか水が現れた。
ここらへんは、固体・液体・気体などの状態変化をイメージできれば水の気体、いわゆる水蒸気をより集めるような感覚に近かった。
その日はこのイメージ作業だけでほとんど1日終わってしまい、気が付いたらあたりは暗くなっていた。
とりあえず、魔力のコントロールと初級魔法が使えそうな状態になったので、あとは独学で磨いていく感じでも問題ないだろうということで、ニテも喜んでくれた。
家に戻って、魔力を火に変えたイメージをそのまま、魔力を電気に変えるイメージにしてきたところ、雷魔法の精度が格段に上がった。
もともと加護で使えるようになったので、イメージというより、『使える』という感覚で使ってしまっていたが、イメージの力が合わさることで、より明確に『電気を操る』感覚に近くなった。
そういう意味では、火魔法は『熱エネルギー』を操る感覚になるのかもしれない。
水魔法で水を生み出し、火魔法の応用で、ひたすらに温度を下げると氷になったので、多分その感覚が私にはわかりやすかったのかもしれない。
土魔法についてもいろいろ考えてみた。
水魔法で魔力を物質化するという感覚が少しずつわかってきたので、魔力を水ではなく『石』などに物質化するイメージを広げていった。
水よりも密度が濃いイメージをするため、かなりの魔力をそこに投入した感じがしたが、実際に土というより、石がそこに出来上がったので、これを応用すれば、『石』ではなく『土』というイメージで発現しているのかもしれない。
そう思いながらイメージしていくと確かに土魔法のコントロールもかなり自由になった。
イメージの力がより明確になっていくにつれて、消費されるMPがかなり少なくなっていく感じがする。
実際に、水魔法や火魔法の消費MPは非常に低い。
雷や土は、それよりもかなり密度がいる感じではあるが、実際に使ってみて、小さな電気を指先に起こすくらいならMP1で十分電気のように『バチバチ』と音がしていた。
どちらかというと引きこもりがちで妄想力だけ見ればかなりの熟練具合である。
イメージが具現化する魔法は、私にとってすごく合うのかもしれない。
そう思いながら何度も何度も、水滴を出したり、小さな雷を起こしてみたり、と魔力が続く限りいろいろなことを試していた。
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