中年はチートなしでもなんとかなる -異世界に来たので欲望のまま生きてみる-

ながれ

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5章 中年は王都で目立つ

第46話 上級ダンジョン探索ってお話

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馬車はすぐに私の家に着いた。
サンジェルマン伯のお部屋は2階の1号室なのだが、
とりあえず奴隷の女性の事なども詳しく聞くため一度私の家に招いた。

ユーリナが甲斐甲斐しくお茶を出してくれる。
よく考えれば来客は不動産屋以外では初めてなのかもしれない。

まず、奴隷の女性の首輪を外してあげる。
隷属魔法はかけていない。
それを見て、サンジェルマン伯も喜び、それから話を始めた。

この女性の名は、サーシャ・ブランディング。
ブランディング家のご息女で、サンジェルマン伯とは領地がとなりということもあり、
幼いころからいい付き合いをしていた。

ブランディング家はいわゆるダンジョン伯と呼ばれる家柄。
未踏破のダンジョンを攻略した功績で領地を賜った家系である。
サーシャの父、ダン・ブランディングが若かりし頃、
未踏破の上級ダンジョンを攻略し、1代限りの伯爵となった。

先ほどの小太り貴族はウィリー・ダットン伯。
ダットン伯はその商才を認められ、伯爵を拝命した家柄であり、
領地は街一つ。

ダットンの街はブランディング家の領地の隣にあり、ウィリーはサーシャを付け狙っていた。
今から1年ほど前、ダン・ブランディング伯が長男のドーシーを連れて未踏破の上級ダンジョンへと向かった。
それから帰ってきていない。
今から1か月前に母のルーシー・ブランディングが心労で倒れて、お亡くなりになられた。
その折、ウィリーが借用書を持ってブランディング家を訪れ返済を迫った。
結果、サーシャは借金奴隷へと落とされ、領地は暫定的にサンジェルマン伯が管理している。

サーシャ自身が一応伯爵家のご息女ということもあり、貸主であるウィリーに直接は渡らず、
オークションにかけられることとなった。
借金の金額は白金貨300枚。貴族といえども大金である。
そこで、オークションでサンジェルマン伯がその借金を肩代わりするつもりでセリに出た。

しかし、そこにウィリーが上乗せしてきたため、いかにサンジェルマン伯とて容易に手出しができない状況があったが、
全く部外者の私がそこに割り込んだという事態になったのである。

サンジェルマン伯曰く、ダットンが伯爵を拝命する際に、2名の伯爵の推薦が必要だった。
そのうち1人がダンであり、もともと白金貨300枚は貴族への推薦料という認識ではなかったかと推測している。
ウィリーがサーシャを手に入れて、名実ともに領地の領主になろうとしているのではないか?
とのことであった。

サーシャは当面の間サンジェルマン伯のところにて引き取りたいとの申し出があった。
しかし、サーシャが『理由はどうあれ私はシュウ様に買われましたので。』というので、
とりあえずダンとドーシーが潜ったというダンジョンへの入場許可をサンジェルマン伯の名前で取ってもらい、
サーシャにはサンジェルマン伯にお世話になるよう私が言っておいた。

2日後、サンジェルマン伯のの使いの者が訪れ、ダンジョンの入場許可証を渡された。



ここはダンジョンの52階層である。
一応上級ダンジョンということになっているが、じゃぁ敵が急に強くなるかと言われればそうでもない。
今私の目の前には3枚のギルドカードが落ちている。

1年前に入ったダンとドーシーと多分連れの冒険者のモノだろう。
ダンジョンで人が死ぬと、死体はダンジョンに吸収される。
装備も基本的に吸収されるが、後日宝箱などで出現する場合がある。
しかし、ギルドカードはそれ自体に封印の術式が組み込まれているので、吸収されない。

もう既に死体は吸収されてしまったのだろう。
ギルドカード以外は特に何も落ちていない。

私は戻ってから『なんと説明しようか?』と考えながら、ダンジョンを進んでいた。

ダンジョン探索を初めて3日、各階層をくまなく歩き続けているため1階層降りるのに1時間以上かかる。
休憩は基本的に異空間で行えるのでそれほど不調ということはない。
しいて言うなら、緊張感がないことくらい。

ハッキリ言って敵は強くない。
とりあえず目的のダンとドーシーの行方の手がかりになりそうなものは入手した。
探索を打ち切ってもいいのだが、折角の上級ダンジョンなので、サクサクと攻略していた。

さらに2日後、くまなく歩くのをやめて、できる限り最短ルートを目指す。
まもなく100階層。

115階層でウッドンフェアリーと遭遇し、『身代わりの玉』と入手できたので、
それから5日ほど、そこで籠る。ひたすら集めた『身代わりの玉』は50個くらいになった。

そして121階にボスっぽいドラゴンがいた。

何となく怖いので、先手として重力魔法(上から押さえつけるだけ)を発動し、身動きを止めて
剣で切り付けてみたら、思いのほかあっさり倒せた。
討伐証明部位がどこなのか分からないので仕方なくドラゴンが入るくらいの異空間を作り出し、
そこに収納した。

ドラゴンの部屋の奥にダンジョンコアらしき白い球体が浮かんでいた。
上級ダンジョン(100階層以上)のコアの場合、それに触れると『何らかのスキルが得られる。』
と本に書いてあったのを思い出し、コアに触れてみた。『耐火耐寒』のスキルを得た。
まぁ持っていて損ではなさそうなのでよかった。



私がダンジョンに潜っていた10日の間に2回ほど、ウィリーの手下と思われる奴が店に嫌がらせをしに来たが、
全員、ボコボコにして冒険者ギルドに引き渡した。
2回目に襲撃に来たチンピラが、『ダットンさんの話と違う!』といってオロオロしていた。
要は『20代のどこかのボンボンが商いをしている。』という感じで、
私が『強いなんて聞いていない!』とのこと。
ちょっとムカついたのでチンピラの頭の毛を燃やしてやりてっぺんハゲにしてダットンの所に返した。
それからは特に嫌がらせは来ていない。

とりあえず、今日はサンジェルマン伯爵とサーシャを呼び今後の方針を話すことにした。

「まずはこれを。。。」
そういって私はダンとドーシーのギルドカードを机の上に出した。

サンジェルマン伯爵もサーシャもそれで察したようにそれをマジマジと抱きしめていた。

「1年以上戻らないので覚悟はしておりました。お母さまが知らずに亡くなったのが、せめてもの救いです。」

とりあえずサンジェルマン伯爵に52階でそれを見つけたこと、ダンジョン自体は121階層あったことなどを話した。
一応ダンジョンコアに触れてスキルを入手できたことも伝えた。

最下層にいたドラゴンについては、牙や鱗、しっぽなどが討伐部位として認められることも聞けた。
サンジェルマン伯爵は何かを思い詰めたように私に言った。

「シュウさん。まだ知り合って間もないところ申し訳ないが、
貴殿を見込んで話がある。あなたは貴族になるつもりはないか?」
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